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学校復帰でタイムトラベルを疑似体験

2010年、東京スカイツリーがまだ建設途中だった頃。
僕は小学校6年生で不登校になり、自室に1人で引きこもるようになった。
当時は今みたいにネットができる環境じゃなかったし、テレビも部屋に置いていなかった。
外部からの情報が得られず、社会との繋がりが完全に断ち切れてしまい、毎日とても寂しい思いをしていたのを覚えている。

2012年頃から徐々に外へ出られるようになり、
翌年の2013年、中学3年生になり、勇気を出して学校復帰に挑戦してみた。

久しぶりに登校してみて、まず同級生の成長に驚いた。
見た目も中身も大人っぽくなっていて、授業内容もすごく難しそう。
「なんで学校休んでいたんだ?」なんて、答えにくいことを聞かれるかなぁと思っていたけど、誰も聞いてこなかった。
理由は大体察しがつくと言わんばかりに、「このクラスは嫌なことする人いないから大丈夫だよ」なんて言ってくれた。
理科室とかに移るとき、場所がわからなくて困っていたら、すぐに気が付いて一緒に移動してくれた。
小学校の頃は、こんなふうに気配りができる人は少なかったように思う。
お兄さんお姉さんの教室に間違えて入ってしまったのかと勘違いしそうだった。

しばらく教室内を眺めていると、見るからに校則で持ち込みを禁止されていそうな板状の電子機器で隠れて遊んでいる生徒を見つけた。
最初はDSPSPのようなゲーム機の一種だと思ったけど、これが現代で主流の携帯電話だと知ってビックリ。
スマホが普及していく過程を僕は見ていないから、未来のデバイスが一般化している並行世界か何かに来てしまったのかと錯覚しそうだった。

東京スカイツリーが既に完成済みなのを知ったときも同じ感覚になった。
僕が最後にスカイツリーの姿を見たのは2010年で、建設途中の様子を映すテレビの映像だったと思う。
それが知らないうちに完成していたのだから、さながらSF映画でタイムトラベルした主人公になった気分。
物語の序盤で「今、何年だ!?」ってなるシーン、大体あるよね。

振り返ると2010年頃は大きな出来事や変化が多かった時代だと思う。
だからこそ、その記憶がすっぽり抜け落ちたまま学校復帰した僕は混乱することも多かった。
でも、タイムトラベルを疑似体験したことがある人なんて珍しいと思うから、
今となってはとても貴重で大切な思い出かな。

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