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【日記】ファンレターに愛を込めて

 この間、人生で初めてファンレターを出した。中学生の頃から好きなバンド、シドのボーカルであるマオさん宛。手紙の下書きを書きながら「もう10年も好きなのか」としみじみしてしまった。同時に、10年も私は「好き」と自分の言葉で言えてないんだな、と気がついて、後悔のような、寂しいような、なんとも言えない気持ちになった。

 身近な人にも、1人のファンとしても、「好きです」と伝えるのが今まではどうしようもなく恥ずかしかった。恥ずかしさが無くなって、むしろ積極的に伝えるようになったのはSNSで創作活動を始めてからだ。
 私はTwitterにアカウントを開設するのと同時に創作を始めた。自分の作品を「好きだ」と言ってもらえるのがとてつもなく嬉しいことなのだと知った。マオさんを始め、私が好きな「何かを創る人たち」の多くは「ファンのみなさんの応援が嬉しい」とよく口にする。正直、建前だと思っていた。でも創作を初めて、誰かに「作品のここが好き」と言ってもらって、「応援が嬉しい」という感情が本音として存在し得ることを知った。

 SNSでは基本的に、twitterの「いいね」機能やnoteの「スキ」機能のように、簡単に「好き」を伝えることができる。私も湧き上がる興奮のあまり力強くハートのアイコンをタップすることもよくあることだ。「なぜ1度しか押せないんだ!」と思うことさえある(好きすぎて500回ぐらい押したい)。
 一方、ファンレターとなるとそうはいかない。思いを言葉にして、それを文字にして。丁寧に何度も「好き」の気持ちを時間をかけてなぞる。「好き」を煮詰めて「愛」にする感じだろうか。下書きの時間も含めてとても素敵な時間を過ごさせてもらった。

 人生初のファンレターということで、ちょっと良いレターセットを買った。本番書きのときに、便箋を前にして手が震えたのも人生で初めてだった。書き上げた手紙を畳んで、封筒に入れて、封をして。切手や封をする時のシールにもこだわって。宛先を書き終えると、作品をひとつ書き上げた時にも似た達成感があった。

 ポストに投函した日から、少しソワソワした気持ちで毎日を過ごしている。ちゃんと届いたか不安だからだ。自分の住所は書かなかった。だって届かなくての家のポストに入ってたら恥ずかしいし。ソワソワした気持ちには理由がもうひとつ。マオさんが喜んでくれたかがとても気になっている。でもきっと、この「ソワソワ」まで含めてファンレターなのかもしれないとも思っている。

 初めての壁を乗り越えてしまえば、2回目に取り掛かるのは簡単。ファンレターに味をしめた私は「次は誰に書こう?」とターゲットを絞り込んでいる。あの「「好き」を「愛」に煮詰める時間」が私はとても贅沢だと思うし、大好きだ。簡単に送れる「好き」もいいけれど、じっくり手紙にしてみるのもいいな、というお話。

さて。
次は誰に「好き」を伝えよう?
次は誰に「愛」を送ろう?

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