桃花したたる春の露(陰影)

桃の花が咲いていた。
冬が解けて滴っていた。
心は冷たいままだった。

昨夜は月の見えない夜だった。
タイヤが雨を弾く度に
帰りを待つ誰かの幻が弾けた。

あまりにも清々しい
今朝咲いたばかりの桃は
木の根元の濡れたままの影を知っているのだろうか。
知らないのだろうか。

花はただ泣いているのだろうか。

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