プロレスラー・青木真也から学ぶビジネスの本質
とにかく真剣に、とにかく真摯に、とにかく誠実に、一人の人間にぶつかった。
4ヶ月前、総合格闘家・青木真也さんを取材をしたときのことだ。
書き上げた記事は、本人から「仕上がりが秀逸」という評価をもらい、仕事仲間からも「サイコーだった」と言ってもらうことができた。
以来、青木真也さんとは、何度か打ち合わせをし、次の仕事へ向けて、着々と準備を進めている。もしも、この記事での仕事ぶりが、いまにつながっているのだとしたら、サイコーに嬉しい。
預けるということの意味
総合格闘家でありながら、継続的にプロレスのリングに上がっている青木真也さんは、よく『預ける』という言葉を使う。
何かを人に預ける。何かを人に託す。このような関係は、本来、相互の信頼の上に成り立つもの。プロレスではこの『預ける』という感覚がとても大切だそうだ。
それに本当の意味で気付かせてもらったのは、人気プロレスラー・黒潮“イケメン”二郎さんのアメリカ挑戦の壮行会に参加した時のことだった。
壮行会が行われたのは、東京の下町にある「ちゃんこ鍋家 黒潮」。
※ちなみに僕を誘ってくれたのは、いつもお世話になっている、総合格闘家の大山峻護さん。
黒潮“イケメン”二郎さん本人による解説の元、試合の映像を観ながら、みんなで美味しいちゃんこ鍋をつついていた。
黒潮“イケメン”二郎さんが、トップロープから場外にいる選手に向かって、アクロバティックにダイブした場面が映し出される。そのシーンをみて、僕はこう言った。
「トップロープから飛んだの、あれスゴかったですね〜!」
すると、黒潮“イケメン”二郎さんは、
「いやいや、あれは受ける人がスゴイんですよ。俺は飛んだだけですから。“任せた”って思いながら飛ぶんですよ、信頼して。だから、受け止める人がいないと成り立たないんすよね」
「なるほど! 青木真也がよく『預ける』って言っているのは、そういうことか!」
それに気づいた僕は、以前にも増して、プロレスに強い関心を持つようになった。
信頼の積み上げ方
よくコミュニケーションの世界では、「聞く側が大事だ」という。つまり、聞き手の技量でコミュニケーションの質が変わるというのだが、信頼関係にも同じことが言えるのではないか。
青木真也さんの取材をしてから4〜5ヶ月経った今も、継続して一緒に仕事ができるなんて、当時は全く思ってもいなかった。
イベントをつくるのも、モノをつくるのも、ヒトをつくるのも、記事をつくるのも、まずは信頼関係をつくることから。
信じて頼る。信じられて頼られる。
そんな相互の関係を目指して、今日もとにかくコツコツと。
積み重ねることでしか、真の評価は得られないのだから。
それにしても、青木真也という男は、なぜか昭和な雰囲気の喫茶がよく似合う。
下町にある小さな喫茶店にて。
瀬川泰祐の記事を気にかけていただき、どうもありがとうございます。いただいたサポートは、今後の取材や執筆に活用させていただき、さらによい記事を生み出していけたらと思います。