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「漢字パズル」ができるようにするには

今日は特に、中級レベルから脱却したいと考えている中国語学習者の皆さんに向けてお話をしていきたいと思います。

中国語を「字単位で考えること」。この点については、当noteの記事でも何回かご紹介しています。

ここで私が強調したかったのは、皆さんの中国語単語を覚える際の「意識変革」です。

複数音節の単語を「ひとかたまり」として覚えるのではなく、「文字の集合体」としてとらえる(つまり、认识を「ren4shi3」として覚えるのではなく、「ren4」+「shi3」として覚えること)。

そうすれば、いざ分からない単語を聞き取った時、脳内で音を認識して、その音に合った漢字をパズルで見つけ出すことができます。このような技法は、地名や人名など全く予測できない文字や語句で特に威力を発揮します。

このようなことができれば、中国語の中級者から上級者への脱却の一歩を踏み出すことができるでしょう。

ではこのような「意識変革」を実現し、「脳内漢字パズル」ができるようになるためにはどのような勉強をしていけばいいのでしょうか。今回は私なりのやり方をご紹介します。

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第1段階:ディクテーション


わたしならば、まず第一歩としてお勧めするのはやはり、听写(ディクテーション)でしょうか。このあたりは「字単位で考える中国語の勧め」でも強調しました。

ただ注意していただきたいのは、ただ漫然と听写をしていては期待する効果は得られないということです。

もしあなたが中級者から上級者への脱却を望んでいるならば、「どの文字が」「どういう発音をして」「ピンイン(注音記号)ではどう書くか」というレベルまでしっかり咀嚼して听写をすることをお勧めします。この場合、究極的には文の意味が少しぐらいわからなくても差し支えはないです。なぜなら、今回のトレーニングは「音と漢字を結びつける」ことが目的だからです。

この目的を達成するためのディクテーションの方法としては、手で書くディクテーション、パソコンを使うディクテーションの2通りが挙げられます。

このどちらを優先すべきかという問題があると思いますが、結論から言うと両者共に一長一短があります。誤解しないでもらいたいのは、パソコンを使ってのディクテーションも、利点があるということです。それぞれ書き出してみましょう。

①手書きの利点

・手で書くことによって、漢字の書き方をしっかり覚えることができる。
・音を聞いてそのまま書くことによって、「音→漢字」という思考回路を養いやすい。
・漢字を書くとなると、なかなか時間がかかり骨が折れる

②パソコンの利点(ピンイン入力法)

・ピンインで入力することによって、漢字の中国語の読みをピンインを通じて確実に確認しながら覚えることができる。
・音を聞いてピンインで入力することによって、「音をピンイン化する」トレーニングをすることができる。
・「音→ピンイン」という思考回路になりやすい(中級者ならその段階は脱却したという前提)

◇◇

ここで注意しなければならないのは、大前提は「音⇔漢字」という思考回路を構築することが先だということです。このため「音⇔漢字」という思考回路に不安を持っている人は、まず自分の脳内で「音⇔漢字」の思考回路を構築できている漢字を増やしていくことが、中級者になる前提条件だと考えてください。

ただ、増やしていく過程で、すべての漢字で「音→漢字」という思考回路が構築できるわけではないといことに気づくでしょう。このため、「未知の音」についてはピンインへの「変換力」が重要になってくるのです。

パソコンでのディクテーションにおいては、聞いた音をタイピングを通じてピンインで書き出し、さらにピンイン入力法を通じて漢字化します。ピンインが正しければ、ちゃんと漢字変換してくれますし、間違っていれば変な漢字になりますから、自分が記憶していたピンインを修正することができます。

このようなパソコンでのディクテーションを通じて、「音→ピンイン」「ピンイン→漢字」という変換のトレーニングをするわけです。

そして手書きによるディクテーション、パソコンを通じたディクテーションの両方を同時に行うことにより、最終的には「音⇔漢字⇔ピンイン」といったように、脳内で「音」と「漢字」と「ピンイン」を自由自在に変換できる思考回路を目指します。

これを行うことで中国語のヒヤリングはかなり上達するでしょう。

第2段階:文字単位の書き出し

このようなトレーニングをしてある程度自分に知識がついたと感じたならば、次のトレーニングをしてみましょう。それは「文字単位の書き出し」です。

つまり一音節の同じ発音の漢字を「字典を見ないで」知っている限り書き出してみるというトレーニングです。

例えば

ピンインのyi1の同音文字は
・一
・伊
・医
・衣

といった具合です。この場合、パソコンを使うと変換候補ですぐわかってしまうので、必ず手書きでやってみましょう。詰まってしまったら字典を引いて、頭からひっぱり出せなかった漢字を書きだしてみます。

理想は全ピンイン4通りづつです。ただ、「全部やれないよ」という方もいると思うので、あせらず着実にやっていくことをお勧めします。

そのようなトレーニングにめどがついたら、次はその逆をやってみます。つまり、任意の1文字の発音をピンインで書き出します。例えば

说の発音は
・shuo1
・shui4

と言った具合です。これも全文字行うのが理想ですが、数万ある漢字を個別にやれと言われても、そうそうできないと思います。なので中国語の文を用意して、一文字一文字やってみたり、思い出したときや暇なときに手を動かしてみるというのも手でしょう。

中国語においては1文字に複数の発音が充てられている漢字は少ないので、それほど難しくはないとは思います。

ここでもう一度注意喚起をしておきますが、この「書き出し」で重要なのは手で書くことです。手を動かすことによって、確実に脳に知識を叩きこむことができます。

◇◇

どうでしょうか。「ディクテーション」と「書き出し」という2つを日々の勉強のルーティンとして取り入れれば、皆さんの中国語のヒヤリングは確実に向上すると思います。上級者への道として取り入れてみてはいかがでしょうか。

サポートしていただければ、よりやる気が出ます。よろしくお願いします。