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バイリンガルを目指す上で大切なもの

バイリンガル。外国語を学んだことがある人ならば誰しも、このバイリンガルになることにあこがれたことがあると思います。実際私も日中バイリンガルにあこがれてそれを目指した時期がありました。

その上で、今回は日本語と外国語のバイリンガルを目指す人に向けて、バイリンガルになる上で重要になる「母国語の能力」というテーマで少し語りたいと思います

まず最初に断わっておくのですが、、私は言語学を研究しているわけではなく、あくまで素人考えであることをご理解ください。

語学界隈でよく言われること。それは「子供をバイリンガルに育てるにしても、まずは母国語(どちらかの言語)の土台をしっかりすべき」というものです。

私も基本的にこの考えには賛同しています。なぜか。それは外国語能力を向上させるためには、その前段階として「思考力」「論理力」をしっかりと養うことが必須だと考えているからです。

赤ちゃんみたいに一言二言言うだけでいいとか、相手とあいさつを交わすだけでいいというなら別ですが、われわれは社会人として、日々社会生活を送っているわけで、そうある以上外国語であれ日本語であれ、「ちゃんと会話として、相手に伝わるように論理的に整理して、理解してもらえるよう話す」スキルは最低限度必要であるのは皆さんも分かるでしょう。またみなさんにとっては、それが外国語を習得する上での最終到達点であるはずです。

実のところ「論理的に考える能力」と言うのは、外国語能力以前の問題です。しかしこれは優れた外国語能力を習得する上で前提となる能力でもあります。「伝える能力」が母国語よりもいくらか劣る外国語では、相手に伝えたいことを下支えする「ロジック」が、相手に理解してもらう上で重要になるからです。だからこそ論理的に考えることのできる能力は重要だと私は考えています。

しかし、脳内で論理立てて話したり、考えたりするにもちゃんと土台となる言語が必要です。その土台となる言語の習得レベルが高ければ高いほど高度な思考をすることができるわけです。

一方でこれはよく言われることですが、例えば日中バイリンガルにしても、日本語のレベルと中国語のレベルが全く同じ高いレベルで習得している人というのはそうそういません。

加えてバイリンガル子育て界隈でよく言われるのが、「バイリンガルに育てたくて、環境も整えたのに、日本語も、外国語もどっちつかずの子に育ってしまった」というもの。

例えば小さいころから、日本語でも中国語でも同じように触れる機会のある環境に身を置いていれば、日本語であっても中国語であってもある程度のレベルの会話はできるようになります。特に中国語の会話は、現地の人とそん色のない言い回しの会話ができる可能性が高いです。

Xの中国語界隈でも「私は日中バイリンガルです」と公言している人が何人かいます。たしかに環境さえ整えればどちらの言語でも、現地の人たちとそん色ないくらいきれいな発音で悪口や軽口を言えるでしょう。同学と流行りのファッションやゲーム、漫画の話題で盛り上がることもできるでしょう。

しかし一方で、日本語でも中国語でも同等の思考レベルで、論理的に人と議論したり、高度な会話をしたりすることができる人はそれほど多くないのではと思っています。

つまりこれは、小さいころから日中どっちつかずの環境にいれば、「日本語」のレベルも、「中国語」のレベルもおぼつかない中途半端な「バイリンガル」ができあがってしまう危険性をはらんでいることを意味します。これはひとえに「何語で物事を考えるか」という習慣が身につかなかったからだとも言えます。

ただ、これって私が当noteで以前話していた「外国語を極めたいなら、外国語で考える習慣をつけろ」という主張と相性が悪いのでは?と考える方もいるかもしれません。

しかし先ほど私が話した通り、「論理的に考える能力(物事を相手に分かるように説明できるできる能力)」は外国語能力以前の問題です。あらかじめ論理的に考える能力が備わっていれば、あとはある程度の外国語能力と「外国語で考える習慣」をみっちり練習すればいいだけの話です。そうすれば相手に理解してもらえるだけの会話能力をすぐ整えることができるでしょう。

逆に母国語(土台となる言語)であらかじめ「論理的に考える能力」を身に着けていなければ、いくら外国語のレベルが高くても、言葉はそうそうでてきませんし、相手に分かるように説明することなどできません。

だからこそ。翻訳者を目指す人でなくても、外国語を習得したい人、バイリンガルに近づきたい人こそ、新聞やニュース、本などをある程度読み、それに対して日々自分が思っていること、自分の周りの環境に対する自分の考えをあらかじめ言語化できるようにすることをおすすめします。日中バイリンガルを目指したいのなら、日本語で言語化するのもいいし、中国語で言語化するのもいいでしょう。

つまり自分であらかじめ理論武装しておくのです。そうすれば、母国語であれ、外国語であれ、いざ相手と会話する時にすんなりと会話を始めることができるようになるはずです。

母国語で相手にうまく説明できない人は外国語を勉強したとしてもうまくはいきません。中国語の勉強を始めてある程度の時間が経った時に、この点に気付いた私は、私の弱点でもあるこの問題を解決しようと長い間努力してきました。こうやってnoteで記事にして皆さんにお届けしているのも、そのトレーニングの一環でもあります。

より深い外国語能力を身に着けるためには「論理的に考える能力」が必要。それを肝に命じておきましょう。

サポートしていただければ、よりやる気が出ます。よろしくお願いします。