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アンパンマンのマーチ 20210902

今日はなんだか良い1日だった。
素晴らしい本を読む事ができたから。

やなせたかし著
「わたしが正義について語るなら」

アンパンマンの生みの親やなせたかしが正義をテーマに書いたエッセイ。
で、あってるのかな。
書評なんて大仰な事はできないので思った事を少しだけ書き残す。

ざっくり本の内容をまとめるとやなせたかし自身の人生を振り返りつつ正義とは何かを説いていく本。
最後はアンパンマンのマーチの歌詞がまるっと載せられて終わる。

少し話が脱線するがアンパンマンのマーチには少し思い入れがある。
初めてうつの診断を受けた時。
処方箋を持って薬局に行くとちょうどアンパンマンが流れていた。
平日の昼間にテレビを観ることなんてそう無いからアンパンマンがこんな時間に放映されている事さえ知らなかった。
受付を済ませ待合室の椅子に腰をかけた時、その歌が流れてきた。

なにが君の しあわせ
なにをして 喜ぶ
わからないまま おわる
そんなのは いやだ!

ベタだけどふと聴こえてきたこの歌詞に泣いてしまった。
大の大人が公衆の面前で。
コロナのおかげでマスクをしていたのが救いだった。
溢れてしまう涙を抑えるのに必死だった。

人と歌には時として運命の様に出逢うべくして出逢う瞬間があると思っている。
素晴らしい歌だというのはずっと前から知っていた。
だとしてもよりにもよって今流れてくるかね、と。

この歌が素晴らしいって事は死ぬ程言われてきているだろうし、多分俺の力量じゃその素晴らしさを書き出せないだろうからそれは断念する。

とにかくそんな経験があったもんでアンパンマンにはちょっと心に引っ掛かるものがあった。
図書館に行き本棚を眺めているとふと今回の一冊が目に入った。
タイトルを見て気になって手に取ってみると著者がやなせたかしじゃないか。
何かの引き合わせだと思ってこの本を借りてきた。

あのアンパンマンのマーチを書いた人だから疑い様がないのだけれど改めて優しい人だったんだろうなと思う。
語り口の柔らかさや、ささやかに通底するユーモアが読んでいてとても心地良かった。
自分の絵は下手だとか自嘲気味に語るのだけど決して他を貶める様な事をしない。
戦争体験についても言及されているのだけど、そこから反発的に現れる正義の在り方に深く胸を打たれた。
悪と戦うのが正義ではない、飢えた子を助けるのが正義だと。

昔から読書感想文は苦手だけど、今回は訳が違うな。
感動が大き過ぎて言葉に詰まってしまっている。
自分の大切な人みんなに配って周りたいくらい素晴らしい本だった。
何なら世界中の人に届いて欲しいメッセージがいっぱい詰まってる。
まあ究極を言えばこの本を読まなくても歌があるからさ、それをここぞの時には聴いてくれよって勝手に思ってる。

こんなに胸がスッとするのはいつぶりだろう。
確実に心の何かに効いたぜ。

もし歌を聴くのが億劫なら歌詞だけでも読み返してみて欲しい。
敢えて言うなら日本の「Imagine」ってところじゃないか。
本当の事しか歌われていない。
良い気分だ。

今日はここまで。

ドリーミング / アンパンマンのマーチ

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