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豆ご飯は苦手、翡翠煮は好物

毎年この時期になると書く日記
それは豆。


小さい頃
ばあちゃんが作る豆ご飯、
口のなかがモソモソして
厚目の皮が最後まで残って
実は嫌いだった

昆布の味と塩気で
なんとかのりきってた記憶。

よその家で
缶詰めグリンピース飯を食べたとき
『え、なにこれめっちゃ食べやすい』
と絶賛し
その人から
これは手抜きのバッタもんで
いかに我が家は手間を掛けてたかを
諭された記憶があるほど

うすい豆は攻略難航野菜だった。

年を取ると味覚が鈍化し
口内触感も鋭敏さが減るので
うまいと感じるものが増えてきた


しかし
相変わらず苦手な豆ご飯、

しかししかし
この時期必ずいただく
鞘に入ったうすい豆。

数年前そんな私に
神の啓示がパァっと降りる

定期講読している雑誌に
「豌豆の翡翠煮」なる
見た目がとても美しい料理を発見、

蓮の葉状に広口の
ぐるり金縁で囲われた
白地に碧のガラス引き小鉢、
推測できるサイズ感としたら
湯呑み程度か


かなりデコラティブで
強めのデザインながら

中に入っているものの見た目が
実直かつ
安定感のあるフォルムの集合体なので

それはもう見事な調和。

主役は
透き通ったおだしに
静かーに浸っている粒揃いの豆たち、
すべてがツルッとし
水面のしたで整然と
まぶたを閉じて待っているようで

潔い料理に思えるほど。

私なら
匙は竹、持ち手は朱塗りの
凝った造りの大ぶりスプーンで
汁ごと
ドブリとすくって食べたい

写真を見たのが
その年の旬を過ぎてからだったので
一年待って
ようやく口にすることができた
「えんどうのひすい煮」

自作の翡翠煮は
キレイなグリーンではなく
やや黄みの濃い若竹色。


しかしながら
口に含み一噛みすると
イクラのごとく皮が弾けて
中からおだしが
びゅうッと吹き出す瑞々しさ

噛むにつれ
豆と汁が口のなかで混ぜ合わさり
和風ポタージュのように
変化してくる


口中料理を喉へ送り込むと
残るのは薄皮
ところが浸し続けたせいなのか
いとも容易く奥歯ですりつぶせる。

身とは違って
なんとなく香ばしいような
味がしてくるのが不思議だ


ここまで書いて
冷蔵庫の常備菜棚にある
翡翠煮を増やしたい気持ちが動く

今年の実えんどう、まだあるかなと
少しだけ気になったので
スーパーが開いたら
買いに走ろうと思います。







写真はinainacoさまよりお借りしました、ありがとうございます。

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