【詩】麻酔
傷口から全身を塗りつぶす様に
鈍く青く広がる痛みは
うっすらと身体の奥に溶けていった
慣れてしまった身体には
どろりとした泥の様な痛みが
むしろ快感にも似た高揚感を与えてくれる
次第に浸っていく心の奥で
やり過ごしてしまった日々を
何故か思い出す
荒れ立つ水面のような焦燥感
その暗い奥底に沈みながら
いつか感じた痛みが乱反射し続ける
時間は麻酔のようだ
流れ続ける水の流れが
岩の先端を削るのと同時に
鮮明に感じたあの痛みを少しづつ
心の奥に沈めていく
何度も何度も何度も
何度も何度も何度も
浴び続ける麻酔のような日々の中で
蒼白する痛みの輪郭を
文字に何度も刻み付けた
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