アマプラ映画感想メモ#11『タクシードライバー』

慣れてきたようで全然慣れないアマプラ映画習慣第十一回目。
致命的なネタバレは避けるべく努力するが、あらすじや表現、全体の構成についてなどは触れようと思うので、一切情報を入れずに映画を観たい方はお気をつけて。

今回観た映画はこちら。

『タクシードライバー』

〇観ようと思ったきっかけ

『映画大好きポンポさん』で、ジーンくんが好きな映画三選にこの映画を選んでいたため。

〇概要

1976年公開のアメリカ映画。監督はマーティン・スコセッシ。
第二十九回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した。

〇あらすじ

元海兵隊の帰還兵トラヴィスは不眠症のためタクシー会社の夜勤に就職、夜のニューヨークでタクシーを走らせていた。彼は大統領候補の上院議員パランタインの事務所で働くベツィに一目ぼれしてアプローチを掛けたが失敗。徐々に周囲への不満を募らせていく。

〇ノート

常にどことないフラストレーションに満ちた映画だった。
中盤までシーン同士がどういう意味付けで繋がっているかの法則が見えず、トラヴィスがひたすら小さな空回りや不和を積み重ねていくのを不安と共に眺める中で、何かが来そうな予感だけが募っていく。
特にトラヴィスの抱える欠落については、様々な場面を通じてこれでもかと思い知らされ、彼の一挙一動にハラハラさせられた。
だからこそ、後半にトラヴィスの行動に明確な方向性が出現した瞬間、全てのピースが(最悪の形で)ハマる暗い気持ち良さがあった。
そんな彼が起こした行動を、善とも悪ともつかない描き方をしている点が、この映画の何より凄い所だと思う。
特に好きなのは、武装していくシーン。
心の中の中学生が盛り上がると共に、共感性羞恥で悶えそうにもなった。

〇感想

映画好きな人がよく好きな映画にあげるらしい『タクシードライバー』。確かに名作だったけれど、たぶんその内容を自分は掴み切れていないと思う。
そもそもトラヴィスと世間とで世界の見え方が違う映画なので、どうやっても解釈に齟齬と言うか、揺らぎのようなものが生じてしまう気がする。それ自体が映画のテーマにもなっているところに完璧さを感じる。
どういうことを考えていたらこんな構成にできるのだろうか。

では、また次回。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?