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アマプラ映画感想メモ#8『殺人狂時代』

アマプラで映画を観まくる日々、二週間目に突入。
致命的なネタバレは避けるべく努力するが、あらすじや表現、全体の構成についてなどは触れようと思うので、一切情報を入れずに映画を観たい方はお気をつけて。


今回観た映画はこちら。

『殺人狂時代』

〇観ようと思ったきっかけ

アマプラに入るに際して後輩におススメしてもらったため。

〇概要

1967年に公開された岡本喜八監督による日本映画。
原作は都筑道夫による小説作品『飢えた遺産』。

〇あらすじ

ドイツ人ブルッケンマイヤーは日本のとある精神病院を訪れ、かつての同志である溝呂木省吾と再会、溝呂木率いる秘密結社『大日本人口調節審議会』に殺人の依頼を持ちかける。個性豊かな殺し屋たちが選ばれたターゲットたちを殺戮する中、冴えない大学講師、桔梗信治のもとにも殺し屋がやってくる……

〇ノート

映画は突然精神病患者たちの奇行から始まる。
人形を手に叫ぶ男、裸で鉄格子に飛びつく女、掛け算しまくる男たち、交互にスクワットを続けるオッサンたち……
彼らの閉じ込められた檻を眺めながら歩く元ナチスの男二人と、寡黙なその部下……

この最初のシーンで頭の中のリアリティレベルがぐーんと押し下げられたのを感じた。特撮感があるというか、これはフィクションですよ!と、本題に入る前に観る人の頭を慣らしている感じだ。
そうやってリアリティの制約を取り払った分、ちょっとやり過ぎなくらいに面白いキャラ起てがスムーズに行われ、主要人物が揃う頃には彼らの行動から目が離せなくなっている。
また、そうしたコメディチックな展開の中に油断ならない展開や伏線を仕込んでくるのがとにかく絶妙だった。
どんでん返しも急ではなく、序盤にブルッケンマイヤーが脱落するくだりから少しずつ慣らされていく感がある。

総じて色々ぶっ飛んでいるけれど、決して不親切ではない、とにかく楽しいエンターテイメント映画だった。
こういうノリの作品も好きかもしれない。
今の時代に放映できるかどうかは別として……

〇感想

きたる2021年7月15日、この映画の原作『飢えた遺産』が『なめくじに聞いてみろ』という別タイトルとして新装版が発売されるらしい。
元々は小説創作のためのインプットとして始めた習慣でもあるので、この機会に読んでみたいと思う。

それにしても最近思うのは、ほんの数十年程度では人の面白さに対する感覚はそう変わらないなということだ。八十年前の映画である『駅馬車』も、五十年前の『殺人狂時代』も、価値観や生活の時代の差はあれど、同じように面白い。

映画を観続けることで、世代を超えて愛される作品たちに共通する面白さの核のようなものを掴めたらなと思う(そう簡単に掴めるようならば苦労しないけれど)。

それでは、また次回。

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