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【青春18きっぷ】納沙布岬から北方領土を眺める

本サイトの元記事には、ここに載せきれなかった写真もたくさん載せていますので、ぜひご覧ください!


釧路発、始発列車で根室へ

まだ薄暗い駅のホーム。薄暗いというか、暗い。早朝というか、まだ夜の延長だ。
この日は青春18きっぷを使って、「納沙布岬から北方領土を眺める」という目的で、釧路発5時35分の根室行きの始発列車に乗り込んだ。
温かいペットボトルのお茶を片手に、冷たい風を避けるように乗り込んだ列車の中は人もまばらだった。私と同じように、根室まで向かいそうな観光客風情の乗客の姿も数人…といった感じだった。

始発列車の出発を待つ釧路駅のホームはまだ暗い。

【釧路→根室 2,860円】
05:35発 釧路 JR快速はなさき・根室行
08:01着 根室

約2時間半の乗車。135kmの鉄路が走る。釧路と根室の間は11の駅があるが、逆にいうと、135kmもあるのに11の駅しかない。時間もさることながら、北海道…とくに道東地方で列車に乗っていると、距離と時間の感覚がおかしくなる。日本においては、それだけ広いということなのだ。

そして残念すぎることに、車窓からの風景の写真がなく、いきなり根室に到着なのである。
途中、窓の外の森の中を鹿たちが走るまわる姿を見たりすることができたわけだが、「あ、鹿だ!」と思った時にはシャッターボタンを押すタイミングを逃している。そして、そもそも窓の曇りがすごくて、写真を撮ってもぼんやりしたものばかりなのだった。

根室駅は「日本最東端」の駅ではなかった

そんなわけで、いきなり根室に到着している。
到着して、いちばん驚いたのが、根室駅は終点なのだから日本最東端の駅だと勝手に思い込んでいたのだが、実際はそうではなかったことだ。根室駅は「有人駅の最東端」であって、実際の最東端の駅は「東根室」なのだった。たしかに、西から東の根室に向かって走って来たはずなのに、終着の根室駅の1つ手前が「“東”根室」というのも、この時に初めて納得したのだった。
日本で最東端の駅に降り立った!と思い込んだ私の気持ちは行き場を失ってしまったわけだが、「有人駅の最東端」なんだから、まあいいか…と、細かいことは気にしないのである。

「日本最東端の駅」と思い込んでいた根室駅は「最東端」ではなく…

バスで納沙布岬へ

根室駅のとなりのバスターミナルから納沙布岬へ。
ターミナル内の乗車券の自販機はキャッシュレス決済専用機も設置してある。納沙布岬までは往復で1970円…だが、せっかくなので、1日フリーきっぷ(2080円)を購入。

根室駅前バスターミナル

どんよりとした空模様の中、バスに揺られること、約40分。納沙布岬に到着。

海風が冷たすぎて、あまりの寒さに耐えられない納沙布岬

とにかく海からの風が強く、寒い。寒すぎる。耳が凍って、取れてしまいそうだ。
あまりの寒さに耐えることができず、「四島のかけ橋」や「祈りの火」など、北方領土返還祈念のモニュメントなどをパパっと撮影し、資料館「北方館」に退避。

「四島のかけ橋」と「祈りの火」

資料館には望遠鏡と電子望遠鏡があり、北方領土の一部である群島の姿を見ることができる。
こうして実際に未返還の日本の領土を眺め、身近に感じるのは初めてのこと。海上保安庁の巡視船が行き来し、その向こうに貝殻島灯台や水晶島が見える。貝殻島灯台は肉眼でも見える距離にあり、2023年にはロシア側の動きがあった場所。こんなに近いとは思わなかった。

巡視船の向こうに見える貝殻島灯台と水晶島

1時間弱の短い滞在を終えて、寒さから逃れるようにして根室駅行きのバスに乗る。
本当は、帰りのバスを途中下車して、日本最東端の銭湯に入ろう…なんていう野望もあったのだが、あまりに寒くて、こいつは湯冷めしたら大変だ…ということで断念。根室市街の外れにある明治公園だけ見学して、駅に戻ったのだった。

【納沙布岬→駅前ターミナル】
09:55発 納沙布岬 根室交通
10:39着 駅前ターミナル

根室のご当地グルメといえばエスカロップ

根室に来たらぜひ食べたいと思っていたのが、ご当地グルメ「エスカロップ」。バターライスに薄切りのトンカツを乗せて、デミグラスソースをかけた洋食だ。「ニューモンブラン」「どりあん」といった老舗の洋食店や喫茶店で食べることができる。
この日、やって来たのは、やはり古き良き喫茶店の雰囲気を持つ「薔薇」。

「薔薇」のエスカロップ

ランチを食べた後は、途中、市立図書館に寄ったりしながら(地方の図書館に立ち寄ると、郷土資料などの陳列に個性があって面白い)、根室駅まで歩いて戻る。
歩きながら視線を上にすると、交通案内標識にはアルファベット表記とともに、ロシア語のキリル文字が併記されていることに気が付く。ロシアのウクライナへの侵攻以降の現在はどうなのか分からないが、根室港に入港するロシア人のためのものらしい。こんなところからも、根室がロシアと近しい土地であることを知ることができる。

キリル文字が併記された交通案内標識

帰りの列車は13時34分発。早朝のまだ暗い5時頃から活動していたせいか、まだ昼時だというのことに、やけに1日が長く長く感じる。うとうとと、眠っているような、起きているような間を行き来しながら、帰りの車内での時間を過ごした。

【根室→釧路 2,860円】
13:34発 釧路 JR快速はなさき・根室行
15:56着 根室

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