きらきら✨な話 No5:役割が人の行動を変える?
知識創造でいちばん大切なコンセプトは暗黙知。
「暗黙知xきらきら」な話、その5。
大学院(MBA)で学んだことで、ショックを受けたものに「ミルグラム実験」と「スタンフォード監獄実験」がある。組織行動の人に対する影響力というテーマの授業だったように思う。
”人は、権威や役割が与えられると、普通なら行わないような残虐なこともできる・するようになってしまうのか!なんてこった!”
ところが、2021年出版の『Humankind 希望の歴史 上・下』で著者のブレグマンがこの実験は捏造だと指摘している。人は、これらの実験結果が示すような性悪説ではなく、性善説であることを示すエピソードも示している。
知識創造理論は、”超”性善説に立つ(と私は主張している)。
知識は個人で抱え込んでいても、何の役にも立たない。他者と共感して、共に新しい知識を創り、一緒に実践するときに、知識は役に立つ。だから、人は、自分が持っている知識や知恵を他人に教えたいし、教えた知識を使ってもらえたらうれしくなる。一緒に新しい知識を創り出すのは楽しいし、新しい知識ができたらうれしくなる。性善説そのものだ。
先日のゼミでは「貿易ゲーム」を行った。モノを作って換金し、お金を稼ぐという内容で、チームはそれぞれモノを作るための条件が違っている。チーム同士で交渉したり協働できたりするかどうかが、お金をどれだけ稼げるかにつながる。利己だけではダメで、利他が必要、というところが知識創造に似ている。
ゲームが始まって、始めのうちは、自国の利益を優先するような言動が見られて、「役割が与えられるとそれに従ってしまうのか?やっぱり、性悪説なのか?」と、ハラハラした。しかし、そのうち、自国の主張だけではうまくいかないことに気がつき、大局的にも見られるようになったのか、Win-Winを模索するようになった。長い目で見て、損して得取れ。利他で自分も栄えよう。そんな感じになってきた。
役割は人の行動を変えるかもしれないが、表面的にすぎないのではないか。そのうちにその人自身の本心や本質、つまりは、暗黙知が表に出てくる。そしてその暗黙知は「”超”性善説」で、必ず善い方向へ向かう。
そんなことを思ったゼミだった。
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