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半沢直樹新シリーズ第4話の感想【ネタバレ注意】

おはようございます。

#意識低い系社長  です。

さて、いよいよ前半のフィナーレともいえる、半沢直樹第4話についてですが、放送前からTwitterで香川照之さんご本人と思われるアカウントの投稿が話題になりました。

御自身で「親戚漫才」と言うまでの、時代劇はどのような展開を見せたのでしょう。


1.前回までのあらすじ


前回、半沢たち東京セントラル証券は、瀬名社長率いるスパイラルが郷田社長率いるフォックスを吸収合併し、スパイラルとのアドバイザー契約を結ぶことになり、東京中央銀行融資部の伊佐山・副頭取の三笠と手を結んだ平山社長夫妻率いる電脳雑伎集団、との正面からの対決を宣言しました。

しかし、半沢は「なぜ電脳雑伎集団がスパイラル買収案を、メインバンクである東京中央銀行ではなく、東京セントラル証券に一度持ち込んだのか」という疑問を感じ、電脳雑伎集団の平山社長の側仕えのような男、玉置が革新的な次世代スイッチング電源の特許を持つ玉置の父親の会社(電脳雑伎集団により買収、子会社化)から引き抜かれており、その特許及び買収劇に何かある、と踏み、玉置とコンタクトを取ります。しかし、約束の場に現れたのは玉置ではなく、電脳雑伎集団の平山社長夫妻でした。


2.半沢直樹第4話のあらすじ~前半


半沢たちの前に現れた平山社長夫妻(主に妻)は、玉置は「一身上の都合で退職した」と伝え、半沢たちに「親会社に楯突くなんて」と嘲笑しました。ぐっと堪える半沢、そして半沢たちは玉置が追いやられたであろう、玉置の父親の会社「電脳電設」へ向かいます。

受付で名刺を見せるも、しっかり電脳雑伎集団からの手が回っているのか、全く対応してくれそうにありません。社長にも玉置にも会えないまま帰るしかない、そんな状況の中、半沢は工場にいる一人の年老いた職人に目が止まります。

熟練した職人の手によって巻かれたコイルは、精密機械で作られたものよりも伝導率も大幅に違うと聞きます。素晴らしい技術をお持ちですね。

半沢がそう声をかけた人こそ、玉置の父親であり、電脳電設の社長でした。半沢は大阪西支店にいたときから、町工場の技術力や職人という専門家の存在の重要性を常に意識していて、とても共感しました。このあたりは部下である森山と瀬名社長も「万年筆」をテーマに繋がっていて、「下町ロケット」にも通じるモノづくりへの尊敬と情熱を感じます。

さて、一度は職人としての腕を褒められ、気を許した社長も半沢たちが東京セントラル証券の人間と聞くと、帰ってくれ。とそっけない対応を取ります。食い下がる半沢たち。すると、目的の人物である玉置が現れます。

半沢たちは玉置親子に、電脳雑伎集団に人質にされている「次世代スイッチング電源」の特許を買い戻す方法を伝え、自分たちをどうか信じて欲しいと訴えます。その熱意と真摯な態度に玉置は、「電脳雑伎集団が”粉飾”を行っていること」を暴露します。


3.半沢直樹第4話のあらすじ~中盤


さてここからは怒涛の展開です。

東京中央銀行では三笠が大和田に頭を下げ、常務のポストを約束したことで、電脳雑伎集団への500億の追加融資がほぼ決まったような状況にあり、スパイラルはいまだ危機的状況でした。

半沢は、伊佐山に渡すよう「電脳の経理状況に不審な点があること。電脳電設とのやり取りを調査すべき」と書いたメモを伊佐山の腰巾着である諸田に渡します。しかし直後、何者かがそのメモを取り上げてしまいます。

東京セントラル証券では、『「次世代スイッチング電源」の特許を電脳雑伎集団から買い戻すプロジェクト』への出資者を広く募集をかけ、中堅電機メーカーが名乗りをあげます。しかし、契約の段取りになったところで横槍が入ります。

メインバンクである東京中央銀行の大和田は出資を許容したのに対し、直後伊佐山から強く出資を反対されたことが原因だと分かります。

その不穏な空気を引きずるかのように、中野渡頭取から大和田に手渡された「帝国航空再建のプロジェクトメンバー」に大和田の名はなく、伊佐山がリーダーとなっていました。さらに退任する予定だった常務も退任を翻したとのこと。

怒りで全身を震わせた大和田は伊佐山を呼び出します。

そう、伊佐山は大和田を裏切っていました。裏切りの裏切りです。トリプルスパイです。ここまで育ててやったのを誰だと思ってる!と怒る大和田に、「この土下座野郎!」と捨て台詞を吐く伊佐山。大和田は悔しさから、「あの土下座をした場所で」膝から崩れ落ちます。いい演技してますねぇ。


4.半沢直樹第4話のあらすじ~後半


打つ手なし、理不尽だ。と嘆く森山に、半沢は心に響く名言を残してくれます。

「戦え」と。「3つの信念を持って戦え」と。

半沢曰く、
「一つ、正しいことを正しいと言えること。」
「一つ、組織の常識と世間の常識が一致していること。」
「一つ、ひたむきで誠実に働いた者がきちんと評価されること。」

この当たり前が出来ない原因は「自分のために仕事をしているから」。
この心構えを忘れないように森山に伝えます。追加融資が決まれば、確実に自分の首が飛ぶであろうことを予見し、森山に自分の信念を伝えた半沢。
目頭が熱くなりました。

さて、そこで森山と別れ、半沢が会いに行った人物。

お待ちかねの、大和田です。

電脳の粉飾を知った半沢は大和田に協力を持ちかけます。
大和田は速攻で「死んでも嫌だねっっっ!!帰りなさい!負け犬、半沢直樹くん!!」とブチギレをかまし、車で走り去ろうとしますが、無理矢理、車を止めた半沢は、


「随分と情けないですねぇ。
 あの大和田暁が部下に言いように利用された挙げ句、
 すごすごと退散ですか!
 だったら、あなたこそ負け犬だ!
 このまま、やられっ放しで終わりつもりですか?
 役員会議までには、まだ15時間あります。
 わたしが憎いのなら、それでも結構。
 ただし、わたしはあなたの見返すカギを握っている。
 わたしを利用しませんか?


鼻で笑い、車を出させる大和田でありましたが、直後引き返してきて、
「おい、やっぱり話を聞かせろ。」と言うチャーミングなシーンがあります。ホントここ大好き

さて、東京中央銀行・役員会議当日、もう根回しの済んだ「電脳雑伎集団への500億の追加融資」の案件はすんなり稟議が通る・・・はずだったのが、スッと手を挙げる大和田。

「わたしより詳しい人間がおりましてね。お呼びしてもよろしいでしょうか。」と頭取に問う、大和田。

頭取の許可をもらい、大和田に促され入ってきた半沢は開口一番、「稟議書をゴミクズ」扱いします。そして電脳雑伎集団の粉飾を洗いざらい、ぶちまけます。この間、実に愉快そうな大和田の表情に笑いが堪えられませんでした。

三笠は責任の全てを伊佐山になすりつけるため、伊佐山に半沢への謝罪を無理矢理させます。伊佐山は渾身の顔芸で「あぃ・・・すみ~~ま~~せ~~ん~~で~~した~~」と敗北宣言。まずは憎き伊佐山に「倍返し」!

さらに半沢の「電脳雑伎集団の経理状況を調査すべし」と書いたメモを揉み消したとして諸田にも「倍返し」!

伊佐山も諸田も切り捨てようとする三笠、ですがそこは半沢、森山と連携し、電脳雑伎集団の平山社長夫妻と三笠との個人的な収賄の暴露をさせ、
三笠にも「倍返し」!

これにて一件落着。って本当に時代劇ですねこれ。


5.半沢直樹第4話~ラスト


さて、当然のことながら、三笠、伊佐山、諸田は指詰めならぬ、島流し人事で、電脳雑伎集団への財務立て直し、及び債権回収のため出向が決まります。

そして、半沢にはようやく、東京中央銀行への栄転が命じられます。

東京セントラル証券での最後となる日、半沢部長として皆に演説をします。


「勝ち組、負け組という言葉がある。私はこの言葉が大嫌いだ。
 だが私が銀行からここに赴任したときによく耳にした。
 銀行は勝ち組。
 俺達、子会社の社員は、プロパーの社員は負け組だってな。
 それを聞いて、もちろん反発する者もいたが、
 大半は自分はそうだと認めてた。
 だが今はどうだ?
 君達は大銀行が総力を挙げてもなし得なかったことを成し遂げた。
 負け組だと思っていた君達がだ!
 大企業にいるから、いい仕事ができるわけじゃない。
 どんな会社にいても、どんな仕事をしていても、
 自分の仕事にプライドを持って日々奮闘し達成感を得ている人のことを、
 本当の勝ち組というんじゃないか
と俺は思う。
 ここは若い会社だ。
 君達は40代から20代。大半は 就職氷河期で苦労をした人間だ。
 そうした事態を招いたバカげたバブルは、
 自分達のためだけに仕事をした連中が、
 顧客不在のマネーゲームを繰り広げ、世の中を腐らせてできたものだ。

 その被害を被った君達は、俺達の世代とはまた違う見方で
 組織や社会を見てるはずだよ。
 そんな君達は10年後、社会の真の担い手になる 。
 君達の戦いは この世界をきっと よりよくしてくれるはずだ。
 どうかこれからは胸を張ってプライドを持って、
 お客様のために働いてほしい 。
 たとえ相手が銀行でも遠慮することはない。
 君たち世代の逆襲を!
 いや、君たちの倍返しを!
 私は心から期待してる。」


多くの視聴者が心の中で拍手喝采したに違いありません。よくぞ言ってくれた、と。

わたしも思わず涙が溢れそうになりました。


その後、森山は瀬名社長にスパイラルに転職しないか、とスカウトを受けるも、半沢の言葉を受けて証券マンとしてやっていく決意を固め、スカウトを辞退します。

さて、銀行に戻った半沢次長に、頭取から直接司令が下ります。

そう、「帝国航空再建プロジェクト」です。

本来大和田を筆頭にしたプロジェクトのはずでしたが、そこにはやはり大和田の策略があるのか、別の人間を置くことにしたようです。

半沢は帝国航空に直接面談し、再建プロジェクトをラストチャンスとして経営陣に叩きつけるも、経営陣は乗り気ではない様子・・・。

そんな中、支持率の低下していた政府は支持率回復を目論み、内閣改造人事が行われ、小池都知事や蓮舫議員を彷彿とさせる元女子アナの白井、という女性の国土交通省大臣の誕生がサプライズ人事として発表されます。

さらに記者会見で白井大臣は「帝国航空再建タスクフォース」の立ち上げを発表。同時に、帝国航空への銀行債権の7割カットの要求を打ち出してきました。

あまりにも、出来すぎた流れにさすがの半沢も、呆然。
今度の相手は、政府、国交省、そして政権与党の幹事長となるようです。
どことなく今現在とリンクしているような・・・。

さすがに手強そうだな、というところで今回は終了です。


6.感想


いや、ほんと長いって…。感想書くまでに4,200字越えってどうなってんの、このドラマ。

まぁ長台詞を文字起こしするために何度か見返したりしてるのも影響しているんですが、半沢直樹にかける時間が多すぎて自分でも笑えます。

今回の感想として、わたしが着目した点は3つです。


・ 半沢のモノづくりへの執着

・ バブル世代への痛切な批判

・ 勝ち組、負け組というゾーニングへの皮肉


まず、半沢の根底にあるのは「町工場の経営者であった父への尊敬」だと、わたしは思っていて、「職人の手によるモノづくり」に特別な感情を抱いていることを見てとれます。
これは、わたしの個人的意見なんですが、デジタル化され高度情報化されたとしても、職人が職を失わないのには、「機械が再現できないから」という理由だけではないと思っています。
ハンドメイドをはじめとした、人の手によるモノづくりには、モノに魂が宿るとわたしは以前より思っていて、機械で計算されて作られたモノに比べて、「目には見えないお客様へのための創意工夫」が施されていることが多々あるのです。

ですから、半沢がモノづくりに執着するように、わたし自身、モノを作って売る仕事をこれからも愚直に続けていきたい。そう思っています。


次に、バブル世代への批判ですが、わたしは今年で36歳。まさにバブル絶頂期に生まれた世代であり、物心がついたころにバブル崩壊を経験しています。逆に言えば、物心ついたころからはずーーーーっと不景気しか経験していません。

就職氷河期世代よりは少し下の世代ですが、やはり新卒就職は、まだまだ買い手市場でなかなか厳しい思いをしました。(まぁわたし自身の怠慢でもありますが…)

半沢は、バブル期に入行した世代ですので、まだまだ世の中は狂騒曲真っ只中だったでしょう。そんなバブル期を創り上げた団塊の世代への痛切な批判は、今定年を迎えようとしている人たちには耳の痛いものだったでしょう。

今の20~40代はまさにその負の遺産とも呼ぶべき、バブルの痕跡を担がされ、高齢化社会を支えるために重税を課せられ、それでいて近頃の若者は消費をしない、と上から目線で説教までされる世代です。ですから、今回の半沢の言葉には本当にマジでスカッとしました。


最後に、勝ち組、負け組というゾーニングへの皮肉ですが、これはわたしも全くもって同意見で、何を持って勝ち組とするのか、何と比較して負けていると判断するのか、そんなものは人の物差しで測るものではないと思っています。

当の本人が幸せでありたい、そしてその幸せであるために努力をして、幸せを勝ち取っているのが、真の勝ち組だと思います。
他人より多くのお金を手にしても、それは金を使ってできることが増えるだけで、「幸せ=札束」の時代はもう終わったのです。
本人が「お金こそ幸せ」と思うのであれば、それは否定はしません。ただ、正直言って、かわいそうだな。と思います。

人間が生きていく上で、誰しもが「成功者」になりたい。と思うのは当然です。これは人間の根源たる感情である、「嫉妬」や「向上心」に基づいたものであり、否定はできないものです。ですが、その人本人が「成し遂げたかったもの」を成し遂げようと、あがいて、もがいて、ひたむきに努力する姿こそが、「幸せ」なんじゃないでしょうか。



今日は随分と長く書きました。

最後まで読んでくれた方、ありがとうございます。

あなたにも「幸せ」が見つかることを祈っています。

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