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大坊さんのブレンド珈琲と機屋のブラジル

大坊さんが焙煎した珈琲を酷評して頂いて構わないということで、
私がただ珈琲が好きな素人という立場を活かし恐れ多くも味わったままに大坊珈琲と機屋の珈琲についてこんな時だからこそ感想を書いてみたいと思います。

今私は大変幸福なことに手元に機屋と大坊のコーヒー豆があります。
(さらにランブルと長月といずみの豆も!いきなり完全に話が脇に逸れますがお金と手間をかければ日本最高峰の珈琲豆をまるで観艦式みたいに一堂に会して飲み比べることができるのは本当に幸福で最高の贅沢まさに至高の嗜好品をじゃぶじゃぶ自粛のタイミングで浴びるように楽しむんだ!)
機屋さんは通販が充実しているので是非楽しんでみてください。
長月さんも通販はじめてます。おすすめはエチオピアです。
いまこんなとき喫茶店にいけない辛さは苦しいほどわかります。でもピンチはチャンス、こんな機会に自宅でゆっくりコーヒーをいれて楽しんでみてください。

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酷評するといっても、そもそも美味しい珈琲をいたずらに貶めるのはつまらないことですので、ここは関さんに立てて頂いたブラジル セラード 1997年と比較した個人的な感想とさせてください。

そもそもどうして大坊と機屋を比較するのかというと、なんの因果か機屋で開催された珈琲合宿に参加することにあいなりまして、合宿テーマが大坊珈琲であるということで大坊珈琲の味を甘さを出すため手網焙煎で汗だくになって珈琲豆を焙煎したり朝の6時から珈琲を何杯も抽出して何も食べない状態で何杯も飲んだりという珈琲に狂った正気ではいられない体験の中で、大坊珈琲の珈琲を批評するという宿題があったのですが、なかなか結論を出せないままメモだけは残りどーしたもんかと臆病にもメモを放置していた暁には大坊さんの珈琲の味を忘れてしまっていたのですが、2020年3月15日に大坊さんの珈琲豆を幸福にも100g購入することができたので、もうこのチャンスしかないと、書き溜めていたメモと珈琲の味を頼りに珈琲の味について文字にして表してみようと七転八倒千変万化のジェネレーション孤軍奮闘グラディエーションしているわけです。

さて珈琲として比較するとした場合、大坊さんの珈琲はいい意味でも機屋のそれとは正反対に位置するかもしれません。大坊さんのコーヒーは一般的に見ても深煎りです。かなり黒いコーヒーです。深煎りのコーヒーは基本的に苦味が強い味になります。油も強く焙煎から一週間は寝かせたほうが美味しくなるタイプの豆です。そんなことはこのようなブログを読まれる酔狂な方ならもう分かっとるからさっさとお前の感想を言ってみろとの声が聞こえてきますが、昨今の流行りやチェーン店の珈琲を抜きにすると両者はネルドリップであり日本的オーセンティックな喫茶店・珈琲屋の珈琲という点では同じなのですが、豆の焙煎度合いとしては正反対に位置します。そしてもちろん珈琲の味や受ける印象に対しても正反対・真っ向から方法から違います。光と闇、ガンダムF91とスコープドッグ レッドショルダーカスタム、ダージリン リシーハット茶園とアッサム ルクワ茶園、アオリイカとヤリイカ、カベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネくらいには違んじゃないかと思います。
私は大坊珈琲や深煎り珈琲のやり方や味覚で育ったため、機屋の珈琲に出会ったときは打ちのめされ価値観が破壊されどーしたらいいか分からず目が回り珈琲から逃げ出したくなりました。機屋のコーヒーとうずの深煎コーヒーを友人に一緒に飲ませたのですが、その感想が端的に表しています「いやーーこの珈琲を飲んだ後に何も言われずこっちを飲むと同じコーヒーという飲み物と言われてもわからなくなるね」

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大坊の珈琲は現在飲む機会が限られてしまい、また劇的ともいえる閉店とサードウェーブコーヒーの立役者に影響を与えたということもあって大坊珈琲は伝説化しているといっても神格化されてしまっているといっても過言ではないです。残念ながら。それだけに手に汗をべっちょりかきつつ書いています。
味の記憶というのは、そもそも思い出というのは心のなかにあるイスタンブルのように曖昧なもので、私が大坊さんの珈琲を初めて飲んだのは10年以上前になります。アンセーニュダングル、武蔵野珈琲、南方郵便機といった深煎の珈琲にマンデリンの虜になっていた私が噂を聞きつけて飲みに行ったのであります。
よく好んで飲んでいたのは2番でした。4番は量が少なく貧乏学生の私には高価で2番が丁度いい塩梅だったのです。最初の印象は濃厚で美味い。こんな濃厚なのに澄んでいてスモーキーさも苦さもあるので円やかで口の中でもわ~んと蕩けていく珈琲があるんだ!と本当に驚かされました。
その瞬間に私の中で最高に美味しい日本一の珈琲は大坊珈琲店だなと舌に胸に心に刻まれました。いや、本当に美味しかった。
ちょうどその頃もランブルに行ったのですが、自分には酸味が強く感じられて幼い私の舌ではあの良さを理解できなかったというのもありますが、私の中で珈琲の一番星は大坊珈琲店に決まったのです。その当時の私の評価はあながち間違ったものでもないと思います。
しかしランブルの珈琲はさすが銀座カフェ・ド・ランブルというだけあって本当に光輝く閃光の珈琲です。超特急のぞみ、いやN700系の如く飲んだ瞬間に光りに包まれ後から風が吹き鮮烈な印象を残します。Zガンダムです。ネルドリップでやるなら通販もありますしランブルポットは意外とお手頃なのでコロナが落ち着いた頃に観光客が戻ってくる前に珈琲を飲みに行ってください。
私のオススメは断然ブラジル濃いめのダブルです。ハワイとコロンビアサンドライもおすすめです。
そう、んーー残念といってしまっていいでしょうか、ランブルはあまりに有名店であり海外にもその御名は轟くあまり、ここ何年かは観光客でごった返してしまいゆっくり珈琲を飲むのがちょっと大変になってしまっているのですが、数週間前に訪れた際は人も少なくゆっくり珈琲の話もできて最高でした!!!不幸中の幸いにも!!

話が何度も逸れるのをゆるしてくださいね。珈琲について書きたいことが色々とあるみたいで、なんというか取り留めがなくなっているけどブログだしいいよね!!うんうん、これもブログだよね!!

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さて、大坊さんの珈琲は大きな質量を持った光を飲み込むブラックホールみたいな柔軟性をもった球体です。なかなか厄介なやつではありますが、ありがたいことに分かりやすいとも捉えられます。人によっては球体といわずチョコレートといったりコールタールといわれたりもするでしょう。
大坊さんの珈琲が口に入ると、丸い甘さに包み込まれます。その外側なのか内側からか苦味という紫色をしたビロードのような甘さが全体を支配するのです。エスプレッソとは全く全然似ても似つかない異なった夜の世界です。そこに太陽を感じるよりも月光を感じ取った方がロマンチックでしょう。ただ、ベートーベンやドビュッシーの月光とはまたちょっと趣が異なるのですが、差し込む光は目を閉じれば見えてきます。それが大坊珈琲が持つ、深煎の珈琲がもつ幻想的な甘さです。Lunaticとは狂気です。狂ったように深くした珈琲には悪魔のような甘さが取り付きます。その珈琲に取り憑かれた人達は今もトラムを回し続けているのはなんと幸いなことでしょうか
大きな球体が口の中に入って滑らかに転がって溶けながら落ちていく。たしかに濃厚なチョコレートとはよくいったものです。転がって溶けながら消えていく味の変化は大きくなく最初に入ってきた印象から滑らかに沈んでいく一枚の油絵のような印象をいつも私は大坊さんの珈琲には覚えます。もしくは見る位置によって見え方は変わるけどオブジェクトはあくまで同じな彫像のような。そういう意味もあり私にとって大坊さんの珈琲は大きな完成度の高い丸いなめらかな球体なのです。
初めて飲んだときは本当に衝撃を受け、それ以来お金がないながら青山のお店には通いました。(実は大坊さんは体調や日によってか、時々で珈琲の味はかなり変わったという事実・記憶はここに残しておきます。)
この間、喫茶いずみの伊藤さんのところに大坊さんの珈琲豆を持っていき、贅沢にも入れていただいたのですが、焙煎の技術力、93℃くらいの深煎り珈琲に対してはかなり高めの温度でいれても、しっかりと美味しく大坊の味になっていたのは、さすがとしか手回しでこの豆を焙煎するのは驚愕に値します。どーやったらこんなしっかりと確かな大地のような焙煎ができるのでしょうか。

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そんな私の珈琲に対する世界に新星爆発がもたらされました。なにより最後に関さんに立てて頂いたブラジルセラード97を飲んだ瞬間に、私の中のコーヒー瓦礫の中から大輪の真っ赤にもえた鮮やかな真っ赤に黄色い花が咲き誇りました。あたり一面に黄色と白いコーヒーの花が咲き乱れました。
あの珈琲はすごいです。

関さんのコーヒーは美味しくて、でもただ美味しい珈琲ではなく飛び抜けた世界がコーヒーを飲んだが最初から飲み干した後まで一杯の中で天地開闢が起こります。まさに、天と地がコーヒーのなかに在りました。コーヒーの味にも点と面がある。そう関さんは言ってます。私は珈琲を線と瞬間で捉えています。あとは明瞭さというか分かりやすさで捉えすぎていたかもしれません。そんな私の稚く未熟な味覚を一気にこじ開けられました。それくらいの衝撃的なコーヒーです。

いってはなんですが、私は関さんの機屋のコーヒーを飲む前に首都圏近郊の美味しい珈琲屋さんのコーヒーは一通り飲んでいます。ランブルや大坊にワゾーや十一房に月光や猿楽にいずみと、もちろんサードウェーブコーヒーの有名所だって斜に構えず飲み比べていました。コーヒー以外にも色々と美味しいものが大好きで独身なのをいいことに食べ歩きを楽しんでいました。
そんな私の世界観にダイヤモンドのように煌めく珈琲という名の弾丸を、乙女のような恋心にも似た金鵄のより私の舌の上に舞い降りてきたのです。

関さんの珈琲は多層的で時間の流れがあって口の中の温度と珈琲の温度によって段階によって味が舞台劇のように瞬く星のように煌めきます。人間の舌と味覚があれば口の中や液体の温度変化によってそうなるのは当然なのですが、当然を軽々と跳躍して孔雀の羽根で彩られた軽業師のように踊ってみせるのです。あれは本当に美味しい珈琲です。打ちのめされボロボロになって花が咲きました。
もちろん、いろいろな豆によってその様相は異なってくるのですが、セラードを飲んだときは舌の上で珈琲が輪舞曲を踊っているかのように味覚の世界が大輪の花を咲かせるように渦巻いたのです。

関さんという盛岡で一等星のごとく輝く珈琲の星は、本当に怪物であり傑物であります。

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今ボリビア スノートップ2003年を頂いているのですが、やはり関さんは珈琲のファンタジスタです。飲んだ瞬間にコーヒーマジックオーケストラ、剣の舞のようにオールドのオールド的な酸味や香りや甘みといった色とりどりの味がF1レースのフラッグが振らてた時のように駆け抜けます。
このボリビアはすごいですね。かなり強烈で独創的なオールドコーヒーです。楽しいことに舌先と舌の真ん中まで味が駆け抜けるのですが、いい意味で味が口の周りにひろがらずスッキリしています。こんなに強烈で鮮烈なスターを切ったのにポンと真ん中あたりでクルッと姿を消してしまいます。あとに残るのはころっとしたお団子のような柔らかく芳ばしい苦味が舌先でコーギーのように遊んでいます。いやーー美味しい。

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