深緑で出会う星々

今日は人生で初めて蛍を見た。ずっと一度は見てみたいと思っていたから本当に「ついに」だった。

蛍の光は鬼火だった。暗闇にゆらゆらと浮かぶ光源は、時にそのスピードを上げ、時には下げ、消えては灯り、灯りは消えた。

その灯はスマホには映らない。現実世界だけに存在し、見ることが許された景色だった。その限定性はよりぼくを魅了し、虜にした。時間の流れや自分がどこに立っているかも忘れて、ただ陶酔した。生き物が放つ光はこんなにも美しいものだったんだ。

命の灯は優しく、儚く、美しかった。緑と一言では言い切れないほかの何色でもない蛍色の光だった。決してほかの何かで代替のきくものじゃないことはこんなにも素晴らしいことだった。

本当に素敵な夜だった。

この先の人生、何度でもこの光に酔いたい。

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