<花便り>薔薇のお話
昔に読んだ岩波新書にバラの歴史というか園芸について書かれたものがありました。今はもう廃版かな。そこで登場する薔薇は日本に自生する、日本原産のノイバラと言う花。探せば、あっちこっちで雑草のごとく自生しているのを見つけることができるでしょう。
シーボルトやプラントハンターの影響で日本の植物については知られることになったようですが、この「のいばら」のたわわに花をつける姿をみて、ある薔薇の園芸家は、それまで色々工夫をしても増えなかった花数を増やせると感じたのかもしれません。バラと言えばヨーロッパが育成について主流であるのは事実でしょうし、イメージ的にもイギリス、フランスとかが浮かんできます。この本を読むまでは、薔薇=フランス、イギリス、ヨーロッパの花という感じでした。でもあちらの国の当時の薔薇は花数が少なく、ちょっと鮮少だったようです。ジョセフィーヌもがんばったことでしょうが。
そして園芸家は見事にノイバラと自国の薔薇の掛け合わせに成功し、今我々がバラ園で見るような花をたくさんつけている薔薇を誕生させました。その手助けを「ノイバラ」がしたということですね。
それ以外は中国やアジア諸国の薔薇が同様に影響を及ぼしたとか、北海道原産のハマナスとの掛け合わせで、四季咲き性の薔薇の育成に多大な影響をしたというような話が書かれていました。日本の薔薇の遺伝子をもつ薔薇が世界中で咲いている、日本も「薔薇の国」です。
※ノイバラは馬見丘陵公園の遊歩道の道外に咲いていたもの、薔薇は大阪中之島公園のバラ園のものです。