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上品かつ極暖、最強のダウン


 「今日こそいいかな?」「いや、このくらいまだまだ。」

朝ぼらけ、家を出る前にクローゼットの前で一度立ち止まって考える。ハンガーラックにかけられたモンクレールのロングダウンジャケットに手を伸ばしてはその手を止めてもう1度考える。果たして今日の気温にこのダウンは最適だろうかと。

「今日は、違うコートでも大丈夫!」少しでもそう思うと、伸ばした手をさっと横にスライドさせてお気に入りのグレーのノーカラーコートを掴む。逆に、外にいる時間が長い日や冴ゆる朝はモンクレールが大活躍する。


 実は幼い頃はダウンジャケットが嫌いだった。ボディラインがすっきりと見えるシンプルなコートが好きで、「身体を冷やしてはいけません!」と母に無理やり着せられていたムクムクなダウンジャケットはどうも好きになれなかった。唯一、歳が離れた姉からお下がりで貰った真っ白なショート丈のダウンは薄くてあまり着膨れしなかったのでかなり気に入っていた。だけど「充分に温かくないから」と全然着せてもらえなかったので結局は母が買ってきたジャケットをむっくりと羽織るのだった。そして遊び盛りだった私は寒空の下でも遊具で全力で遊んで、真っ白なダウンをすぐに汚してしまった。それからは、なんとなくダウンジャケットを避けてきた気がする。

だけど、高校卒業前の冬にモンクレールのダウンジャケットに突如一目惚れしてしまった。ちょっと憧れていた女の子が着ていたのをみたのがきっかけ。上品さが漂う形はもちろん、何と言っても軽やかに見えるところが気に入った。ダウンなのに重たい雰囲気が全く感じられず、フォーマルに着こなせそう。そして昨年、たまたま叔母が「数年前に買ったけど、もう着ないのよねぇ。」と譲ってくださり、早くもモンクレールデビューを果たした。

それを初めて着たのは真冬の韓国。極寒でもびっくりするほど暖かかった。マイナス12度もへっちゃら。そして動きやすい!これを体験してからは、寒い冬の日にはモンクレールが手放せなくなった。これからも重宝してずっともう幾冬もそれを離さないのだろうなと確信。小さい頃はあれほどダウンを着せられるのが苦手だったのに、今では着ているだけで冬の日が愉しい気持ちになる。寒くて暗いフランスの冬も苦ではなくなる。そんなパワフルなモンクレールに今日も手を伸ばしては、「さぁ今日はこれがなくても乗り越えられるかな?」と自分に一度問いかける。

フランス北部では本日初雪を迎えました。気温もぐっと下がり、暖かい紅茶がより一層美味しさを増します。明日の朝は言わずもがなモンクレールの出番ですね。



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