「人に合わせて動く階段」動く階段を作る その1

自己紹介

こんにちは。東京で高校生をやっているものです。学校の研究活動をやる中で、「階段」というテーマが頭に浮かび、実現しようと思ったアイデアのがこの「動く階段」です。この考えに至るまで結構な寄り道をしたので、それも含めて自分のアイデアをはっきりさせるためにもこの記事を書くことになりました。


なんで階段?

そもそもなにかメカっぽいことをやりたかったのが一番最初のきっかけです。なので学校の研究活動も機械関係、物理などをやりたかったのですがもろもろの事情でなぜか数学関連のことをやらなければいけないことになってしまいました…(学校の圧力で、、)
そこで普通に研究テーマになりそうな日常の身の回りの物を探しておて、一つ気づいたのが、うちの最寄りの階段、上っててすごく疲れる、下るのが怖いということ。一方でほかの駅の階段や学校の階段はまあそうでもない。その違いを解明したいと思ったのが最初のきっかけです。
そして身の回りを見渡すと実にたくさんの階段が存在していることがわかります。大学の広くて新しい階段から、神社やお寺の険しい石段まで、、本当に多種多様です。その違いを解明してみたら面白いのではないかと思うようになりました。この研究テーマを決めてから改めてまちを歩いていると、階段の種類の実に多いことに気づかされました。そして階段によって上りやすさの体感も全くことなることがわかりました。

衝撃

それから1か月ほどが経ったある夏の日、山手線の主要駅で駅構内へ階段を下りていると、ふと前にいた人がいきなり階段を踏み外して頭を強打する、というとてもショッキングで衝撃の瞬間に出会いました。この方がどのような経緯でこのようになったのかは分からないのですが、階段の危険性をしみじみと感じさせられました。この体験から、わたしは「上りやすい、おりやすい、人にやさしい階段とは」というテーマで少しずつ考えていくことにしました。

山手線の階段を調べてみたはなし

「階段は多種多様」といいましたが、これは私の完全な主観にすぎません。さきほど階段事故の一部始終を目撃した山手線の駅、全駅30駅にあった階段合計92個について蹴上(階段の高さ)、踏面(幅)、踊り場の数や段数を調べました。掲載の都合上ここでは高さと幅のグラフのみをお見せします。

このような上の結果が得られました。一つ一つ手で計測したため若干の誤差があることをお許しください。全体の傾向として、蹴上は15cmくらい、踏面は34cmくらいだと読み取れます。同じJR線内でも、そして同じ駅であってもまったく階段の寸法や段数は異なりました。詳しい方のお話によれば、階段の設計には法律による制限はあるが明確な寸法の決まりはないのだそうです。(都市伝説的なものとして蹴上+踏面=45cmというものはあるらしいですが..)スペースや工事の問題など様々な要素があってこのような違いがあるのだと推測しています。
ここでわかったことは、階段の設計には明確な基準・ルールがないということです。私たちが知らないうちに毎日使っている階段、こだわって考えてみたいと思うようになりました。

余談ですが、階段を計測しているときにすれ違うあらゆる人に不審がられるので、最初は羞恥心がすごかったです。特に渋谷駅など乗降者数が多い駅とか、、

上りやすい、おりやすい階段とは何なのか

さきほど階段に危険性があると言いましたが、エスカレーターやエレベーターを使えばいいじゃないかという方もいらっしゃると思います。確かにそれは正しいのですが、階段は単なる移動手段ではなく、建築やデザイン、スペース確保やコストなど優れている面がたくさんあります。本当に「みんなが使いやすい階段」であれば、いろんな人が他の昇降機などを用いず階段を気持ちよく使ってくれると思います。

さて、上りやすい、下りやすい階段ですが、考えただけでも様々な要素が絡んできます。

・階段の高さ・幅・段数・踊り場
・階段が設置されている場所(公園、駅、学校など)
・階段の見た目や材質、手すりの有無
・使う人の年齢や体格
・階段を昇降するスピード

etc…

これらをすべて包括して考えるのは恐ろしく難しいです。なによりハードルとなっているのは、個人によって上りやすさ、下りやすさが異なるということです。それは当然で、3歳の子と2mの人が同じ階段を同じように昇降するわけはないのです。階段は一回作った以上、その寸法のままで、どうしても一定の人にとっては「上りにくい、下りにくい」と思わせてしまうのではないかと思います。じゃあ階段も人に合わせて動けばいいのではないか? これが、私が思いついた一つのアイデアです。

階段が動く

このアイデア、実はまだすごく抽象的です。最初に思い浮かんでいたのは、カメラセンサーを設置して階段を上ろうとしているひとの体格などを検知することで蹴上や踏面を自動で調整するような階段を作ることでした。ただよく考えると、階段って一人のためのものでは基本的にはないので、ちょっとこれは現実的ではなさそうです(リハビリなどではもしかしたら使えるかもしれません)次に思いついたのは、「オフピーク階段」です。イメージとしては、時間帯、人の流れに合わせて一日の中で階段の寸法が変化することです。例えば朝のラッシュの時間帯にはたくさんの人が速く下りられるように蹴上を高くする代わりに段数を減らしたり、逆に高齢者が利用することが多い昼間にはゆったりとした階段にするなど、公共の場で時間帯や使用する人の層に合わせて階段が代わるというのはどうでしょうか。安全性、本当に必要なのか、などさまざま言えることがあり、まだアイデア段階ですが、「人に合わせて」階段を動かすという考えのもと、ひとまずは研究をすすめています。

さいごに

長くなってしまったのと、いま進めている実験でまだうまく結果が出きっていないため次回は実験やさらなるアイデアなどをお伝えできればと思っています。読んでいただいた方、ありがとうございました。もしよろしければ次の投稿もお読みいただけると幸いです。

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