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UTMB (Ultra-Trail du Mont-Blanc) 2023 参戦記

UTMB (Ultra-Trail du Mont-Blanc) 2023に出場しました。
距離171km・獲得標高10,000mで、モンブランのまわりをぐるっと一周する、フランス・イタリア・スイスの3カ国にまたがるレースです。
トレイルランをはじめてからずっと出てみたかったレース、憧れだった舞台は他のどのレースよりもキラキラしていて、夢のような数日間でした。

レースの準備にあたり、先人たちのレースレポートを大いに参考にさせていただきました。なので、この参戦記を書きます。(give and takeの精神!)
今後、UTMBを目指すみなさまの参考になれば幸いです。


出発までの準備

参加資格獲得

2023年より、UTMBの参加資格が大きく変更になりました。簡単に書くと、以下のA・Bを満たしてはじめて、UTMB(100mile)の抽選に参加することができます。
A:100Mまたは100KのUTMB Indexを有していること
B:いわゆる"by UTMB"のレースを完走し、Running Stoneを保持していること(stoneの数だけ当選率がアップする)

残念ながら現時点(2023年9月時点)では日本国内で"by UTMB"のレースは開催されていないため、私は2022年12月にタイ・チェンマイで開催されたDoi Inthanon Thailand by UTMB(CLIFFS 100)に参加し、6ptのRunning Stoneを獲得しました。
(OSJ山中温泉トレイルが"by UTMB"になるかもとの話がありますが、果たしてどうなるんでしょうか…)

ロジまわり

ロジまわりで特筆すべきなのは、「medical certificate(健康証明書)の提出」「ホテル・航空券手配」「モバイル通信環境の確保」の3点でしょうか。

健康証明書
大会指定の様式(フランス語版と英語版の2種類あり)に対して、医師の署名と病院のスタンプをもらう必要があります。
私はちょうど2月に会社の人間ドックを受けたので、そこに印刷して持っていきました。他のレポートを読むと「けっこう高かった」だったり、「そもそも書いてくれる病院が少ない」といったものが多かったため不安だったのですが、幸いにもこういったスポーツに理解のある先生にあたり、追加費用なしでさらっと書いてもらえました。よかった。
「診断書」と言うと医師は構えてしまいますが、「健康診断を受けた証明にサインして」的な感じで伝えるとよいと思います。

ホテル
会場から徒歩数分の場所を4泊抑えました。
安いところが出たら乗り換えようと思い定期的にOTAのサイトで検索していましたが、空きは出ませんでした。早く抑えるに限ると思います。

航空券
エミレーツでドバイ経由としました。(サーチャージ込みで20万円ちょっと)
羽田深夜発のため出発日もフルで仕事してから出発できるのと、機齢が若くきれいなこと、また南回りでフライト時間は長いですが、昨今のロシア情勢の影響を受けて北回りのフライト時間が増加しているため、比較してもそこまで差はないことが利点だと思います。
また、バルクヘッドや後列の2人席の座席指定は通常有料ですが、48時間前のwebチェックイン時に無料で開放されます。取れたらラッキー!くらいの場合は、そのタイミングを狙うのがおすすめです。
なお、自分のまわりではターキッシュ(イスタンブール経由)とエミレーツが多い印象でした。

モバイル通信環境の確保
大別して、以下の3つの方法があります。
1. 日本で契約しているキャリアの海外ローミングを利用
2. 訪れる国のキャリアのSIM/eSIMを購入
3. WiFiルータのレンタルサービス(例:イモトのWiFi)を利用

私は普段からahamoを利用しているため、1の方法としました。
ahamoでの海外ローミング利用のPros/Consは以下の通りです。いろいろ書きましたが、結論めちゃくちゃオススメです。

<Pros.>
・特別な設定なしで、到着直後からモバイル通信を利用可能(機内モードを解除し、データローミング設定をONにするだけ)
・日本国内での"ギガ"(=20GB)から消費され、追加料金不要
・IPアドレスを用いた位置情報判定では「日本」扱いになるため、EUで利用できないサービスも利用可能(例:Yahoo! JAPAN
・日本で使っている携帯電話番号をそのまま利用可能(大会側に届け出た電話番号も特段変更不要)
・SMSも利用可能(国内と同じく、受信は無料)

<Cons.>
・データローミング非対応国が存在(今回の旅程だと、ドバイ(UAE)では利用不可)※追記:2023/10/10より、UAEも対応しました

スタートまで

Chamonixへ

レース前日の8月31日0:05羽田発のエミレーツで、ドバイ経由でジュネーブに向かいます。ジュネーブには同日の13:15に到着しました。
入国審査時に「5日間滞在してUTMBに出る」と言ったところ、短すぎるとツッコまれました。笑

機窓からのアルプス

シャモニーまではバスで向かうのがマジョリティです。(頑張れば鉄道でも行けるようですが、かなり遠回り)
私はUTMBオフィシャルスポンサーでもあるAlpyBusを予約しておきました。12人乗りくらいのメルセデスのバン(トヨタ ハイエースワゴン的なやつ)に乗り、いくつかの街を経由しながら1時間半ほどかけてシャモニーのバスターミナル(Chamonix Sud Bus Station)に到着しました。

Chamonix到着後

レースBIB受け取り
到着後、徒歩でホテルへ向かいチェックインを済ませ、すぐにレースBIB受け取りに向かいました。BIB受け取りは事前予約制で、2時間枠(8月31日の最後の枠は18:00-19:00の1時間枠)のどこにするかを指定する必要があります。UTMF(FUJI)で長蛇の列だったことから今回も非常に混んでいることを想像していたのですが、蓋を開けてみると待ち時間ゼロでストレスなくBIBを受け取ることができました。
なお、必携品チェックもなし。すべてがスムーズです。

買い出し
市街地に複数スーパーがあります。
私が滞在中複数回利用したのは、Super Uです。

円安も拍車をかけ、物価は全体的に日本よりは高めです。
日本より安かったのは、ペットボトルの水や酒(ビール・ワイン)くらいだったと記憶しています。
あと、スーパーのロゴとともに"Chamonix"と書かれたおしゃれなエコバッグが売っています。帰国後、近所のスーパーで見せびらかしています。(たぶん誰もChamonixを認知していない)

EXPO
大会期間中(正確に言うとUTMBスタートの日のお昼まで)はEXPOが開かれています。
大会のオフィシャルグッズはTシャツ、ニットキャップ、パーカー、マグなど、色々ありました。サイズによっては品切れしていました。

景色が綺麗すぎて友人に合成写真と疑われた

湧水
街のいろんなところに湧水が出ていて、自由に飲むことができます。
スタート会場に最も近いのは、おそらくここです。アルプスの天然水!(硬水)


レース

レースプラン

このレースの4ヶ月前に参加したUTMF(FUJI)で、31時間27分でした。
今回の獲得標高はFUJIと比較して3,500mほど大きいため、1時間で600m UPと仮定し、37時間を目標タイムに設定しました。

装備

自身の装備は以下の通りです。(これ以外にも必携品とされているものはもちろん所持しました)
好天予報だったため、Hot Weather Kit・Cold Weather Kitはいずれも不要でした。

  • ザック:PAAGOWORKS RUSH 11R

  • キャップ:milestone original cap

  • サングラス:goodr

  • シャツ:NEUTRALWORKSとパタゴニア

  • アームカバー:C3fit

  • パンツ:山と道 Light 5-Pocket Shorts

  • シューズ:SALOMON ULTRA GLIDE

  • ソックス:ワークマン 3足500円の5本指ソックス

  • ウォッチ:COROS VERTIX 2

  • ライト:UltrAspire ルーメン600

  • ポール:中華製の安いやつ

  • レイン上:Teton Bros. フェザーレインフルジップジャケット

  • レイン下:mont-bell ストームクルーザー

  • ソフトフラスク:中華製の安いやつ

  • スマホ:Google Pixel 7

補給食

特筆して変わったものは持ちませんでしたが、食べ物はジェルが苦手なため、セブン-イレブンのレモンわらびを大量に持ちました。なかなか売っておらず、自宅や会社のまわりのセブンで探し回りました。見つけた店舗で在庫全て買い占めたので、在庫管理システムの裏側のAIが勘違いしないか心配です。

レモンわらびは、質量53g(inゼリー:180g)で130kcal(inゼリー:180kcal)の優れものです。
口当たりもよく、レース終盤まで美味しく食べられました。

スタート

レース当日(9月1日)は8:00に起床し、少し散歩してからEXPOへUTMB Busのリストバンドを引き換えに行きました。

好天、絶景!

UTMB Busは応援者(crew)向けに提供される、エイドステーションへ直行するシャトルバスです。UTMBの場合は€65/人で乗り放題のパスが買えます。

昼食はハンバーガーを食べました。ボリューム満点で、レースがスタートし走り出してもお腹の中にハンバーガーが入っているのが分かるほどでした。レース前の食を気にしない人にはおすすめです。

バンズが特徴的

UTMBでは、Drop bagを81.3km地点のCourmayeur(クールマイヨール)で受け取ることができます。これを、スタート前にCentre Sportif Richard Bozon(リチャードボゾンスポーツセンター)で預けます。

そしていよいよスタート地点に移動します。
スタートエリアは超適当で、UTMB Indexや申告タイム等での整列はありません。人が多すぎるので、なんとなく真ん中と思われるあたりでスタートを待ちます。
また、必携品チェックが抜き打ちで実施されていました。マーシャルが回りながら選手に声をかけチェックを実施し、無事通った人はBIBにシールを貼られていました。
自分は行われなかったので、サンプリングの条件は不明です。

そしていよいよスタート。Conquest of Paradiseが流れ、いよいよ夢の旅が始まると思うとうるっときました。

2,500人が一斉にスタート、大混雑

〜 Les Contamines(31.8km)

18時ちょうどにスタート!市街地は大渋滞。ただ、応援が凄まじいです。走りながら、ニヤニヤが止まりません。

1,2km進んだあたりから林道に入り、ようやくバラけてきます。道幅はそれなりにあるので抜こうと思えば抜けますが、集団になっていて抜くには体力を使うので流れに身を任せることにします。
この日のChamonixの日没は20:11。日没後もしばらくは明るいので、20時半ごろからライトを点灯しました。
林道が終わり、川と高速道路を越えたあたりで最初のウォーターエイドです。(Les Houches / 8.0km)
水は1L持っていましたが、500ml弱は飲んでいたのでさっそくここで補充します。

ウォーターエイドの手前のロード登り

ここから最初の登りである、スキー場に入っていきます。ときどきシングルトラックになり、渋滞気味でした。
左を見ると、夕暮れ時のアルプスの絶景です。(20:15でこの明るさ)

夕日を浴びている

そして、暗くなった頃にSaint-Gervais(21.6km)へ到着。(目標時刻 20:58/結果 21:04)
このエイドは街中を折り返すコース設計になっているので、日没後にもかかわらず声援が物凄いです。街を挙げて、UTMBを心待ちにしてくれているんだと強く感じました。

エイドの食事は以下でした。(すべてのエイドでほぼ同じメニュー)
・フルーツ(オレンジ、バナナ)
・生ハム&チーズ
・バゲット
・パスタ(食べなかったからよくわからん)
・Naakのジェル、パワーバー的なもの
・水、コーラ、スープ、コーヒー

FUJIでバナナを食べ続けて調子よかったのと、胃腸トラブルはいつもほとんどないので、バナナ・オレンジ・生ハム・バゲットを食べ続けることに決めます。
UTMB 2022のグレートレースで万場さんがやってたように、ジップロックを持参して生ハム&バゲット&チーズを詰め込み、いつでも食べられるようにしました。

3つ目のエイドであるLes Contamines(31.8km)には22:45に到着。(目標時刻は22:26)
ここでも妻がUTMB Busに乗って応援に来てくれており、元気が出ました。(この日はSaint-Gervaisだけだと勘違いしていたので、突然日本語で声をかけられてびっくり。笑)

Contaminesの街

〜 Courmayeur(81.3km)

ここから、標高2,500m地点まで4回登ります。
1つ目のピーク、Bonhomme峠の手前ではなんと積雪がありました。このあたりで早速眠気が襲ってきて、歩きながら意識が飛ぶように。前が詰まって数秒止まった間に立ち寝してしまい、後ろの選手に声をかけられて起きることも。
Les Chapieux(50.7km)の記憶はほぼありません。。。(目標時刻9/2 2:19、結果3:23)

登ってくる選手たち(Google Pixel 7の夜景モードで撮影)

Chapieuxから2つ目のピークであるSeigne峠へ向かう区間で、左側が川になっていて切れ落ちているところを通ります。依然として眠気でふらふらしていて足を踏み外しかけ、一気に眠気が覚めました。
つづら折れのダブルトラックを心を無にして登り、フランス・イタリアの国境であるSeigne峠へ到達です。
右足イタリア、左足フランスで写真を撮ってInstagramのstoriesにアップしたかったのですが、特に何もなく。(関門国道トンネルや、しまなみ海道の多々羅大橋的なのを期待していました、、)

Seigne峠

ここから200mほど標高を下げてから、3つ目のピークであるPyramides峠へ向かいます。この区間はこれまでとサーフェスが変わり、岩稜帯になります。例えるなら、涸沢から奥穂に登るザイテングラートのようなイメージです。

若干ガスってるのと、ガレている

このあたりで日が昇ってきて、元気が出てきます。太陽光って偉大です。(日の出は6:53)

Pyramides峠を越えると、Combal湿原に向かって標高差600mを5kmかけて一気に下ります。

突然開けて、雲ノ平っぽかった

Lac Combalのエイド(68.5km)を抜けてからだらだらとCourmayeurへ進むものだと勘違いしていたのですが、もう一つ大きな登り(4つ目のピーク、Arête du Mt Favre)が待ち構えていました。

そこを越えると、Checrouitのエイド(77.0km)に到達します。Courmayeurのわずか4km手前のエイドであるここでは、トマトソースがかかったペンネを振る舞ってもらえました。全体的にエイドの食事は日本の大会と比べると質素だったため、このペンネはめちゃくちゃ美味しかったです。4km下るだけだから、とエイドをスルーせずに大正解でした。

ChecrouitのエイドからCourmayeurの街は視認できるので、標高差800mを下るのみです。ただ、街に入ってからが案外長い。。最後に石造りの町並みの細い路地を通してくれるのですが、ここがまた絶景。ヨーロッパのレースなんだ、と実感しました。

Courmayeurの街並み

そしてようやく、Drop BagのあるCourmayeur(81.3km)に到着です。(目標時刻8:47、結果10:41)
ここには早朝よりUTMB Busに乗り、妻がサポートに来てくれました。早起きしてもらったにもかかわらず、目標タイムより2時間近く遅れてごめんなさい。。日本から持参したカレーメシをちゃちゃっと準備してくれたり、食べ物を取ってきてくれたりと大感謝。
ライトの電池交換や、スマホの充電もこの間に済ませて、準備万端。(ウォッチはCOROS VERTIX 2なので充電不要)
いよいよ中盤戦へ突入します。エイドの滞在時間は36分でした。

〜 Champex-Lac(127.0km)

Courmayeurのバスターミナルで日本人の方(おそらく観光に来ていた方)に声をかけてもらって元気が出ました。向こうからすると、睡眠不足で充血した眼をしたランナーが大量に街を闊歩していて、不思議だったはずです。
Courmayeurの街中では、コース沿いに湧水が多数あります。クールマイヨールって日本で買うとけっこう高いよね、と思いながらがぶ飲みします。(鈍感なお腹みたいで、硬水による体調変化は何もなかったです)

源泉かけ流し

次のエイド(Refuge Bertone/87.1km)までは6kmで800m UP。そのうち最初の2,3kmはロードなので、後半ガツンと上がります。直射日光で暑く、かなりきつい区間でした。普通の登山の若者にも抜かれました。。

Refuge Bertoneからのトレイルが、この旅のハイライトでした。なだらかで走れるトレイルで、左手を見るとアルプスの山々が手の届きそうな場所に。ただただ絶景。いろんな人のレースレポートを見ながら予習してきた景色を、今まさに自分が走れてるんだと思うと、ちょっと泣きそうになりました。これまでの人生で自分が目にした景色をすべてひっくるめても勝てなそうなほど、最高の瞬間でした。

アルプス!!!絶景!!!

最高に気持ちのよいトレイルを進み、Refuge Bonatti(94.5km)に到着です。ここはエイドではありませんが、cut-off timeが指定されているのと、湧水があるので給水可能です。
ぽかぽか陽気で気持ちよすぎたので、芝生に寝っ転がって10分仮眠。(これが初めての仮眠)

牛がいた(彼らは首にカウベルをつけているため、エイドが近くにあると勘違いさせてくる)

その後も走りやすいトレイルを進み、最後はつづら折れで標高を下げてArnouvaz(98.8km)のエイドへ到着します。
ここからいよいよ最後の2,500m越えかつスイスとの国境、Ferret峠へ進みます。

Ferret峠への道中

ここでは野生のマーモット発見。(前を走ってたフランス人が教えてくれました、感謝)
Ferret峠ではSeigne峠に引き続き、左足イタリア、右足スイスを試みましたが、案の定ここにも何もありませんでした。

Ferret峠

La Fouly(113.4km)のエイドまでは、10kmほどかけて標高差900mをだらだらと下ります。眠気が出てきて、幸いここでも気持ちよさそうな芝生が広がっていたので、スマホのアラームをかけて10分仮眠しました。
そしてLa Foulyの街へ到達。すぐにエイドがあるかと思いきや、2kmほど走らされたので地味に心を削られました。。La Fouly到着は目標時刻16:28に対し、結果は19:21でした。

La Foulyを過ぎてからは、林道〜シングルトラック〜石畳の道〜ロードと、比較的走りやすい道が続きます。調子に乗って快走していたら、ロードで斜め右に曲がらないといけないところを見落としてコースロスト。50mくらい後ろを走っていたウルグアイ人(?)も巻き込んでしまい、二人で仲良く正規の道まで戻ります。
次のエイドはいよいよChampex-Lac。ここまで行ければ完走がだいぶ固くなると言われているところです。登りを大したことないとなめていたら、なかなか着かないのでここでも心を削られます。あげく、強烈な眠気が襲ってきて同じところ何回もぐるぐるさせられてるんじゃないかと疑い出します。。(今思えば、このへんが幻覚の始まりでした)
COROSのナビゲーションを見てもルートを外れた様子はないので、心を無にしてとりあえず足を動かすモードに(俗に言う木魚ポクポクモード)。。そしてChampex-Lac(127.0km)に、22:21に到着です。(目標時刻19:25)
眠気以外では身体の調子は悪くないので、一通り補給を済ませてから35分ほどでエイドアウト。

〜 Vallorcine(155.0km)

ここから先の記憶がありません。。
幻覚を何度も見ました。コース上のすべての石に漢字が書かれていたり、コース脇に石造りの山小屋が現れたり。蛇行しすぎて、後ろのランナーにもだいぶ迷惑をかけたと思います、、すみません。。
この区間がレース中で最も辛かったです。Champexを越えれば楽だって言ったのは誰だ!と、恨み言を言いたくなりました。
Trient(143.6km)のエイドもin/outの記憶ははっきりしていますが、その前後の記憶が全くありません。
写真は1枚だけ撮っていました。exifデータ的に、Trientの手前の山を登っている途中のようです。

撮影時刻:1時58分

途中、牛舎みたいなところで10分仮眠しました。(結果的に、これが最後の仮眠)
そしてVallorcine(155.0km)へは、明るくなりはじめた9/3 6:58に到着です。(目標時刻3:02)
ちょっと寝ようと思ったのですが、寝られそうなところが空いていなかったので12分の滞在でエイドアウト。

〜 Chamonix(172.9km)

いよいよラストスパート!大きな山は1つだと思っていて、COROSを見ながら進んでいると、標高1,700mに到達していないのに下り基調になりました。何かがおかしいと思いマップを見ると、一度下げてから再度1,900mまで登り返すことを知り、少し心が折れます。
そうこうしているうちにスキー場に入り、最後のエイドであるLa Flégère(165.9km)が見えてきました。途中、潰れたら関門アウトかもと焦る時間もあったため、ようやくゴールが見えてきた、あとは下るだけだとなって一気に元気になりました。やっぱりメンタルがパフォーマンスに与える影響って大きいですね。

La Flégèreからの景色

Chamonixへの下りは走りやすいトレイルです。日本の山ともサーフェスが似ていて、ゆるい下りはショートのレースかと思うくらい爆走しました。
林道を抜けると仮設の歩道橋を越え、いよいよラストスパートです。沿道に途切れることなく応援の人たち。Allez-Allez, Yuki!!と声をかけてくれます。トップ選手でもなんでもないのに、みんなが自分を応援してくれていて、最高の気分でした。
ラストはキロ5を切るペースまで上げ、その勢いでフィニッシュゲートへ飛び込みました。そして、173.2km、41時間21分の旅が終わりました。

大会公式で素敵な写真を撮ってくれる

レース後

フィニッシュ後、一番驚いたのは大会オフィシャルでタップのビールがもらえたこと。(レースBIBを見せると飲めます)
レース中もビールが飲みたくてしょうがなかったので、染みました。

美味しすぎて写真撮る前に半分あけてしまった

また、フィニッシャーベストを着て街を歩いていると、みんながCongratulation!!って声かけてくれます。自己肯定感爆上がりです。この街はなんて素敵なんだ!笑

この道を通り、ランナーはフィニッシュゲートへ向かいます

終わりに

夢だったレースが終わってしまい、次はどうしようと考えています。
自分が山を走るのは、きれいな景色を見たいというのと、自分の限界に挑戦したいというのが理由なので、TORに挑戦したいなとぼんやりと思っています。何年後になるか分かりませんが、また次の目標を設定して、チャレンジし続けたいですね!

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