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恋愛・人生観 エッセイ

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アバター恋愛や仮想世界を生きて、感じた思いを綴った単独記事集です。
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#エッセイ

2次元×リアル恋愛癖

物心ついた頃から身近にテレビゲームがあった 両親がゲーム好きだったから そういえば祖父母の家にもゲーム機があった記憶が残っている 根っからのゲーム大好き家族の元に産まれてきたってわけだ ドラクエのふっかつのじゅもんを必死で書き写すことでひらがなを覚えた ゲームごとに違う戦闘システムや技名、魔法名とその効果属性などを毎回覚えることで、高い暗記力を養うことができた 悪いやつは心正しき勇者がやっつけて世界を平和に導く王道ストーリーは、素直な道徳心を培ってくれた おかげで道

オンリーワンじゃなくて、ナンバーワンになりたい #2〈終〉

あなたには 好きだと 言ってもらったことがない 名前を 呼んでもらったことがない 手を 繋いでもらったことがない 嘘を ついてもらったこともない * 知り合って数ヶ月経っても 何も進まない関係だったから あなたのことを ちゃんとわかっているわと 伝えるために聞いた 「ねぇ、本命がいるんでしょう?」 「あぁ、いるよ」 ごまかすことも慌てることもなく 単なるいつものベッド上の会話でしかなかった 「でも、まちがいなく俺の中でナンバーワンだから」 そう言って

オンリーワンじゃなくて、ナンバーワンになりたい #1

まちがいなく 俺にとってナンバーワンだよ ねぇ、わたし ナンバーワンじゃなくて オンリーワンになりたいの あなただけの わたしになりたい それって 願ってはいけないこと? *** 塾の送迎で 何度か通り過ぎて 気になっていた 小さなテラスのあるカフェレストラン 裏通りの静かな住宅街の中にあり オープンな店内を横目で見ると いつも適度に 笑顔の客で賑わっていた 今日「ランチ」で検索をかけて たまたまあなたに選ばれたお店 「ここ良さそうだよ」 バックモニター

桜の散りゆく意味 #2〈終〉

* 「どこか行きたいところ、ある? 」 イヤフォンから届く、くぐもった声 時折、車が通り過ぎるザーッという音が 二人の会話を容赦なく遮った 「えっとね、桜が見たい 」 叶わないってわかってること 意地悪でお願いしてみた 「無理じゃない? まだ咲いていないでしょ」 「そうかな」 そうだよね わかってるわよと微笑んだ でもその微笑みは あなたには届かない 桜の美しく咲く時期がこんなにも短いなんて 気づくこともなかった あなたと一緒にいられる時間が 限られている

桜の散りゆく意味 #1

立派な榎の木を前にして 生い茂った力強い緑葉の揺れる様を眺めていた それはただ目に映りこんだだけで 見てはいなかったように思う なぜなら このストーリーを打ち込んでいる今、 榎の画がぼやけたレンズを通して見た時のように 薄雲って残痕となり頭の中に転がっているからだ 「昔、この中山道は水はけが悪かったから、そこの板橋のところから見える桜は、散った花びらが水に浮かんだまま流れなくてね。まるで桃色の絨毯のようでそれはそれは綺麗だったよ」 同じ榎を見上げながら もう二度と見られ

小さな艶かしさ

女性としての一番の魅力とは何かをたずねたら あなたは何と答えるかしら 上目遣いの潤んだ瞳 はにかんだ時に浮かび上がる笑窪 曲美を描いたふくよかな体つき どれも魅力的だと思うけれど わたしは彼女の「小さな艶かしさ」が ずっと忘れらない 女性として最も憧れ尊ぶ存在 それが小さな彼女なの *** 「お誕生日おめでとう!」 彼女から手渡されたのは 小さな小さなヒヨコが何十匹と詰まった箱だった 思わず瞬きをして、ヒヨコと彼女を見比べた 彼女は屈託のない笑顔でわたしを見つ

飾り棚にかがやく翠玉を並べて

カラフルな光が好き キレイな音が好き ツヤめく形が好き 美しい丸が好き 海へ向かえば 砂浜にしゃがみ込んで オーロラに光るキレイな貝片を拾い集める 川を下れば 渓流を流れ研磨された 彩あざやかなガラス石を拾い集める 山に登れば 立派な大木から揺れ落ちた 滑らかにツヤめくドングリを拾い集める 小さな手からこぼれ落ちんばかりに 厳選された美しいまんまる達 袋に入れて振り揺らすと ジャラジャラとしあわせな音を奏でてくれる お気に入りのまんまる達を 無心で集め続けて

いつか 〜18年の時を経て〜

「いつか」って いつやってくるのかしらと 期待に胸を膨らましながら 真面目に考えていたあの日 「いつか」とは 不確定な時を表す言葉 確約できない未来 「いつか」は決してやってこない 未来のことだって気づいたのも いつか、あの日 *** わたしがいつも聴くプレイリストには 「いつか」というタイトルの曲が入っている わたしはあの日を思い出しながら 毎日「いつか」を聴いているの いつか、君と手を繋いで歩きたい いつか、君と一緒に素敵な景色を見にいこう いつか、君を

愛しい人を愛せない彼女たち

好きな人を 好きになれないもどかしさを あなたは知っていますか? 愛しい人を 愛せない苦しみを あなたはわかってくれますか? *** 今日も一人の女性が わたしの目の前でツーっと一筋の涙を流した 「あっ…… 」 涙があふれたことに気づかなかった女性は びっくりした様子で目を見開く 慌てて指で目尻を拭うと、恥ずかしそうに下を向いた 心配しないで その涙 わたしも流したことのある涙だから 恥ずかしいことでも、後ろめたいことでも なんでもないの 笑顔を送ることで 女

消した彼女のセーブデータ

「あなた、また脳みそ落っことしてる」 テーブルに置きっぱなしの白い小さなメモ帳を そっと拾い上げて彼女に渡す 「ありがとう」 今日は ”そっと” メモ帳を受け取ってもらえた 窓から爽やな風が吹き込み、リビングを抜けていく 青が美しい晴れやかな天候だったから 家中の窓を開けて風が抜けるようにした 皐月の優しい風が吹く あの日もこんな青空の美しい日だった * キーンと、一機の飛行機が おしりから白い塗料を吹き出して 青の画用紙に不器用な線を 厚く塗り進めていた

「大丈夫」の呪い

「大丈夫」って、 なんて残酷な言葉なのかしら まるで呪いみたいに 一切の疑念や焦りを 見えないようにしてくれるの 作った笑みを浮かべながら 瞳の奥をうかがいながら 寂しさで満たされていく わたしがあなたに伝える言葉は ただひとつ 「大丈夫」 ゆり、つらいことはない? 「大丈夫」(つらいの) ゆり、困っていることはない? 「大丈夫」(どうしたらいいかわからないの) ゆり、悩んでいることはない? 「大丈夫」(苦しくて溺れそうなの) 偽りの優しさなんて いらな

「大丈夫」の魔法

「大丈夫」って、 なんて心安らぐ言葉なのかしら まるで魔法みたいに 一切の不安や心配を 拭い払ってくれるの 頭をなでてもらいながら 瞳をみつめてもらいながら 温かさで満たされていく わたしがあなたに求める言葉は ただひとつ 「大丈夫」 ねぇ、わたしのこと好き? 「大丈夫」(変わらず好きだよ) ねぇ、わたしといて楽しい? 「大丈夫」(まちがいなく楽しいよ) ねぇ、この先もずっと一緒にいられる? 「大丈夫」(ずっと一緒にいるよ) 偽りの言葉なんて いらないの

散りばめられた小花

「愛してる」 ダリアの大輪が咲くように 色あざやかに眩しいほどの笑顔で あなたに真っすぐ届けられる 女じゃない だから 精一杯に小さな小さな花を たくさん咲かせることを 覚えたの わたしにでもできる想いの届け方 「好き」って想いを小さく花開かせては 想い咲いたばかりの柔らかい花びらを 潰さぬように 花軸の部分から もぎり取る 首だけになった小さな小さな想いを そっと散りばめる あなたの足元だったり 扉を開けた先の地面だったり さりげなく通り過ぎる道だったり いつ

現実<リアル>はゲームより奇なり

「正義は称えられ 悪は成敗される」 勧善懲悪を基本としたゲームの物語は 現実にはあり得ない残酷さの余韻を ときとして、心に残してゆくもの 例えば ◆「タイムループ×伝えられない愛」 自分の意志に関係なく、時空空間を彷徨い 何度も一定時間を繰りかえしてしまうタイムループは 残酷なストーリーの定番 そこに恋愛、家族愛が絡み最高の不幸を創り出す ◆「永遠の呪い×自己犠牲」 大切な人が受けてしまった悪魔からの呪いを 過酷な冒険を経て手に入れた方法で自分自身へと移し 大切