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恋愛・人生観 エッセイ

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アバター恋愛や仮想世界を生きて、感じた思いを綴った単独記事集です。
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#ゲームで学んだこと

2次元×リアル恋愛癖

物心ついた頃から身近にテレビゲームがあった 両親がゲーム好きだったから そういえば祖父母の家にもゲーム機があった記憶が残っている 根っからのゲーム大好き家族の元に産まれてきたってわけだ ドラクエのふっかつのじゅもんを必死で書き写すことでひらがなを覚えた ゲームごとに違う戦闘システムや技名、魔法名とその効果属性などを毎回覚えることで、高い暗記力を養うことができた 悪いやつは心正しき勇者がやっつけて世界を平和に導く王道ストーリーは、素直な道徳心を培ってくれた おかげで道

108輪の薔薇をあなたに

一本は、一目惚れ 二本は、二人だけ 三本は、愛してる 四本は、死ぬまでよ 五本は、、、? 上品な艶のある黒い箱には 鮮血のような深みある真紅色が映える 隙間なく詰められた12輪の薔薇に 思わず目を奪われて急足を止めてしまった 「あぁ、思い出した。ダーズンローズね」 百貨店の一角にあるローズ専門店 一体何人の殿方がどんな想いで購入していくのかしら 思わぬ形で浮かび上がった花束への想いに浸りながら ゆったりと過ぎゆく人々を観察していたいと思ってしまった ふふっと笑み

オンリーワンじゃなくて、ナンバーワンになりたい #2〈終〉

あなたには 好きだと 言ってもらったことがない 名前を 呼んでもらったことがない 手を 繋いでもらったことがない 嘘を ついてもらったこともない * 知り合って数ヶ月経っても 何も進まない関係だったから あなたのことを ちゃんとわかっているわと 伝えるために聞いた 「ねぇ、本命がいるんでしょう?」 「あぁ、いるよ」 ごまかすことも慌てることもなく 単なるいつものベッド上の会話でしかなかった 「でも、まちがいなく俺の中でナンバーワンだから」 そう言って

オンリーワンじゃなくて、ナンバーワンになりたい #1

まちがいなく 俺にとってナンバーワンだよ ねぇ、わたし ナンバーワンじゃなくて オンリーワンになりたいの あなただけの わたしになりたい それって 願ってはいけないこと? *** 塾の送迎で 何度か通り過ぎて 気になっていた 小さなテラスのあるカフェレストラン 裏通りの静かな住宅街の中にあり オープンな店内を横目で見ると いつも適度に 笑顔の客で賑わっていた 今日「ランチ」で検索をかけて たまたまあなたに選ばれたお店 「ここ良さそうだよ」 バックモニター

いつか 〜18年の時を経て〜

「いつか」って いつやってくるのかしらと 期待に胸を膨らましながら 真面目に考えていたあの日 「いつか」とは 不確定な時を表す言葉 確約できない未来 「いつか」は決してやってこない 未来のことだって気づいたのも いつか、あの日 *** わたしがいつも聴くプレイリストには 「いつか」というタイトルの曲が入っている わたしはあの日を思い出しながら 毎日「いつか」を聴いているの いつか、君と手を繋いで歩きたい いつか、君と一緒に素敵な景色を見にいこう いつか、君を

最後のデートはメロン味

最後のデート どこへ行きたい? そう聞かれて 心に残る場所なんてあったかしらと 考えてみたら ふたりの思い出の風景って この世に存在していない世界だったことに 気づいた 桜が見たくて お世話になっている 法多山尊永寺へ 今年の初詣は ふたりで行けてなかったから もう、花は散り始め 新しい葉が顔を覗かせていた 今のふたりには かえってちょうど良かったね 手を合わせてお参りをしても 願い事や未来の抱負なんて 何も出てこないし   会話もこれといって 特にない 一度

サキュバスの呪い

ある仮想世界に 姉妹のように仲良く育った娘たちがいた 世界を平和に導いた勇者、その盟友と それぞれ結ばれ 大きな城の城下町で 仲睦まじく暮らしていた 悪に怯える必要のなくなった世界では 人々は活気づき、町は発展し、 争いごととは無縁の”幸せ”に 満ちあふれていたの 爽やかな風が、いつの間にか冷たさを増した頃 まもなく娘の一人が誕生日を迎える 「今宵、うちに遊びに来なさいな。両親がワインを送ってくれたのよ」 城下町から少し離れた村で 娘の両親は大きなブドウ園を営んでい

消した彼女のセーブデータ

「あなた、また脳みそ落っことしてる」 テーブルに置きっぱなしの白い小さなメモ帳を そっと拾い上げて彼女に渡す 「ありがとう」 今日は ”そっと” メモ帳を受け取ってもらえた 窓から爽やな風が吹き込み、リビングを抜けていく 青が美しい晴れやかな天候だったから 家中の窓を開けて風が抜けるようにした 皐月の優しい風が吹く あの日もこんな青空の美しい日だった * キーンと、一機の飛行機が おしりから白い塗料を吹き出して 青の画用紙に不器用な線を 厚く塗り進めていた

「大丈夫」の呪い

「大丈夫」って、 なんて残酷な言葉なのかしら まるで呪いみたいに 一切の疑念や焦りを 見えないようにしてくれるの 作った笑みを浮かべながら 瞳の奥をうかがいながら 寂しさで満たされていく わたしがあなたに伝える言葉は ただひとつ 「大丈夫」 ゆり、つらいことはない? 「大丈夫」(つらいの) ゆり、困っていることはない? 「大丈夫」(どうしたらいいかわからないの) ゆり、悩んでいることはない? 「大丈夫」(苦しくて溺れそうなの) 偽りの優しさなんて いらな

「大丈夫」の魔法

「大丈夫」って、 なんて心安らぐ言葉なのかしら まるで魔法みたいに 一切の不安や心配を 拭い払ってくれるの 頭をなでてもらいながら 瞳をみつめてもらいながら 温かさで満たされていく わたしがあなたに求める言葉は ただひとつ 「大丈夫」 ねぇ、わたしのこと好き? 「大丈夫」(変わらず好きだよ) ねぇ、わたしといて楽しい? 「大丈夫」(まちがいなく楽しいよ) ねぇ、この先もずっと一緒にいられる? 「大丈夫」(ずっと一緒にいるよ) 偽りの言葉なんて いらないの

一匹のひつじとオオカミたち

若葉色が美しく広がる大きな草原を 「自由に」駆け回るひつじ そんなひつじは一匹もいないの 時間がくれば 飼いならされた牧羊犬に吠えたてられて いつもの場所へと戻される 戻されることにさえ疑問など持たず 同じ毎日を過ごしていく みんなが右に曲がれば 続いて右に曲がる 「右に曲がりたいんだった」 「右に曲がって当然だ」 みんなが左に曲がれば 続いて左に曲がる 「やっぱり左だよね」 「右に曲がるなんてどうかしてる」 あやまって群れからはぐれ一匹さまよえば 牧羊犬に吠

現実<リアル>はゲームより奇なり

「正義は称えられ 悪は成敗される」 勧善懲悪を基本としたゲームの物語は 現実にはあり得ない残酷さの余韻を ときとして、心に残してゆくもの 例えば ◆「タイムループ×伝えられない愛」 自分の意志に関係なく、時空空間を彷徨い 何度も一定時間を繰りかえしてしまうタイムループは 残酷なストーリーの定番 そこに恋愛、家族愛が絡み最高の不幸を創り出す ◆「永遠の呪い×自己犠牲」 大切な人が受けてしまった悪魔からの呪いを 過酷な冒険を経て手に入れた方法で自分自身へと移し 大切

瞳の奥の女たち

軽く汗ばむ昼下がり 「のど渇いたね、コーヒーでも飲む? 」 あなたはわたしの手を引いて 地下の喫茶店に入る 少し顔が火照っているのは 陽気だけのせいじゃない 慣れないヒールに 気づかれてしまったかしら 昭和レトロを醸しだす薄暗い店内 ひんやりとした空気と クラシカルな音楽が 上がり切った心拍数を ゆっくり下げてゆく 「アルコールランプとか、懐かしくない? 」 店の雰囲気に合わせて ディスプレイされている調度品を 興味深く見まわしながら フラスコとか、試験管

*2次元×リアル恋愛*アバター彼氏は【1+1+1=1】

ネットゲームのアバターに恋をするところから始まる2次元×リアル恋愛。 「2次元×リアル恋愛」ってなんぞ?という今回はじめましての方は ↓↓↓ ぜひこちらからご覧ください♪ ↓↓↓ おかげ様で、大切な思い出をこの3ヵ月で「6作」の短編小説にまとめることができました。ほぼノンフィクション作品なので恋愛人生振り返りながらの日記感覚でした。 <1>あなたの二番目にしてください <2>25年後のプロポーズ <3>霞がかる東京スカイツリー <4>救えなかったマフラーの香り