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ユートピアが「怖い」と実感したSF小説【徒然読書56】
SF小説第二弾です。
病気もストレスもない世界がユートピアなのか?を問いかけた小説です。
友人に勧められたのはオルダス・ハクスリーの「すばらしい新世界」でしたが、近くの書店になくて、配達待ちです。
その時に惹かれて買ったのが「ハーモニー」。
「すばらしい新世界」と引き合いに出されているのをどこかで読んだのを思い出しました。
核戦争を経てすべての人間が均一化されていて、「おとな」になると健康が管理される。メンタルヘルスと医療が発達した世界。
そこには「痛み」が起こらないし、反発も起こらないから闘いも戦争もない。
そうしたシステムに反発した少女たちの物語です。
正直無意識に眼をそむけていたものが一気に出てきたようで、読んでいて混乱するところはありました。
なので、今までの徒然読書のように引用とかはあまりできません。
だけど巻末の著者インタビューでの言葉が頭に残っているので、引用します。
共同体を論じる以前に、動物としての人間って言う部分が議論からすっぽり抜けているような気がするっていうか。
読後は結末が綺麗すぎてすっきりしたような、でもすっきりしないでまだ「心」や「意識」について問い続けなくてはいけないような。
そんな感覚でした。
筆者はすでに亡く、病院で書き上げたといいます。
一種のなまなましさがそこにありました。
私たちが描く未来をさらに延長上、斜め上を見ていくとどんな反動が起こりえるのか。
そういったことを『ハーモニー』は教えてくれたような気がします。
「調和」は美しいのか残酷なのか。
『すばらしい新世界』が届いたら読み比べてみようと思います!
徒然読書のデザインも56冊同じなのでそろそろ変えたいなーと試行錯誤中です。