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【歴史の入口に!】歴史好きが紹介する日本古代のマンガ

歴史マンガの紹介を最近出来ていませんでした。
振り返れば、最後にしたのが12月というほぼ半年前…

その間歴史マンガを読んでいなかったのかというとそうでもなく、でも紹介できるほど読んでもなく。
なかなか紹介のタイミングを掴めずにいました。

でもひとつだけ、面白いマンガを見つけたので紹介します!

それが、『ふることふひと』(全6巻)。
Kindle Unlimitedで3巻まで無料で読めます。

どの時代のマンガかというと、天武天皇の時期。
あの『古事記』編纂を舞台としたマンガです。

『古事記』は稗田阿礼と太安万侶が編纂したと言われていますが、この二人、謎の人なのです。
私自身なぜこの二人が?というのは、古い日本の神話を記憶してきた語り部ということしか知りませんでした。

それを複雑に絡み合う政局とも絡めながら、異説を繰り広げていく。
稗田阿礼をのちの藤原不比等だと設定するのです。

藤原不比等というと、持統天皇に仕え、飛鳥浄御原令制定など重要な政策を次々と打ち立て、娘を天皇家に入れて権力をふるっていくという記憶です。
しかもその娘は聖武天皇を産んでいます。

その幼少期について描かれたマンガは、私が把握している限りなかったと思いますし、稗田阿礼に扮するなどある意味ぶっとんでる設定なので、どう展開していくのか気になります。

また、『古事記』の内容や成立背景も学べ、こんな視点もあるんだと楽しめるマンガだと思います。

興味深かったのは、『古事記』は大和言葉(古くから使われていた日本語)にこだわり、発音の仕方や読み方にも注を入れていること。

池澤夏樹さんの『ワカタケル』という歴史小説にも触れられているように、言霊を大事にしているというか、身近にあったことが伝わります。



『古事記』はメジャーすぎて、内容を知らないという人は少ないでしょう。
様々なマンガや専門書があり、読むだけで一苦労です。
元歴史専攻として、『古事記』に当たったことはありましたが、何しろ伝承部分が多いので「キリがない」。
というのは、本当に起きたのかという事実性の検証もそうですが、なぜこの話が入ったのかという背景を推測する歴史学と民俗学の間のような研究になる。

だから研究するとなると、掘りつくされていそうでまだまだ眠っているというイメージです。だから大学時代はさらっとだけにとどめました。

だけど、研究としてではなく日本の感性や神話として見ると面白いです。
精神分析観点からすると、河合隼雄さんの『中空構造日本の深層』があります。

これは日本は中心をおかない構造であることを喝破されています。
イエス・キリストのような唯一神をおかないということだけでなく、3人の神が同時に誕生したとしても2番目の存在感が薄い、一番最初に誕生する天之御中主神が誕生以後表に出てこないなど…

『ふることふひと』では、真ん中の子どもは飛ばす、とあまり深く触れられていません。
(むしろパターンとして受けいられています)

なぜ?と思われた方は、この本を読むとひとつの答えを得られるのかもしれません。

神話から今の日本的な社会構造、精神構造を分析されているのが面白いので興味があればぜひ。

と、マンガからいろいろと話がずれましたが、『ふることふひと』が今好きな歴史マンガのひとつです!


前回の歴史の入口に!はこちら。
どんな歴史マンガがあるのか、参考になれば嬉しいです。

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