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企業がSDGsに取り組むメリットと事例を紹介します

SDGsの期限まで残り10年を切りましたが、今でも多くの企業がSDGs目標達成に向けた取り組みを積極的に行っています。

企業がSDGsに取り組むメリットはどこにあるのでしょうか?

■SDGsのおさらい|基本内容と目標一覧

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前身の国際目標であるMDGs(ミレニアム開発目標)の期限となる2015年に開催された国連サミットで採択されたのがSDGs(持続可能な開発目標)。

MDGsが主に途上国を対象にした目標だったのに対し、SDGsは「誰一人取り残さない」という宣誓のもと、先進国も含めた目標を定めており、2030年までに国際社会全体で目標を達成することを目指し取り組んでいます。

SDGsを構成しているのは17の目標と169のターゲット。

以下に目標とその内容をまとめましたのでご覧ください。

【SDGs17の目標一覧】
目標1「貧困をなくそう
あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ

・目標2「飢餓をゼロに
飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する

・目標3「
すべての人に健康と福祉を
あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する

・目標4「質の高い教育をみんなに 
すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する

・目標5「ジェンダー平等を実現しよう」
ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを図る

・目標6「安全な水とトイレを世界中に」 
すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する

・目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する

・目標8「働きがいも経済成長も」
包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する

・目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る

・目標10「人や国の不平等をなくそう」
各国内及び各国間の不平等を是正する

・目標11「住み続けられるまちづくりを」
包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する

目標12「つくる責任 つかう責任」
持続可能な生産消費形態を確保する

・目標13「気候変動に具体的な対策を」
気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる

・目標14「海の豊かさを守ろう」
持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する

・目標15「陸の豊かさも守ろう」
陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する

・目標16「平和と公正をすべての人に」
持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する

・目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」
持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

ターゲットは、「目標を達成するためには何をしなければならないのか」をまとめた項目のようなものです。私たちの生活や働き方にも直接影響しているもののあるので、読んでみると世界の動向を知ることができますよ♪

■企業がSDGsに取り組むメリット①「ESG投資」

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最近よく耳にするESG。
この記事を読んでいる方の中にはご存知の方も多いのではないでしょうか?

ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの頭文字を取って呼ばれる言葉。ESGのために取り組んでいる企業に投資することをESG投資と呼んでいます。

ESG評価が高い=優良企業というイメージに!

2006年に当時の国連事務局長が「責任投資原則(PRI)」を提唱したのをキッカケにESG投資が重要視されるようになりました。

PRIは6つの原則から成り立っており、ESGを考慮することで持続的な金融市場と優れた投資効果を得ることを目指す内容となっています。以下に6つの原則をまとめたのでご覧ください。

【責任投資原則(PRI)の原則】
1. 投資分析と意思決定のプロセスにESG課題を組み込む
2. 活動的な所有者となり所有方針と所有習慣にESG問題を組み入れる
3. 投資対象の企業に対してESG課題についての適切な開示を求める
4. 資産運用業界において本原則が受け入れられ、実行に移されるように働きかけを行う
5. 本原則を実行する際の効果を高めるために協働する
6. 本原則の実行に関する活動状況や進捗状況に関して報告する

2016年には世界の投資額の26.3%(約22.8兆ドル)を占めたほか、2018年にはESG市場の規模が約31兆ドルになるなど、ESG投資は活発化しています。

SDGs に取り組むことは、ESG評価を上げることに繋がり、結果として投資家からの資金調達が得やすくなり経営を有利に進めることができます。

■企業がSDGsに取り組むメリット②「雇用創出と経済効果」

世界経済フォーラムは、毎年年次総会「ダボス会議」を開いています。

2017年のダボス会議で発表された内容が大きなインパクトを与えました。その内容は、「SDGsによって12兆ドルの経済効果と3億8000万人分の雇用を創出する機会が生まれる」というもの。

ダボス会議での発表は、SDGsに取り組まないことがデメリットであるという印象を与えるほど影響の大きいものでした。

■企業がSDGsに取り組むメリット③「本業に関連した社会貢献活動ができる」

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企業はそれまでもCSR(企業の社会的責任)活動を通して、社会貢献をしてきました。しかし、CSR活動は、植樹をはじめとする本業とは関係のないものが多く、企業にとって大きな負担となることも。

SDGsは、さまざまな分野に関連した目標が定められています。

企業は本業に関連した活動を通して社会貢献をしていることをユーザーにアピールすることが可能です。

■企業がSDGsに取り組むメリット④「ビジネスチャンスが生まれる可能性」

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SDGsに取り組むことは、新規事業やサービス、商品を生み出すキッカケを作り、ビジネスの幅を広げること、また、企業間でタッグを組む事例も多く見られます。

企業間のタッグは、グローバルにも展開しているんですよ♪

例えば、東京電力は、企業版SDGsランキングとも呼ばれる「Global 100 Most Sustainable Corporations in the World (Global 100 Index:世界で最も持続可能な企業100社)」で1位を獲得したデンマークのエルステッド社と提携、洋上風力発電所を建設し商用化しています。

また、ジモティーは自社調査の結果、ひとり親世帯の約半分(約65万世帯)が自社サービスを利用していることが判明したことを受け、ひとり親世帯が賛同企業の支援物資などを優先的に受け取れる受け渡し会を開催しました。

貧困は日本でも深刻化している問題です。
ジモティーの取り組みは貧困問題改善へのアプローチとなっています。

■企業のSDGs取り組み事例①「日清食品」

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日清食品は以下のSDGs目標に取り組んでいます。

【目標2】
災害発生時の被災地支援や貧困支援を目的としたインスタントラーメンの無償提供
【目標3】
健康志向に応える製品の開発
【目標4】
製品の売り上げの一部を国連WFPやベルマーク教育助成財団に寄付
【目標12】
RSPO (持続可能なパーム油のための円卓会議) 認証パーム油やFSC(Forest Stewardship Council®) 認証紙をはじめとした持続可能な原材料の使用
【目標14】
容器・包装における石化由来プラスチック使用量の削減
【目標15】
植物代替肉の使用、培養肉の開発

(日清食品|サステナビリティマネジメントより作成)

なかでも注目されているのが目標14と15の取組みです。

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目標14の取り組みとしては、同社を代表する「カップヌードル」の容器の変更がこれに当たります。

2008年から温室効果ガスであるCO2の削減を目的にECOカップを採用していましたが、2019年からは、ECOカップの機能性はそのまま、石油由来のプラスチックの一部をバイオマスプラスチックに変更した「バイオマスECOカップ」を採用しました。

2021年には完全に切り替えが完了するとの報告をしています。

人口増加に伴う食糧不足にアプローチしているのが目標15にある培養肉や代替え肉の開発です。

カップヌードルの薬味としてファンも多い”謎肉”。実は、ベジタリアンにお馴染みの大豆ミートが使われているのをご存知ですか?大豆ミートに豚肉や野菜を加えたハイブリットは薬味とも言えますね♪

そして、東京大学と共同で進められているのが培養肉の開発!

牛の筋繊維を培養して人工的に食用肉を作り出すこの研究は、厚さ2cm×幅7cm×奥行7cmのステーキ肉サイズを2025年までに作り出すことを目標にしています。

ちなみに、サイコロステーキサイズを作り出すことに成功しています。これは世界初の快挙なんだそうです★

■企業のSDGs取り組み事例②「キューピー」

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キューピーでは、「経済的な貧困」、「体験の貧困」、「関係性の貧困」の3つの貧困に着目し、食育を通したSDGs貢献活動を積極的に実施。なかでも子どもの成長に関する取り組みは高評価を受けています。

代表的なものとしては、「子どもの心と体の健康支援」をテーマにした、マヨテラスや工場見学、出張学習といった体験型の学習です。

キューピーが公表している2019年度の実績をご覧ください。

【工場見学・マヨテラス(※)来場者数】88,147人
【マヨネーズ教室の開催数】315回
【キューピーみらいたまご財団(※2)】支援団体数:70団体
(※)キューピーが運営している見学施設。
(※2)食育活動や子供の貧困対策に取り組んでいる団体への寄付を中心とする助成活動を行うキューピーが運営している財団。

親子に人気のマヨテラスは、2014年のオープンから累計来場者10万人を達成!マヨネーズを通した、食育や家族観のコミュニケーションの場としても高い人気を誇っています★

■企業のSDGs取り組み事例③「KUMON」

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KUMONは、開発途上国における貧困支援の一環として、バングラデシュのNGO団体BRACが運営する小学校、「BRACスクール」において、公文式学習を取り入れるプロジェクトをスタート!

BRACスクールは、貧困を理由に学校に通えない子どもや学校が近くに無い子どもを対象に無料で開講されている学校です。

2017年には、公文式学習教室を現地に設立しました。

中高所得者向けとして運営されている2つの教室は、その収入をBRACスクールにまわしているとのこと。

KUMONとBRACによるバングラディッシュでの活動は、貧困層の子どもへの教育支援に貢献していると言えるでしょう。

■企業がSDGsに取り組むメリットと事例まとめ

今回は企業がSDGsに取り組むメリットと取り組み事例をご紹介しました。

【今回ご紹介した内容】
・SDGsの基本内容と17の目標一覧
・メリット①「ESG投資による資金調達が有利になる」
・メリット②「雇用創出と経済効果」
・メリット③「本業と関連した社会貢献活動ができる」
・メリット④「ビジネスチャンスに繋がる可能性」
・日清食品の取り組み事例
・キューピーの取り組み事例
・KUMONの取り組み事例

企業にとって、SDGsに取り組むことは利益や社会貢献活動など多くのメリットがあることが分かりましたね。

私たちが商品やメディアを通して「SDGs」というワードを見聞きすることが増えたのも、実は企業が取り組んでいるからなんです。そういった意味でも、企業のSDGsへの役割は大きいと言えます。

みなさんの好きな企業がどのような取り組みをしているのか、ぜひチェックしてみてください★

▼参考サイト
株式会社プロジェクトデザイン|具体的でわかりやすい!SDGs17の目標毎の企業のSDGsの取り組み例

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