見出し画像

安城の人口減少について

 日本の中小企業の倒産件数は2016年以降、毎年4万件を超えています。中小企業が時代の変化に適応し存続していくには、大企業の下請けから脱却し、主体的に地域創生に介入していくことが大切です。少子高齢化に人口流出…。

日本の人口は43年後には約30%減。1億人以下に

 
 昨今、日本の中小企業を取り巻く経営環境は厳しさを増しています。受け身体質のまま危機感をいっさいもたず悠長に構えていては、日本経済の屋台骨を支えている中小企業はどんどん消失していきます。

 高度経済成長時代のような常に旺盛な需要があって何でもつくれば売れたという時代は過去のものであり、二度と復活することはありません。 なぜなら旺盛な需要拡大の根底にあった戦後の一貫した人口増加は止まり、逆に人口減少が始まっているからです。

 総務省統計局、国土交通省のデータによると、終戦の年の日本の総人口は7,199万人でした。1868年の明治維新のときの3,330万人から急カーブで増え続け、戦後はさらにその勢いを増して、日本の総人口は2008年に1億2,808万人まで増えました。

 しかし、それからは日本の歴史始まって以来の減少に転じています。2021年には1億2,550万人にまで減りました。減少数は年々増加しており2019年からの1年間で約41万人、2020年からの1年間では約64万人が減少しています。島根県の総人口が66万5,000人ですから、ほぼ島根県一県の人口が1年で消えてしまったことになります。

2036年には国民の3人に1人が高齢者に

 
 今後もそれ以上の人口減少が続きます。このペースでいけば2040年の1億1,092万人を経て、2065年には8,808万人になるものと推計されています。 しかもより深刻なのは年齢構成の変化です。

 急ピッチで少子高齢化が進んで現在の高齢化率は28・4%ですが、2036年には33.3%に達し、国民の3人に1人が高齢者になります。この割合はさらに高まって2065年には38.4%に達すると予想されています。

 かつて日本が高度経済成長に向かっていた1950年の高齢化率はわずか5%に過ぎません。現在の高齢化率がいかに高いか、そしていかに急速に訪れたものであるかはこの数字からも明らかです。

 このような状況ですから 中小企業の多くが深刻な人手不足・後継者不足・働き手の減少は地域のもっていたお金を稼ぐ力や付加価値の創造力が失われることを意味し、地方経済には大きな打撃となります。若者の県外流出は県下の中小企業に深刻な人手不足、後継者不足という問題を突きつけています。

地方自治体の約半数が、消滅可能性都市に該当

 
 総務相ら民間有識者でつくる日本創成会議が2014年5月に公表した消滅可能性都市に関する調査結果も、地方における若者世代の減少がいかに深刻な問題かを示すものでした。

 消滅可能性都市とは「2010年から2040年にかけて20~39歳の若年女性人口が5割以下に減少する市区町村」のことです。こうした自治体では子どもが減って地域社会や経済、地方財政を支える世代が育たず、無居住地化する可能性が高いというのです。

 現在全国にある1,799自治体のうち、実に約半数の896自治体が該当すると報告されていました。愛知県についても7市町村の名前が挙がっています。 実際、安城市の調査でも合計特殊出生率(一人の女性が生涯に産むことが予想される子どもの数)は平成17年(2005年)に最低の1.26を記録した後上昇傾向となり、平成26年(2014年)には1.42、平成27年(2015年)には1.45まで上昇したものの、平成30年(2018年)には1.42となっています。
 
 消滅可能性都市の指摘は決してSF小説の世界のものではなくリアリティをもって地方都市の将来に警鐘を鳴らしているのです。 すでに地域経済や産業の振興を担う人材の不足が顕著になって暮らしに必要なサービスの維持さえ難しいという状況が現実のものとなっています。

 日々の生活用品の購入、行政サービス・医療や介護サービスの利用、災害時の救援といった当然のことすら享受しにくくなっているのです。 こうした厳しい状況のなかでは自分だけを見て対策を考えても展望は見えてきません。

 確かに自分も大事ですが同時に地域全体が豊かにならなければ未来もないからです。安城市がほかでは得られない独自の価値を生み出すことで衰退を食い止めて反転させ、新たな発展の道を歩み始めなければならない

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?