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【vol.27】「SDGsは分野が広すぎてわかりにくい」という人へ~キーワードは”ドミノ!?”~

最近、自分の住む地域でSDGsを広めようとしている中で、SNSを活用して”地域のSDGsコミュニティ”なるものをつくろうという話が出てきたのですが、

「SDGsは分野が広いから、なかなか伝えにくいよね」

こんな話が出てきて、まさにそうだよね!と思ったんですが、それと同時に何だかモヤっともしたので。。。

自分自身の考えの整理のために、このnoteを書きます。

SDGsは皆さんご存じのとおり、17個のゴールと169のターゲットで構成されています。(230ぐらいある指標のことはここでは省きます)

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一応、一つひとつ書いておきますと。。。

①貧困 
②飢餓
③健康
④教育
⑤ジェンダー
⑥水・衛生
⑦エネルギー
⑧成長・雇用
⑨技術革新
⑩不平等
⑪都市
⑫生産・消費責任
⑬気候変動
⑭海の豊かさ
⑮陸の豊かさ
⑯平和・公正
⑰パートナーシップ

ざっとこんな感じで、多岐にわたる分野を包含している形になります。


そこで、例えば、「SDGs」という言葉を使わずに、この中でいくつかトピックを取り出して、

・「教育」について考えるコミュニティ

・「健康」になるためのコミュニティ

・「気候変動」を何とかしたい人たちのコミュニティ

こういったものをつくれば、それぞれに興味のある人が入り、それぞれ持っているバックグラウンドや知識・情報、意見などを交換し合って、良い感じのコミュニティが出来上がるかもしれません。


しかし。。。

SDGsのコミュニティ


こう名乗った瞬間に、


「何それ?聞いたことない」

「何となくマークは見たことあるけど、なんだか小難しそう」

こんな感じでハードルが一気に上がり、なかなか人が集まらない。。。

こんな状況がリアルに想像できてしまいます( ;∀;)


この原因は、

SDGsが横文字でわかりにくく、17個もゴールがあって、何だか小難しそうで、自分にはメリットがあるように思えなかったり。。。

あるいは、

別に「教育」とか「健康」とか「気候変動」とか、それぞれ興味のある人がそれぞれの分野で交流すればよくない?
敢えて「SDGs」ってまとめる必要があるの?

っていう人も少なくないかもしれません。


ただ、僕は

「SDGs」という形でまとまっていることが大切なんです。


これを伝えたいと思うのです。

というのも、SDGsで大切なのは、「つながり」という考え方だと思っています。

例えば、


ゴール14(海の豊かさ)の「海洋プラスチックごみ」の削減に向けて、食品を販売する際のプラスチックの包装容器を廃止し、容器を顧客に持参してもらうようにする。

有限な石油資源の使用制限となり、ゴール12(生産・消費責任)のターゲットの中にある「廃棄物の削減」につながる。

このように、ゴール14に取り組んだことがゴール12にもつながった!というような感じで、

一つのゴールやターゲットの達成に貢献する活動が、”まるでドミノのように”他のゴール達成に貢献する

SDGsを知っていると、こんなことに気付けます。(これを「ドミノ効果」と勝手に呼ばせてもらうことにします(笑))


ただし、これは反対も言えまして、

プラスチックの容器包装を廃止した。(ゴール14には◯

食品の鮮度が落ちて保存期限が短くなることで、食品ロスが増加してしまった。(ゴール12には✕

もしこの例のようなことが起こってしまうと、

あるゴールの達成に向けて良かれと思ってやったことが、他のゴールにとってはむしろマイナスになってしまう


これは以前の記事で書きましたが、”トレード・オフ”と言います。

なので、SDGsという「複数のゴールのまとまり」を見ることで、

「たくさんある課題を一気に解決するにはどういうアクションが良いか」

「一つの課題解決に向けたアクションが、別の新たな課題を生まないためにはどうすればよいか?」

こんな風に、根本的な課題解決ができるように(局所的に物事を見るのではなく)、”高い視座”から物事を捉える

もっと簡単な言葉で言ってしまうと、

意図的に「正」のドミノ効果(負のドミノではなく)を起こす方法

これを考えるためのヒントを得られるのが、SDGsの良さなんじゃないかな~と思ったりする今日この頃です。



。。。

さて、この話につながることをもう少し続けさせてください。

そもそも、このSDGsが誕生した経緯としてこんなことが言われています。(※誤解を恐れず、ものすごくざっくりと書きますね)

昔は、「経済」と「環境」とは相反する関係にあり、

環境に投資することは経済にはマイナスになる

一方で、

経済ばかりを回すと、環境に負荷がかかる

こんな考え方が主流でした。(もちろん国や企業によって考え方に違いはあると思いますが)

そして、経済については「経済の専門家だけ」のテーブルで話し合いを行い、環境については「環境の専門家だけ」のテーブルで話し合いを行い、お互いが対立軸を持って相容れない関係になっていました。

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(※写真はイメージです)


しかし。。。だんだんと世界がグローバル化していき、社会の課題もどんどん複雑化してきた。

環境にダメージを与えたことにより、CO2の排出が増え、地球温暖化が進行し、それによって近年のような豪雨や台風など、大規模な災害の影響でそもそも業務ができなくなり、企業が大きな経済損失を被るといったことが毎年のように起こってきています。

「あれ?経済を優先したら環境は無視していいと思っていたのに、環境を大切にしないと、実は経済も落ち込んでしまうのでは?」


また、環境の分野で頑張ってきたNPO団体なども、寄付金などの補助に頼らないと活動が続けられないし、活動者もどんどん高齢化していってマンパワー的にも苦しくなってきたり。。。お金がないことで活動が頓挫してしまった、こんな事例は枚挙にいとまがないでしょう。

「あれ?経済は環境にとっては悪だと思っていたけど、経済の仕組みがないと(=きちんとお金が回らないと)、環境を良くする取組が持続できないのでは?


「うーん。。。そうなると、経済の専門家と環境の専門家が同じテーブルで話をして、もっとお互いのことを知って、相互に助け合うことをしないと、根本的な課題の解決にはならないんじゃないか!?」

「よし!そしたら、これまではバラバラに議論してきたカテゴリーを一つにまとめて『SDGs』っていう目標をつくり、いろんな分野の人がそれぞれの垣根を超えて、同じテーブルで一緒に議論して、”最適解”を探していこうじゃないか!」

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(※写真はイメージです)


。。。

いろいろ省いて書きました(誤解が生まれないように祈ります)が、こんな風な経緯でSDGsができた、と言われています。


つまり、

自分が正しいと思い、関心のある分野だけしか考えないと、根本的な課題解決にはつながらない。

(=「自分さえ良ければそれでいい」は通用しない)


こんなことが言えるのでは?と思います。

なので、「SDGsを知る」ということは、その中の興味のあるゴールだけをつまみ食いして、したり顔をする(私もしてるかもしれませんが。。。)ことではなく、

「経済・社会・環境のバランス」という観点を持ちながら、ゴール同士のつながりが良い方向に、”ドミノ式に倒れるように”アクションを考えていく


こんな視野が持てるようになれば、「SDGsをよく理解して、うまく使えてるね!」って言えるのではないでしょうか?

ただし!

もちろん最初のハードルとして、「まずは自分の興味のあるゴールに向かって取り組みを始めてもらう」のが一番入りやすいと思いますし、それを否定しているわけではないんです。
実際、僕自身も「自分が特に貢献したいゴール」というのは設定して、それに向かってアクションを起こしています。

ただ、「誰一人取り残さない」という究極的な理念を達成するには、「全てのゴールが同時に解決される」ことにならないと難しいでしょう。


というわけで、企業が単体でゴール番号を掲げてSDGsを訴求することはもちろん大切なことだと思いますが、この「つながり」ということをきちんと理解した上で取り組むか取り組まないかでは、後々に大きく差が出てくる(いわゆる「ウォッシュ」と指摘されてしまう)のではないかと考えています。

ただ、おそらく優秀な経営者の方は自然とこういった考え方が身についておられると思いますので、私が偉そうに言うまでもないでしょうけどね^^;


最後に!

もし「SDGsを知ったり学んだりするメリットは?

と聞かれたら、僕がいま思うのは、

物事をより広い視野から見て、つなげて考えることのできる、そういった「考え方」を身につけることができます


とでも言おうかな~と思います。

まぁ、そもそもSDGsって「長期的な視点」を持ちながら持続可能な世界に向けてアクションを起こしていくものなので、あまり近視眼的にすぐメリットを追い求めるという考え方自体、あまり好きではないんですが。。。汗


あと、補足としてお伝えしますが、こんな風に書いている僕もお恥ずかしいことに、SDGsを知るまでは、「環境」のことには全く関心がなかったんです。。。

今度、「生ゴミコンポスト」なるものを家でつくることにチャレンジしてみようと思う(また気が向いたらnoteでも書かせてもらいます)んですが、自分がそんなことをするとは、3年ぐらい前までは想像もつきませんでした(-_-;)

そうなんです!こういう僕みたいな、もともと関心の幅が狭い人のために、SDGsって必要だと思うんです。こんな僕でもだいぶ変わるんですからね(^_^;)

もちろん!僕自身もまだまだ勉強中ですし、「良いドミノの倒し方」を日々考えています。

なので、皆さんにも引き続きご指導をいただきながら、一緒により良い社会に進んでいけたらな~と思ってます☆


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