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《18》食品業界の事例(㈱イワイ)

 業界別のSDGs事例紹介。

今回は農業を含む食品業界の事例をお伝えします。

 ご紹介するのは東京都品川区に本社を置く㈱イワイ。

https://www.omusubi-gonbei.com/


 「日本人にもっとたくさんお米を食べてほしい」という創業の思いから、駅ビル等に店舗を構えておむすびを販売する「おむすび権米衛」を起業。「私たちは日本一おいしいおむすびをあたたかいおもてなしで提供します。そして、お米の消費拡大を通じて日本の農業に貢献します」を経営理念とし、主に本業を通じたSDGsへの取り組みを発信されています。

 まず、国産米を中心とした和食を食べることでの食料自給率のアップ。現在の日本の食料自給率はわずか38%であり、自給率が高いお米の消費が減っていること、肉や乳製品の消費が増えてきたことが主な原因とされています。畜産には膨大な餌が必要で、例えば1キロの牛肉を作るには11キロの穀物が必要だと言われていますが、こうした穀物は75%が輸入に頼っています。そのため、国産米を食べて食料自給率を上げることは、世界の食料需給や気候の変動に左右されることなく食料を安定的に確保することにつながります。
 
 また、世界では日本を含めて「経済的に豊かな国」が優先的に食料を確保することで食料の価格を引き上げている構造があり、肉食や小麦食が増えると食料の配分はますます不均衡になります。食の欧米化・主食の多様化によってお米の消費が減り続ける一方で、肉や乳製品の消費、砂糖や油脂類の摂取が増え、同時に生活習慣病患者数も増えている現状において、国産米の消費拡大は日本の農業に貢献するだけでなく、日本人の健康、世界の食の不均衡など、様々なソリューションにつながる可能性を秘めています。
 
 次に、同社のおむすびには契約農家が農薬と化学肥料を抑えて作ったお米を使用。有機質資材を使ったり、手間や技術で化学合成農薬を抑えたりと、環境負荷の軽減に配慮した「環境保全型農業」を実践する契約農家を応援するため、市場価格の変動に左右されることなく農家がお米を再生産できる一定価格(再生産可能価格)で買い取り、農薬と化学肥料を一切使わない有機栽培米の場合は更に高値で買い取っています。
 
 更に、子供たちへの体験型の食育教室の開催、非食用の国産米をバイオマス資源として利用した「ライスレジン製レジ袋」の導入にも力を入れておられます。
 
 「SDGsのウェディングケーキモデル」(※)では、経済・社会・環境のうち「環境」が根本にあり、農業や漁業といった食料生産が機能しないと社会も経済も持続し得ないことが表現されています。私たちもいま一度、第1次産業のありがたみを感じながら本事例のような取り組みを消費者として応援していきたいものです。
 
 (※注釈)「SDGsのウェディングケーキモデル」の解説記事

  

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