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keino glassのガラス工房

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静謐な作風で知られるガラス作家keino glassの作品を発表する小部屋。ガラスに彫刻を施したオブジェ作品はじめ、グラスやドームなど暮らしを彩る作品を発表します。
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記事一覧

keino glass|winter forest《1》

TextKIRI to RIBBON  ここモーヴ街7番地は、修道院をイメージしたオンライン上の建物です。本イベントより、草花と共に暮らし、自然の風景へ想いを馳せながら創作活動を行うガラス作家・keino glass様を新メンバーとしてお迎えすることとなりました。 keino glassガラス作家 →HP 子供の頃は硝子瓶に惹かれ、 古い質感や傷がついているモノに愛着が湧き、樹々や植物に安らぎを覚え、冬の森を・・・雪の中を歩きたい、しんと静かな雰囲気を表現したいという

keino glass|winter forest《2》

TextKIRI to RIBBON  夜の帳がしんしんと降りてきたここスクリプトリウム。keino様のガラス工房へと歩みを進めながら、頰を過る透明感ある冬の空気にガラスの透明を重ねてみます。  聖夜待つ工房では今日も繊細な作業が進められ、自然への敬愛を深めるガラス作家の営みが、稀有なる美しさで作品化されていました。  扉を開けて、一緒に入室してみましょう。 * 新作のご紹介 ——winter forest シリーズより——  本日ご紹介するのは、ガラスに彫刻を

keino glass|Liqueur glass

TextKIRI to RIBBON  聖夜が近づいてくると、不思議と冬の空気がいっそう透明感を増してゆくように感じられます。  ここは、透明という美を暮らしの中に提案する場所——最終日の本日、聖夜のテーブルをシックな透明美で彩るリキュールグラスをお届け致します。 *  モールのゆらぎが優しい光を反射して、健やかな一日のはじまりを伝える朝——  ミネラルウォーターを入れて、グラスそのものの美しさを愛でながら、身体に清々しい一杯を送り込む。清潔な白のリネンと木製のパン

keino glass|Liqueur glass《1》

TextKIRI to RIBBON  keino glass様のガラスを通して、春のモーヴ街にひときわ美しい光が差し込んでいます。  朝の太陽にかざしたリキュールの若葉の色、テーブルに敷かれたリネンに縫い込まれるモーヴ色、ひらりと落ちた鬱金香の花びらの菫色、爽やかな苦味を伝える薬草酒の色——ガラスが奏でる光のパレットに、ガラス工房の豊かな感性が反射しています。  19世紀末、カフェに集う詩人たちの瀟洒な会話に耳を寄せて——  菫色と白の端正なストライプ模様に注が

keino glass|Liqueur glass《2》

TextKIRI to RIBBON  お散歩日和のここモーヴ街。健やかにはためくアブサン色の細リボンを追って行くと、7番地・スクリプトリウム内「keino glassの工房」に辿り着きました。  光を透かして、ガラスの細リボンが幾筋も並んでいます。伸びやかに、艶やかに、時に沈静しながら、光を求めて——  色調が微妙に異なるアブサン色と菫色が綾なして、しかし決して混じり合わない端正に、ガラス作家の美学が表れています。  19世紀末、酒場に集う画家たちが見るアブサンの

スクリプトリウムvol.3|keino glass《1》|光の詩

Text霧とリボン  ステンドグラスを通して写字室に差し込む光が、秋の到来を祝福するように花や葉々の上に美しく反響しています。  ここスクリプトリウムにガラス工房を構えるkeino glass様から、写字室の静謐な光を写した端正なリキュールグラスが届きました。工房の空気と作家の優しい視線を湛えたkeino様撮影のお写真と共にご紹介致します。  植物の命の源である太陽の光——ガラス作家はその光を幾筋も束ねて、作品を作ります。透明な光の中に潜む色彩の詩情に植物の色をみつ

スクリプトリウムvol.3|keino glass《2》|緩やかな繊細

Text高柳カヨ子  ガラスという素材は、珪酸塩を主成分とする鉱物でありながら、とても有機的な材質だ。ガラスは個体の原料を高温で溶解し、飴のような粘度の高い液体状にすることで自由に成型できる。  どんな色も着けられどんな形にもできるガラスは、複雑な植物モチーフを表現するのにぴったりであったため、アール・ヌーヴォーの時代にガレやドーム兄弟などが有機的な作品を数多く生み出したことはご存知だろう。  keino glassの作品は、その柔らかい曲線を描くフォルムから想像でき

スクリプトリウムvol.3|Du Vert au Violet|プライヴェート・ポプリ

Text|霧とリボン  Du Vert au Violetが提案する「プライヴェート・ポプリ」について、その特徴から制作方法、楽しみ方まで、詳しく解説致します。  日々の暮らしの中で、香りを起点に、文学やアートなど多彩な世界に関心が広がっていくよう工夫されたプライヴェート・ポプリの世界をどうぞお楽しみください。 * * 一般的なポプリは、空間に香りを漂わせ、BGMのように香りを楽しむ「室内香」、もしくはサシェなどに詰められ、引き出しなど区切られた狭い場所に香りを漂わせ

スクリプトリウムvol.3| keino glass & Du Vert au Violet |ポプリ・ボンボニエール

Text|霧とリボン  美しい光を奏でるリキュールグラスでスクリプトリウムを彩ったkeino glass様より、Du Vert au Violetのプライヴェート・ポプリのための特別なガラス作品が届きました。  最初にご紹介するのは、ペーパーサシェ・シリーズを楽しむためのポプリ・ボンボニエール。修道院で捧げられる祈りのように凛とした佇まいがひときわ美しい、洗練のシリーズです。  漆黒と透明のアレンジメントがシックなポプリ・ボンボニエールは、ミニマリズムと装飾性が流麗

スクリプトリウムvol.3|Serène Kato & keino glass & Du Vert au Violet|Tear Catcher

Text|霧とリボン  夜の帳が降りるスクリプトリウムでひらいた一冊の詩集。涙を詠んだアルベール・サマンの詩が、薔薇の蕾の芳香となり、Tear Catcherの中へと封印される——  スクリプトリウム最後の夜にご案内するのは、翻訳、調香、ガラス工芸が綾なす涙を巡る一篇です。  原詩の言葉ひとつひとつに誠実に寄り添い、意味の揺らぎをも留めようとしたSerène Kato様の訳詩から、その美を蒸留しようと試みた調香。  涙を薔薇の蕾に擬えたポプリに安らぎを与えようと待