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keino glass|Liqueur glass《1》

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Text|KIRI to RIBBON

 keino glass様のガラスを通して、春のモーヴ街にひときわ美しい光が差し込んでいます。

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 朝の太陽にかざしたリキュールの若葉の色、テーブルに敷かれたリネンに縫い込まれるモーヴ色、ひらりと落ちた鬱金香の花びらの菫色、爽やかな苦味を伝える薬草酒の色——ガラスが奏でる光のパレットに、ガラス工房の豊かな感性が反射しています。

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 19世紀末、カフェに集う詩人たちの瀟洒な会話に耳を寄せて——

 菫色と白の端正なストライプ模様に注がれるのは、フレッシュなレモネードと果実を詠む詩情。手に伝わるガラスの心地よい冷たさが酸味のある喉越しと呼応して、春のアレンジメントを描いてゆく。

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 詩人たちのテーブルの真ん中に置かれた菫色の空洞が待っているのは、一輪の花。今日活けられた花は、川沿いの花売りの籠にあった深い陰影の花。菫色の淡やかなグラデーションから、今日も花言葉が生まれる。

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 グラスの内側の小宇宙は詩人たちの住処。菫色とアブサン色のエキゾチックなリズムにいざなわれて、薄ら氷で守られた渓谷を旅する。薬草酒の酩酊に似た幻想と戯れて、詩人たちは新しい言葉を見つける。

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 角砂糖とアブサンの色彩を写したグラスが運ばれ、その際立った清潔さが詩人たちを魅了する。ギャルソンのパリっとした白襟、ソーダ水の弾ける音、風になびくシルクスカーフの流線、粉っぽいミモザの葉の硬さ——ガラスの中にいくつもの色を見つけて、春の時を過ごす。

 ——詩を詠むようにガラスを愛する、詩人たちの風景。

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 映画のワンシーンのように詩情豊かな写真はkeino glass様の撮影。keino様の手によって生まれ、目を通して届けられた、ガラスたちの時間——

 光と対話しながら生み出される一点一点に、まだ見ぬ持ち主への想いを込めて。keino様のグラスから、どんな物語をはじめますか?

 会期中、もう一回記事の配信がございます。どうぞ楽しみにお待ち下さい。

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作家名|keino glass
作品名Liqueur glassA〜《H》

ソーダガラス
作品サイズ|
高さ:約11cm〜13cm前後
口直径:約5cmから6cm前後 
制作年|2021 年(新作)
*各サイズ、単品ショットの画像はオンラインショップに掲載しています

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