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keino glass|Liqueur glass《2》

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Text|KIRI to RIBBON

 お散歩日和のここモーヴ街。健やかにはためくアブサン色の細リボンを追って行くと、7番地・スクリプトリウム内「keino glassの工房」に辿り着きました。

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 光を透かして、ガラスの細リボンが幾筋も並んでいます。伸びやかに、艶やかに、時に沈静しながら、光を求めて——
 色調が微妙に異なるアブサン色と菫色が綾なして、しかし決して混じり合わない端正に、ガラス作家の美学が表れています。

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 19世紀末、酒場に集う画家たちが見るアブサンの幻想に想いを馳せて——

 霧の向こうに見えるのは、あの時訪れた庭園の若葉。整然と手入れされた中で、大地の反抗のように葉を伸ばした。その鮮やかなグリーンが、今でも画家の目の奥に住み続けている。手を伸ばしたアブサングラスに、あの日の若葉が舞い降りた。

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下写真・右のグラスのみ非売品となります

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 緞子のように重たく烟る酒場で出会った、天鵞絨のドレス。アブサンの芳香の中を悠々とドレープがたゆたい、深い陰影を芳香に刻んでゆく。ドレスの主が手にしたアブサングラスもまた、臈長けた詩情を纏っている。天鵞絨とガラスのすべらかな関係性をとらえようと、画家は絵筆を走らせる。

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 フレッシュなハーブが角砂糖で白濁したアブサンのグラスに無造作に入れられる。今日届いたばかりのグラスは、カジュアルな所作をも美しく魅せ、酒場の賑わいの中で沈黙を運ぶ役割を担っている。アブサンの芳香と共に横溢する沈黙はどんな色彩をしているのか——酩酊の中で画家は想う。

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 夜が明けて、画家たちの倦怠はまだ酒場のあちこちに微睡んでいる。運ばれてきたグラスに、キンと冷えたミネラルウォーターが勢いよく注がれる。新しくはじまる一日の、まだ描き込まれていないキャンバスのように瑞々しいグラス。朝の光にかざして、これから出会う新しい色彩をグラスの中に探す。

 ——グラスからインスピレーションを得る、画家たちの肖像。

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 日々の暮らしに寄り添いながら、時に幻想世界へといざなうkeino様の美しいグラス群。菫色とアブサン色の軽やかなリズムを楽しみながら、春のテーブルを飾ってみてくださいね。

 今回もkeino様ご自身による洗練のお写真でお届け致しました。

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作家名|keino glass
作品名Liqueur glassI〜《P》

ソーダガラス
作品サイズ|
高さ:約11cm〜13cm前後
口直径:約5cmから6cm前後 
制作年|2021 年(新作)
*各サイズ、別ショットの画像はオンラインショップに掲載しています

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