【声劇台本】015「君色トランペット」
<配役>
女子:桜井さん
男子:五十嵐くん
―――本編―――
女子のMO「夏の校舎に響く、トランペット。調子外れでまっすぐな音色が君だってこと。私にはわかる。今日も下校する君がやってくるのを偶然を装って待ち伏せした」
女子「五十嵐君!」
男子「桜井。いま帰り!?」
女子「うん。部活、おつかれ!」
男子「桜井もお疲れ」
女子のMO「自然な流れで、一緒に帰る。駅までの短い距離が私たち二人のお話コースだ」
男子「桜井は勉強?」
女子「図書室で本読んでた」
男子「真面目かよ」
女子「そうですよ」
男子「(笑って)そうなのかよ」
女子「五十嵐君は、トランペット。慣れてきた?」
男子「もう全然ダメ。みんなと音がうまく合わせられないんだよな。絶望だよ」
女子「五十嵐君のトランペット、素敵だよ!」
男子「はあ!? お前バカにしてるだろ」
女子「私は好きだけどなー」
男子「桜井に言われてもなあ」
女子「私じゃ不足?」
男子「不足だよ」
女子「これでも五十嵐君のファンなんだけどなー」
男子「俺の?」
女子「トランペットの! ファン第1号です!」
男子「たった一人のファンか……」
女子「これから増えるかもよ!?」
男子「お前、やっぱりバカにしてるだろ」
女子「してないよー」
男子「あーっ! なんか桜井にバカにされたら、逆にやる気出てきた。練習しよ」
女子「頑張って!」
女子のMO「私の声援なんてたいしたことないけど。少しは君の役に立てるといいな。まだ明るい夏の夕暮れに入道雲が輝いていた」
―――おわり―――
今後の執筆と制作の糧にしてまいりたいと思います。