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「高さ」より「深さ」を求める

上を目指す。それは前向きでポジティブな考えかもしれない。でも、高くなるほど、足元は不安定になる。そして、上に行くほど、下からの突き上げや嫉妬、足の引っ張り合いも多くなる。果たして、上に行く人生だけがよいのか。ちょっとそんな事を考えてもいいかもしれない。

1、「安定」とは「足元」にある

建物を立てる時、ベタ基礎に柱を立てて、家を立てるとする。当然、柱に重量がかかり、高さがあるほど、上の重さが重なってくるので、「高さにも限界」がある。

じゃあ、柱を太くすればいいじゃないかと思う。でも、地盤がゆるく、安定いしていなければ、傾いたり潰れたりもする。だから、結局のところ、どんな建物も「土台」がしっかりしていなければ、高さなんて目指せない。

ましてや、地震のように、突然の揺れでもくれば、いままでバランスを保っていた柱も、あっという間に倒れてしまうかもしれない。土台の大切さは、こうした建築物の目に見える形で、私達にその教訓とあるべき姿を教えてくれている。

2、「深さ」には何が必要か

では、そんな土台を固める「深さ」にはどんなことが必要か。なにより、どの土台となる「柱」も必要。上の重量を支えると同時に、地中深く沈んでいくにも重さも強さも必要。だから、上に向かうよりも実は大変だったりする。

そして、掘り進めていくうちに、硬い岩盤に当たれば、それ以上下にはいけないし、空洞や地下水などが存在すれば、その瞬間に、行き詰まる。

だから、深い所まで杭を売っていくのも、きちんとした調査と、そこに至るまでの工程は簡単ではない。

そして、土台ができたとしても、その上に何を乗せるかを決めなければ、地表にはその強固な地盤は見えてこない。深く掘り進めると同時に、上にどういう形のモノを作るのか、それも合わせて進めなければ、なんら見ることのない無用の産物にもなってしまう。

3、いま必要な「ウワモノ」とは何か

どんなにおしゃれな形の建物も、数が増えたらつまらないものになる。同列と言われ、差別がつかなくなる。ニュータウンと言われる住宅が、同じ間取り、外観がいくつも並ぶと、それは「工業製品」的な代替可能な存在、と見えてくる。

こうした、「建物」を例として、今の世の中に必要なあらゆる「モノ」として、何が必要か。

直ぐにできるようなものが、すぐに追いつかれる。
時間がかかりすぎたら、世の中に見えないまま消えてしまう。

このバランス感覚が非常にむずかしい。
学問の世界であれば、生活基盤としての給与を得ながら、じっくり人生をかけて何かを成し遂げることはできるだろう。でも、多くの働く人にとって、会社にとって、「新たな取組」には「期限」という時間的限界がある。特に近年は、株主主体の風潮から、こうした「許容量」はどんどん短くなっているように思う。

あっという間に株式公開を果たし、キャピタルゲイン(資本の売却)によって、利益が確保できるものを、みんなが求める。でも、その担い手となる人材やアイデア、スタートアップは、この日本では、他国に比べても圧倒的に少ないと思う。

失敗を許容しない社会
成功の足を引っ張る社会
挑戦をあざ笑う社会
地位を蹴落とす社会

国民総袋叩きのような雰囲気がまん延する社会に、身を投じて、社会や将来に夢と時間を託すスタートアップは、もはや自爆行為に近い。

4,人任せ、無責任、平等主義

なぜ、このような他人を尊敬できない社会になってしまったのか。個人的には「労働基準法」という法律が、正規雇用社員を過度に守りすぎ、組織や会社の中での無責任さを助長し、そして、既得権益という形で、出る杭によって自分があぶり出されないようにする「平等主義」が生み出した産物であると思っている。

社会のセーフティネットはもちろん必要だと思う。でも、守られすぎる労働3法の存在が、企業の雇用における消極性と、低賃金のインセンティブを産み、非正規雇用を増大させる主因となっていることは、どの企業も否定しないだろう。

一度雇ったら、ほぼ解雇できない雇用契約。ただでさえ、先が見えない社会に、雇用だけ長期にコミットしなければならない契約は、リスク以外のなにものでもない。だからこそ、低賃金で、できるだけ少人数で、企業を成り立たせようとするのは必然だろうと思う。

この停滞した日本を打開するのに、この法律の緩和が絶対条件だろうと思う。もちろん、解雇や失職した場合のセーフティネットはもちろんセットの上で。

そうした、再チャレンジ可能な人材の流動性が生まれたところに、新たな発想と雇用が生まれ、よりやりがいのある職場と賃金が生まれてくるように思う。

いつまで、派遣会社や竹中平蔵の責任にしているんですか?こんな社会になったのも「社員を守れ!自分を守れ!」という社員、国民一人一人の主張が生み出した結果なんですよ…。

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