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針を置いたらあの海へ

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ニット男子レオ(17)と彫り師たっちゃんさん(28)の協働クリエイティブ青春モヤモヤゆううつ旅行小説
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2024年4月の記事一覧

針を置いたらあの海へ 第1話

しょうしつ‐てん〔セウシツ‐〕【消失点】 遠近法や透視図法における、平行な直線群が集まる…

針を置いたらあの海へ 第2話

 高円寺から帰路について、19時ごろに、ニットカフェおよびたっちゃんさんの店からほど近い、…

針を置いたらあの海へ 第3話

 バイトを初めて三ヶ月ちょっと経ち、季節の限定商品は、しっかりと焼き込んだリンゴのタルト…

針を置いたらあの海へ 第4話

 朝目を覚ますと、家の中がやけに静かだった。朝のニュース番組の声が聞こえない。その分、窓…

針を置いたらあの海へ 第5話

 うちのカフェは、十九時にもなれば、お客さんはほぼ、いや全く居なくなる。ばあちゃんのお友…

針を置いたらあの海へ 第6話

 桜もすっかり散った頃、たっちゃんさんが 「遅くなったけど、レオのお誕生日と入学祝いでも…

針を置いたらあの海へ 第7話

 フェアアイルを仕上げて旅に出ようと決意してからは、取り憑かれたように編んだ。秋口に編み始めたのに、もう五月。俺はずいぶんと編むことから逃げていた。その時間を取り戻すために時に徹夜して編む。 「レオ、編む段数どんどん増えてるけど大丈夫なの?」 「いいんだ、とにかくこれを編み上げて、次に行きたいんだ」  たっちゃんさんは、毎回寝不足顔の俺を案じ、そして不思議そうな顔をしていた。  俺は、それぞれの腹の中の苦しみや後悔を納めに行かなきゃいけない、そして次の段階に行かなきゃい

針を置いたらあの海へ 第8話

 旅行当日の朝、重たい荷物を抱えて、ばあちゃんのカフェ及び自宅及びたっちゃんさんの店の…

針を置いたらあの海へ 第9話

 翌朝目を覚ますと、もう九時だった。中途半端に昼寝し、また、初めてたっちゃんさんの剥き出…

針を置いたらあの海へ エピローグ(終)

 羽田空港の出発ロビーで、俺は、ポーン、ポーンという音を聴いていた。  この音聴くと、あ…