【マンガ感想】面白いけどパッションが足りない【葬送のフリーレン(6)】
とりあえず新刊が出ていたので読みました。
めっちゃ好きってわけでも無い本作ですが、折角買ったので簡単に記事を書きたいと思います。
ざっくり評価
ストーリー★★★★☆
画力★★★☆☆
マンガ技術★★★★☆
マンガとして売れる理由が分かるくらいに上手です。
ちょっと厳しめの評価なのは私の中で大好きまではいっていないからかも知れません。
ストーリー★★★★☆
ストーリーについては文句なく良いですね。
今回は試験編です。長編ですが、流れも自然で持ってくるイベントも良い。
この物語は初めからサブキャラを書くのが上手です。
サブキャラを魅力的に描くために、フリーレンの無機質なキャラクタ設定しているとしたら本物です。
というかそんな気がしました。
物語によるのですが、サブキャラも人間で思考するし、生きているというのが分かるのは凄いですね。
どのマンガでも、メインのキャラクタは連載が続くほどたくさんの描写が出来るので、どんどん感情移入出来ます。
しかし、サブキャラはそうはいきません。
途中から出てきたキャラクタはその分描写の時間が短いので、第一話の主人公のように優しく過大にキャラ立てをしてあげなければいけません。
本作ではその辺がちゃんとしています。
特に今回良かったのはユーベル。
回想で他のキャラクタにイメージを語らせることでどういうキャラクタなのか示しています。
原作 山田鐘人, 作画 アベツカサ『葬送のフリーレン(6)』 (少年サンデーコミックス, 2021年) 131項。
こういう相対評価で分かりやすくキャラ立てしてます。
そしてすぐにキャラ立てした通りの描写を入れる。
原作 山田鐘人, 作画 アベツカサ『葬送のフリーレン(6)』 (少年サンデーコミックス, 2021年) 133項。
わずか2ページ後です。
すばらしい。
ちなみに、この133ページが54話の最終ページなんです。
つまり、この54話中にユーベルが実際に倒すコマを入れたかったために戦闘が省略されています。
週刊連載の1週間すら間を空けたくないという事。
本当は3ページくらい戦闘を描いて欲しい気持ちもありましたけど、キャラ立てを効果的にするために省いているんですね。
コミックで読んでも分かるこの心遣い。
マンガ技術の方の話かもしれませんがここに書いちゃいました。
サブキャラのストーリを作るのが上手いのはこういった工夫があるからだと思います。
情熱を持ったアツいキャラクタが今回にはいなかったので星4です。
1級魔法使いの試験を受けていて、2次試験に挑む(突破)する実力のある人間なんですよね。
もっと試験に受かりたい、死んでも通過する、というパッションをもったキャラクタがいても良かったのかなと。
全員冷静で、傷を負ったらすぐ撤退します。
受験するほどの実力があれば、引き際を誤らないという事なんでしょうかね?
もっと合格のために足掻く、気持ちを前に出す人がいても良かったのかなと。
さらに、三次試験で一言ダメと言われただけで引き下がるのは疑問。
そこからの反論や意見を見ている試験の可能性もありますけど、全員一瞬で引き下がってます。
もっと表情があっても良かったのかなと。
画力★★★☆☆
上の三次試験で一言ダメと言われただけで引き下がるの続きです。
コマ数的に多くを割けないのは分かります。
でももっとエグイ魔力を描いて、画力で読者を納得させるとかして欲しかった。
魔力の描写はシリーズ全体で弱いですよね。もっと禍々しいやつを描いても良いと思います。
この点は残念でした。
あと、気になっているのは目。
原作 山田鐘人, 作画 アベツカサ『葬送のフリーレン(6)』 (少年サンデーコミックス, 2021年) 114項。
この目を描いたり描かなかったりする時の使い分けが未だに分かっていません。
キャラクタにとって一番重要な目を特殊な書き方する時は、意味が分かりやすいとありがたいです。
より魅力的に見えるなら良いんですけど、見開いている方が魅力的なのでつい気になってしまいます。
マンガ技術★★★★☆
特に気になる点はありません。
上手だと思います。
バトルの立体感とかも上手で、読んでいて面白いです。
引きの構図も結構あって良いです。
引きを使うのって結構難しいと思うんですけど、分かりやすくなるように使えているので凄い。
気になったのは細かい点。
原作 山田鐘人, 作画 アベツカサ『葬送のフリーレン(6)』 (少年サンデーコミックス, 2021年) 51項。
これ全身写ってますけど?
魔法かけなくていいんですか??
疑問に思った読者も多いでしょう。
上みたいに覗き込めば拘束できるんじゃないの?って。
この辺は違和感のないように構図やキャラクタの立ち位置を考えてほしかったですね。
普段こういうツッコミを入れる隙の無いマンガなので
なんか読み落としているんでしょうかね?
どういう描写があると納得できたのでしょうか。
すこし考えてみました。
例えば、近づいて斬る必要があるとしても相手から全身を見られないように壁を砕いてその破片が落ちる前に突撃!みたいな。
その破片のせいで自分も相手に魔法がかけられない!みたいな。
さいごに
面白いマンガです。
でもパッションを持ったキャラクタが少ないです。
よく言えば、まったりしている。
悪く言えば、全員が流されていて主体性が無い。
各々プライドがあって、それに見合う実力があるはずなので、当然あるはずの意地を見せるキャラクタがいても良いのかなと。
サブキャラの使い方が上手いだけに気になります。
そういう意味で燃える展開の少ないマンガなので、普段ジャンプを読んでいる私からすると物足りないのかもしれません。
もう少しは買って続きを読みたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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