パスタという最強に難しい料理

今日のお昼ごはんはパスタにした。
夫婦そろっての休日。なのに外は冷たい雨。外出する気にもなれず、家にあるもので済ませようということになったのだ。

先日、牡蠣のオイル漬けを作った。
そのオイル漬けを使って、牡蠣入りペペロンチーノを作ろうということになった。

さぁて、二人で昼食の準備をするぞ、という時になって、彼が「なんか今日は元気がない」と打ち明けてきた。言われてみれば、朝から口数が少なかった。どうやら、体調が悪いというわけではなく、ただなんとなく気分が上がらない、ということだった。

「それなら、昼ご飯の準備は私がやるから、TVゲームでもしておいで」


そういうわけで、私は一人でパスタを作ることになった。

しかし残念ながら、私はパスタ作りがめっぽう苦手である。
他の料理はそこそこの味を保っているのだが、パスタだけはどうにも上手くいかない。

以前、彼にトマトソースパスタを作った時は、トマトソースが少なかったのか、それとも強火で炒め過ぎたのか、パッサパサの仕上がりになった。あんな干からびたパスタを見たことがなかった。

同じ失敗は繰り返すまいと、後日トマトソースパスタを振る舞ったら、次はたっぷりのソースに油断して、麺が2倍くらいに膨れ上がった。フォークを刺して巻き付けようとしたら、ボソボソと切れた。

自分の手から、こんな恐ろしい料理が出来上がるとは思ってもみなかった。


そんな私が、一人でパスタを作ることになってしまったのだ。
しかも今日はオイルベースのパスタ。正直、手順も想像ついていなかった。


これまでの失敗を思い返し、彼に教えてもらったコツを思い出した。

・麺が茹で上がる前に、オイルや牡蠣などをフライパンで温めておく。そこに麺を投入する。
・麺は固めに茹でる。フライパンの中で熱が入って、丁度よくなる。
・オイルは多め。オイルが少ないとパサパサになる
・ゆで汁を使って、オイルと乳化させる。じゃないとパスタと馴染まない。

これで完璧だ。
彼にもう少しコツを聞いておきたいが、今はそっとしておいてあげたい。私がやるしかない…!


そう意気込んだものの、やっていくうちに不安が積み重なっていった。

『オイルの量ってどれくらいだ…?』
分かんないけど…まぁ2人前のパスタが馴染むくらいでしょ??えい!

牡蠣のオイル漬けのオイルをフライパンに入れ、火を点けた。にんにくの香りが食欲をそそった。

麺はちょっと芯が残るくらいに茹でた。完璧だった。
すぐにオイルが入ったフライパンの中に投入した。


しかし、次の瞬間。
麺がどんどんカピカピしていった。また干からびたパスタが出来上がってしまう…!そう思うと、相当焦った。失敗の気配がする。

そこで気付いた。『あ!乳化!』

驚くことに、ゆで汁を入れた途端、先ほどまでの失敗の気配がどんどん消えていった。パスタが汁を吸い、見る見るうちに生き返ったのだ。助かった…!私は嬉しくなった。

フライパンを回していると、またすぐに麺が乾いたように見えた。そのたびにゆで汁で復活させていった。ゆで汁、すごい…!

完璧だ。
パスタ作りは苦手だが、少しずつ成長している自分が誇らしかった。

それでもやっぱり、皿に盛ってみるとなんだか不格好だった。若干麺がふっくらしているように見える…
「精一杯頑張りましたが、これが今の私には限界です!」
素直さで誤魔化した。


テーブルの上のパスタを見て、彼がこう言った。
「あれ?腕上げたんじゃない?見た目はそれほどでもないよ」

彼はフォークにパスタを巻き付け、口に入れた。その瞬間、「ふふふ」と笑った。




「あ、これは…すごいね(笑)」

食べてみてびっくりした。味が全くしなかった。
その上、パスタの食感はボソボソしていた。このパスタ、どうやらゆで汁をたっぷり吸い込んだらしい。


私はまた、恐ろしいパスタを作り出してしまったようだ。
今回は、「味なし伸び伸びギトギトペペロンチーノ」。

食べ進めるとより一層パスタが膨らんだ。最後の方は、フォークに巻いたパスタから油が滴り落ちていた。

二人で大笑いした。

私のパスタチャレンジはこれからも続く…!

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