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100%オンラインの大学でのPBL(アクティブ・ラーニング)講義づくりの経験をシェアします

実は私、100%オンラインのビジネス・ブレークスルー大学(BBT大学)で、5年前よりオンラインによるPBLのコースを設計・実装・運用しています。

詳細は以下のペーパーにノウハウの概要をまとめていますので、よろしければご覧ください。

https://www.dropbox.com/s/ojalb8jr7fdcowo/suko2018online-pbl.pdf?dl=0

元々は、1999年より慶應義塾大学SFCの村井純さんのSoI(School of Internet, のちに School on the internet)の研究活動に参加し、その後、SNSやソーシャルニュースなどを研究開発して参りました。

オンラインにおけるコミュニティづくりを、設計と実装の両方からできる人ということで、開学直後のBBT大学にお招きいただき、今日に至ります。大学のノウハウの全ては守秘義務もあり共有できませんが、私が個人で持っているノウハウや経験はできる限りお伝えできたらと思っています。

前述のペーパーを要約しますと、私が行ったオンラインPBLの肝は、以下だったと考えています。(ペーパーに書かれていない一部最新の気づきの追加あり⭐︎

1) オンラインとオフラインの切り分け(反転学習)の重要性
1-1) アクティビティに必要なインプットは、最低限の動画のオンデマンド配信(非同期)と課題で予め学生に伝えておく
1-2) グループでのアクティビティを全てオンラインでやることは早急に放棄し、マイプロジェクト(*)という手法を用いてアクティビティ自身は各自で進める
1-3) zoomで時間を合わせ学習者が一同にで集まる(同期)ときは、各自のアクティビティの振り返りやそこから学んだこと・気づきなどメタ学習するための場とする


2) 安心・安全な場づくりと、上質なフィードバック環境を実現する
2-1) いかに、弱さや、ダメさ(怠惰さ)、不安、悩みなどを率直にシェアし合える環境をつくるか
 例)学習者が取り組むアクティビティを教員も行う。(マイプロジェクトと場合、教員もマイプロジェクトを行う。ファシリテーションであり、学生と同様にプレイヤーでもある。教員が率先して弱さを見せる
2-2) オンラインでは困難とされる厳しいフィードバックも実現できるような学習環境をいかにつくるか
 例)チェックイン、チェックアウト、Iメッセージなど、オフラインのワークショップでも必須な基本的なお作法を確実に実行する。
  ネットの性能が悪くビデオをOFFにせざるを得ないときも、チェックイン、チェックアウト、発言時だけは、カメラをONにする(常時ONが原則としつつ)
例)Iメッセージで「感じたこと」をシェアしあうことを歓迎する(ネガティブな内容もタブー視させない)。
 例)全員が、真剣に取り組むプレイヤーであることから、お互いへのフィードバックが愛のあるもの、お互いを思う真摯なものであるということを信じさせる
2-3) フィードバックにおける教員の影響力を分散する
例)PBLの修了生(先輩)をコーチとしてクラスに招き、斜めの関係性を創る。こうした生態系の充実化は、クラスでのやれるチャレンジの量を増やす意味でもオススメ。フィードバック元が、次第に、教員 → 先輩 → 学習者同士、 と変化する
2-4) オンラインセッション(同期)後こそ、安心・安全をケアする
 例)丁寧すぎるくらいのチェックアウトの時間(90分中20分など)を設ける。学習者間でのもやもやをできるだけ残さない
 例)セッション中の発表者やフィードバック発言者は、クラスへの貢献者として称え、全ての学習者が発表者等に、ありがとうのメッセージを書いて送ることを課題として義務付ける
 例) 講義毎に、非同期のコミュニティを創る(Facebookグループなど)

(*)マイプロジェクトとは慶応SFC井上英之ゼミから始まったPBLの手法: 詳細は https://my-pro.me/
最近は、形を変えて、高校生や社会人向けに全国で行われている。

これから数日にかけて数回にわたり、詳細をお伝えしてゆきます。


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