月経血幹細胞は妊活や婦人系疾患のための新たなフェムテック
月経血球は非常にユニークで、急速に増殖し、多くの種類の幹細胞に分化することができる。臨床再生医療療法の分野では、この月経血を使って、妊活、クローン病、心臓病などへの使用可能を目的とする細胞療法と、その基礎となる月経血幹細胞バンキングが大きく注目されている。
再生医療・細胞治療を目的とした民間のステムセル研究所(東京都港区)が、新たに月経血に含まれる幹細胞を再生医療での使用目的で保存するバンキング事業を、早ければ12月に開設する。
体への負担がなく採取できる自身の幹細胞で、将来的に不妊治療や卵巣機能の回復などに応用できる可能性があるという。
月経血幹細胞を用いたヒトへの治療例は欧米では既に一般化されているが、日本ではまだ少なく、自由診療として行われる予定だ。
採取施設として提携するのは、月経血由来幹細胞での再生医療等提供計画の許認可を国内で初めて取得した神宮外苑WomanLifeClinic(東京都港区)。バンキング事業と並行し、月経血幹細胞臨床研究会の理事長でもある同クリニックの伊沢博美院長が研究を進める。
保存と研究を同時並行
月経血幹細胞とは間葉系幹細胞という幹細胞の一種で、骨や軟骨、血管、心筋細胞に分化できる能力をもつ。2007年に米国で月経血由来の幹細胞が発見されて以来、海外では中国や米国等で臨床研究が進められている。
国内ではマウスの月経血幹細胞を使った実験でマウスの卵巣機能が改善する結果が得られており、将来的には人間の不妊治療や更年期障害など卵巣の機能低下に伴う症状の改善につながる可能性があるという。
月経カップで自宅で簡単に採取
月経血の採取は痛みがなく、手間もかからない。収集は、最大30mlの月経血液を収集できる医療グレードシリコンカップであるスクーンカップなどの「月経カップ」を使用して、自宅のプライバシーと利便性で行うことができる。
スクーンカップ 月経カップは再利用可能な製品で、日本と米国の保健局で承認されており、世界中で生理用ナプキンやタンプーンの代替品として使用されている。
医療グレードのシリコーンで構成されたカップは、タンポンのように膣に挿入されます。それは女性の生理の重い日に挿入されると、半日で最大10〜20ミリリットルの血液を収集することができる。さらにそこから、血液をキットで利用可能な容器に注ぐ。キットは、特に月経採血のために、市場で入手可能となる。
月経血幹細胞の最大の特徴は採取のしやすさにある。同じ間葉系幹細胞が含まれる骨髄や脂肪、歯髄などと比べて採取時に体への負担がない。また、出産時にしか採取できないさい帯血とも違って20歳から45歳程度まで約25年間にわたって毎月得られるという利点もあるという。
バンクでは、採取した月経血幹細胞を凍結した後に、マイナス190℃の液体窒素タンクで保管。幹細胞が医療行為に必要となった場合に使うことができるよう管理する。
この状態で「半永久的に保管が可能」だという。神宮外苑WomanLifeClinicでは、国内初となる「卵巣機能低下に対する自家月経血由来幹細胞の静脈投与」を2020年から開始した。
伊沢氏自ら理事長を務める月経血幹細胞臨床研究会を昨年に発足させた。ステムセルとの事業提携について伊沢氏は、「“人生100年時代”に起こりうる様々な女性のライフイベントに備え、月経血幹細胞のバンキングシステムを構築し、将来の治療の選択肢を増やすことを視野に入れている」とし、今後症例数を重ねるなかで月経血幹細胞治療の可能性を広げていきたいとしている。
潜在的に月経血液幹細胞で治療することができる疾患のリスト
1. 慢性閉塞性肺疾患、
2.心臓不整脈、
3.クローン病、
4.移植片対宿主病、
5.変形性関節症、
6.クリティカルリムイスケミア、
7.多発性硬化症、
8. アテローム性動脈硬化症、
9. 心臓病、
10. 炎症性腸疾患、
11. パーキンソン病、
12. 関節リウマチ &
13. アルツハイマー病
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スクーンカップ は世界36か国で販売されている月経カップで、「生理をラクに、快適に」というキャッチコピーのもとに、開発された生理用品だ。
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