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アンコンシャスバイアスって?〜誰もが「偏見」をもっている〜

[キーワード] #ダイバーシティ #インクルージョン #差別 #偏見  

「差別や偏見を無くしましょう」「誰でも平等です」

そんな言葉や標語が日本社会にも溢れていますが、「自分は差別なんて考えたこともないし、したこともない」と感じる人も多いのではないでしょうか。

そういう人も、もしかしたらいるかもしれません。しかし、私たちが生きる社会はもともと歴史、文化、経済といった様々な要因によって、知らず知らずのうちに「偏見=バイアス」を生み出しています。厄介なのは、そのバイアスはあまりにも社会に根深いため、無意識のうちに私たちはそれを受容し、再生している可能性が非常に高いのです。

先日のJOC評議理事会での森氏の女性蔑視の発言は大きな議論を呼び起こし、立ち上がった署名は最終的には15万筆を超え、最終的に森氏は辞任しました。

発起人でスウェーデン在住の大学院生福田和子さん(25)は「森氏個人の問題以上に、その地位に居続けられることが問題」と指摘。反響の大きさについて「ジェンダー平等が当たり前に尊重される社会に変わりつつあるということでは」と話した。

バイアスから抜け出すためには、まずは自分自身のものの捉え方や考え方にバイアスがあること、つまり、アンコンシャスバイアスを意識的に自覚することが重要です。森氏の発言、そしてその後の会見からは、そういったバイアスを自覚し、繰り返さないように考えているかという点は残念ながら感じることができませんでした。

しかし、これは、何もこのように注目されている森氏の発言に限ったことではありません。

先日は、ファミリーマートの「お母さん食堂」というブランドに関する高校生によるオンライン署名が話題となりました。「お母さん」と「食堂」という用語が結びつくことで、料理を含む家事は母親の役割、というジェンダーロールの固定化を招いているのでは、というのが署名を立ち上げた若者の問題意識です。

「『お母さんが食事をつくるのが当たり前』というアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)を助長しかねません。日本では女性が家事や育児をするものという価値観が強く、仕事を諦めざるを得ない女性も多いのが現状です。
『お母さん=料理』というイメージを変え、世の中のお母さんの負担を減らしたい。性別によって役割が決まったり、何かを諦めたりしなければいけない社会は嫌なんです。
コンビニは私たちの生活に根ざしていて、影響力も大きい。この名前を変えることが、ジェンダー平等な社会につながると思っています」

「女性は料理が上手であるべき」とまで言われることは以前と比べれば減ってきたかもしれません。それでも、例えば「女性は感情的。(男性は理性的。)」「女性は理系は苦手」、あるいは「女性なのに」といった暗黙の枕詞がつくことは他の場面でもまだ多いのではないでしょうか。

昨年、大きな社会運動となったBLM(ブラック・ライブス・マター=黒人の命も大切である)ですが、日本ではそれほど関心が高まらず、BLMに対して明確なメッセージを出した企業もほとんどありませんでした。

しかし、日本でも人種に基づく差別は残念ながらまだ多く残っています。黒人だけではなく、アジアの国々に対する差別もなかなかなくなりません。「日本人だから」「日本人ではないから」と、国籍によって主観的な評価をすることはないでしょうか。

ほかにも、例えば「精神障害者」に対しても、「統合失調症は攻撃的」とか、「発達障害者はチームワークに向かない」といった思い込みが見られるように思います。

アンコンシャスバイアスに関連する概念として「マイクロアグレッション」と言うものがあります。

別名「小さな(マイクロ)攻撃性(アグレッション)」。人と関わるとき、相手を差別したり、傷つけたりする意図はないのに、相手の心にちょっとした影をおとすような言動や行動をしてしまうこと言葉を発した側としては全く差別の意図はなくても、受け取る側が疎外感を感じるような言動です。(IDEAS FOR GOOD「マイクロアグレッションとは・意味」

例えば、「ハーフで羨ましい」「彼女(彼氏)いないの?」といった発言を無意識にしていないでしょうか。あるいは、

このような話を知れば知るほど、自分の発する言葉に自信がなくなり、コミュニケーションができなくなる、と感じる方もいるかもしれません。しかし、誰でも間違ってしまうことはあります。学び続け、自分自身の価値観を常にアップデートし続けること、そして、自分が感じた違和感を周りにも少しずつでも共有していくこと、そういったことの繰り返しで、「差別」のない世界を作っていけるのではないでしょうか

企業の人権方針でも「差別禁止」は必ず含まれる項目ですが、実際にそれを実現するためにどのような取り組みをしているでしょうか。差別禁止の方針を作ってコミットメントをすることは大事な一歩ですが、その先は、具体的な事例をもとに皆でディスカッションしながら理解を深めていくことが必要です。

Social Connection for Human Rights/佐藤 暁子

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