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東京の空を見上げて思う

東京では、多くの人が空を見上げたそうである。

「そうである」というのも、私は東京に住んでいるわけではないので、ブルーインパルスが飛行したことを事後に知ったのだ。

ヤフーニュースで共同通信の写真を見たが、非常に素晴らしかった。明日の朝刊はきっとあれで決まりだろう。

医療関係者の方々が青空に走る六条の白雲に手をかざして、見上げていた。飛行機雲が映るように、少し下のアングルから。カメラマンもいい仕事をしたと思う。

空は広い。

空に浮かび上がる六条の飛行機雲は、たとえ飛行ルートの下にいなくとも、遠くからでも見えたのではないか。飛行機雲は見えずとも、六機の戦闘機が飛んでいるのを見上げていた人もあるかもしれない。

飛行機雲と言えば、最近ではめっきり見ることが少なくなったものだ。飛行機さんも空の三密対策だろうか。果てしない青のパレットは、白線が引かれぬままで少し寂しそうにも見える。

空には仕切りがなく、どこまでも繋がっていく。人類は空を介して繋がってきたのかもしれない。遠く離れても同じ星空の下にいるという根源的な安心感が人類を包んできたのかもしれない。

空は青い。

パレットにひかれた白線は、地のパレットの鮮やかさをも際立たせる。これほどまでに空は青かったのか。

青というのは不思議な色で、不思議なほどに美しい。大空が青ければ、大海もまた青い。青にはまた、緑系統の色も含まれる。青信号に青野菜、ほんとは緑だけど、青とよぶ。

そうであれば、青はまさにこの地球の地の色なのかもしれない。それもそうだ、ガガーリンだって、「地球は青かった」と言ったではないか。青は地球の色、生きるものの色だ。

空はいつもそこにある。必死に生きるものたちを、包んでくれている。

今日のブルーインパルス特別飛行では、本当に多くの人が空を見上げたそうだ。子どもも大人もみんな一緒に。

首を大きく上に傾けて、ほらほら、口が開いているよ。

最近では俯いてばかりだった人も多かろう。空を見上げて、首筋が大きく伸びるのを感じる。下あごが引っ張られる感じ。久しぶりに感じたかもしれない。

「上を向いて歩こう 涙がこぼれないように」

上を向いたって、溢れる涙は頬を伝う。

でも、いいじゃない。

たまには上を向いても溢れてくるくらい泣いたっていいじゃない。

東京の青空を走る六条の飛行機雲が、そう言っているような気がした。


医療関係者の方々や感染症対策に従事するすべての人の努力と苦労が報われることを願っています。

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