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人生をかけてエネルギー問題解決に貢献する #2 – シュナイダーエレクトリックの変革 - リカーリングモデルとサービス事業部

シュナイダーエレクトリックで活躍する社員を取り上げ、その人の働く価値観・キャリア、そして人を通じてシュナイダーの事業・カルチャーに迫る本シリーズ。今回は、サービス事業部 営業・マーケティング部長の榎本武史さんにお話を伺いました。シュナイダーのビジネスプロセスにおけるサービス事業部の位置付け、そしてシュナイダーが変革をもたらすことができた要因について疑問に思っている方、是非ご覧ください!



自己紹介

新卒で日系電機メーカーに入社。エンジニアとして電池開発に携わった後、MBA取得のため渡仏。帰国後、同社においてM&Aに携わる。2023年1月にシュナイダーエレクトリックに入社し、現在、サービス事業部のマーケティング部門と営業部門を統括。


前回記事 

#1 電池開発エンジニアからのキャリアチェンジ 

リカーリングビジネスとサービス事業部


シュナイダーに入社して驚いたことを教えてください。

私が所属するサービス事業部は、シュナイダーエレクトリックにて重要なKPIとなっている、リカーリング(ソフトウェア・サービス)収益を担う部署です。多くの製造業が「売り切りモデル」からの脱却を志向していますが、実現に向けて苦戦しているのが実情だと思います。私自身、シュナイダーに入社して圧倒されたこととして、各社苦戦しているこの領域においてビジネスモデルを確立し変革を遂げていることが挙げられます。驚くと同時に、さらなる成長に向けて変革の歩みを止めることなく、その渦中の部門において役割を果たせることに、とてもやりがいを感じます。

リカーリング収益を担う部門、ということですがサービス事業部の具体的な事業内容について教えてください。

私が所属するサービス事業部は、シュナイダー全体のビジネスフローにおいて、主に製品導入後のお客様との関係性を構築していく部門に位置づけられます。当社の製品を導入いただいたお客様に対して、更なる付加価値が提供できるようなサービス提案をする、という事業を展開しています。
導入いただいた製品に対する保守契約やメンテナンスなどの従来からのサービスはもちろんのこと、実際に工場やデータセンターなどの現場に赴いて、各種製品の遠隔監視システムや電力効率化に向けた課題解決をお客様に提案し、実行に向けて伴走することで、中長期的な観点でお客様との信頼関係を構築し、ロイヤルカスタマーになっていただくよう働きかけます。

どのような顧客セグメントに対しビジネスを展開していますか?

我々サービス事業部はシュナイダー全体を横断する部門であるため、特定の顧客セグメントがあるわけではなく、シュナイダーが持つ顧客セグメント全て(データセンター、ビルディング、製造業、電力やガスなどのインフラ業界)が私たちのスコープです。ゆえに、提案の過程においてお客様にとって必要となれば、他事業部の製品・サービスを販売するという、いわゆるクロスセルも役割の一つです。 

アセット納入後のライフサイクルにおいて、サービス事業部は顧客に対して具体的にどのように関わるのでしょう?
まずは、電気設備に対するアセスメントを行ったり、お客様のKPIや現状課題を理解し、それに対して様々なソリューションを提案しており、このような一連のコンサルティングサービスをEcoConsultと呼んでいます。

EcoConsultの次フェーズにあたるのが、EcoCareと呼ばれるサービスです。例えばお客様と保守契約を締結し、仮にお客様のアセットに問題が発生した場合でも私たちがサポートする体制を構築したり、導入いただいた製品の遠隔監視を実現するためのソフトウェアを導入いただいたりします。

その後、導入いただいたソフトウェア・サービスを介して製品を遠隔監視したり、実際に現場に赴き現状を把握する中で、製品に不具合が発生したり、交換のタイミングになった段階で、修理や新たな製品に交換いただくという提案をしています。これをEcoFitと呼び、これらEcoConsult, EcoCare, EcoFitという3つのフェーズで事業を展開することで、お客様と太く長くつながるビジネスモデルを構築し、お客様がよりサステナブルになっていただくサポートをしています。

榎本さんのRole & Responsibilityを教えてください。

私はサービス事業部におけるマーケティング部門の責任者で、役割としては主に5つあります。
まず1つ目に、事業部の中長期的な成長戦略の立案。
2つ目がデジタルマーケティング戦略の立案・実行。いわゆるマーケティングオートメーションやSEOによるお客様リードの獲得があげられます。
3つ目が、「インストールベース」と呼ぶ、お客様への導入後の製品やそれに対する契約のデータベースに基づくセールスプランニングです。データベース中の、お客様の導入製品の種類や数、契約内容などを分析することにより、お客様へいつ、どのような提案をするのか、またその担当営業を誰にするのかという戦略を立てています。
4つ目が、事業のスケール化に向けたパートナー開拓です。自社のみで事業をスケール化するにはリソース上限界があるので、一緒に事業を最大化していけるパートナー様の開拓を進めています。
そして最後の5つ目が、私たちサービス事業部が提供しているサービスメニュー全体の管理です。新たなサービスのローンチもあれば、既存サービスの提供終了対応なども含まれます。

マーケティング組織を確立させることが入社直後のミッションだったとのことですが、チャレンジは何でしたか?

サービス事業部には、元々マーケティング機能が存在していなかった中で、その立ち上げが私のミッションでした。それまであった類似部門は主にサービスメニューを管理する機能に留まっていましたので、サービス事業部におけるマーケティング機能の確立に向け、入社直後からグローバルチームや日本の他部門、そしてお客様との対話の中で、先ほど述べたような機能が必要であることを把握・整理しながら機能を構築してきた1年でした。やりたいことは多くある中で、リソースが限られるため、事業にインパクトがあることから優先順位をつけ、いかに早く機能を確立していくかという点がチャレンジでした。

シュナイダー変革の軌跡

シュナイダーは「売り切りモデル」から脱却し、変革を遂げていると冒頭ありました。もう少し詳しく教えてください。

サービス事業部の話を踏まえて理解いただける通り、シュナイダーの変革を一言で表すと、いわゆるモノ売りからコト売りへの変革です。この概念自体は、日本でも広く認知されていて、製造業に携わる者であればもう何回聞いたか分からないくらいですし、なぜ「コト売り」に転換しなければならないのか、という点についても誰もが理解していると思います。モノを売っているだけでは、簡単に他社製品に切り替えられてしまう、企業間の関係性も終わってしまう。一方で、サービスやソフトウェアがあると、アップデートすることで継続的にお客様に対して付加価値を提供できます。

現に前職での役割においてベンチャー企業を見ていましたが、多くのベンチャー企業がSaaSというビジネスモデルです。なぜSaaS企業が成長しているのか、それはお客様に対する継続的な付加価値提供にあると私は理解しています。もちろん、ソフトウェアはハードウェアに比べてクイックに開発ができるという点や、スケールをするのに追加コストをそこまでかける必要がないために、収益性が高いという点もありますが。

私自身長らく製造業に身を置いていますが、やはり製造業こそ、この領域について真剣に取り組まなければならないという、強い想いがあります。

榎本さんが感じている日本の製造業が抱える構造的な課題は何だと思いますか?

1つ挙げるとしたら、製造業であるがゆえに、ハードウェアの開発に最適化された組織構造や文化があるかと思います。今やどの製造業も研究所においてはソフトウェア開発に取り組んでいると思いますが、やはりハードウェア会社の中に、ソフトウェア開発特有の専門性を組織として確立することが難しかったり、いざ事業化しようとした際に、現状の会社のガバナンスに従うと様々な新しい仕組みの導入リスクが取れなかったり、ソフトウェアの最初の売上規模だけを見てしまうとハードウェアに比べて小さいこともあり、大きな意思決定に踏み込めないというような理由もあるのではと思います。

シュナイダーも、もとは重電系の会社であり、多くの製造業がもつ同じ悩みを抱えていたと思います。なぜ、シュナイダーは変革を遂げられたと思いますか?
はい、その点については、私自身も大変興味を持っており、昨年の10月にシュナイダーの会長ジャンパスカル・トリコワ氏と社長ピーター・ハーベック氏が来日した際に直接質問しました。そしたら「それはPeopleとCollaborationだ」というハイレベルな回答をいただきました(笑)。でも、それが本質なのだろうと思います。
ジャンパスカル・トリコワ氏は2023年に退任するまで20年間に渡りCEOとしてシュナイダーの変革をリードしてきましたが、将来の在りたい姿を描き、ソフトウェアのケイパビリティにおいて、足りないピースをM&Aを通じて確実に埋めていくことを続けてきました。そうして、シュナイダーに新しく参画した人たちと一緒に、その人たちの文化を尊重しながら共存し、かつ協働できていることが、シュナイダーが変革を遂げることができた理由だと今は理解しています。

(続く)


次回記事では、多国籍企業であるシュナイダーエレクトリックにおける日本法人の位置づけとローカルへの権限移譲、そして、シュナイダーのアジャイルさと複雑さやインクルーシブな組織文化に迫ります。外資系企業ってどんな感じ?日本法人ってどんな風にグローバルと関わるの?興味ある方は是非ご覧ください!

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