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統合失調症だからって絶望することない with こまつ 【統失インタビュー 制作:ナツミ】 を視聴して

感想文集ー統合失調症をもつ人の著作を中心にー no.10


~中高生に、もし統合失調症になっても希望はあるよ、絶望しなくていいよと伝えたい~ (こまつさん)

ナツミさん制作の統失インタビューシリーズ(※1)のうち、こまつさんの登場回です。


こまつさんは高校生のときに統合失調症を発症し、紆余曲折ののち、現在は特例子会社で働いておられるそうです。

インタビューは、病気の経過、仕事のこと、不調のときの過ごし方、自ら執筆した小説について・・・と進みます。
お仕事の話では、特例子会社とは何か、合理的配慮とは、農福連携とは、といったトピックスも出てきます。

動画制作者兼インタビュアーは、ご自身も統合失調症をもつナツミさんです。
ナツミさんの進行は共感に満ちていて、とても素敵です。
話が進むにつれお二人が楽しそうに笑う場面が増え、見ているこちらも一緒にテーブルを囲んでいるような気もちになって引き込まれます。
統失インタビューシリーズならではの温かさです。


さて、こまつさんは 絶望と青空(※2) という小説をnoteに公開しておられます。

インタビューの後半では、この小説に込めたこまつさんの想いが語られます。

中高生に読んでほしい。

統合失調症という病気があるという事実と情報を知っていてほしい。
もし統合失調症になっても希望はあるよ、絶望しなくていいよと伝えたい。

有名人や芸術家や芸能人じゃなくて一般の自分が、こういう道もあるよと。
特別じゃない僕みたいなのも生き残っているよ、と示したい。

こまつさん・インタビューから(大意)


ここで、こまつさんの小説について少し説明します。

主人公「自分」は高校在学中に統合失調症を発症。
太い鉄格子と厚い鉄の扉に閉ざされた保護室の場面から始まります。
絶望し死を考えた日々から、大学を7年かけて卒業し、就職と退職を経て障害者雇用という道をみつけるまでが描かれています。
家族との関係、教師の支え、死んでいった知人たち、障害者になる葛藤、出会いと縁、さまざまなできごとが織りなす歳月を経て、青空が広がるラストに至ります。


私は小説を読んだ後にこのインタビューを見て、「中高生に読んでほしい」というこまつさんの言葉がとても印象的だったのです。

小説の中で高校生時代の描写が鮮烈なのは、「自分」にとって強烈な時代だったのもあるだろうけれど、それだけでなく、その年頃の人たちに伝えたい思いが強いからかもしれない、と。

「特別じゃない僕みたいなのも生き残っているよ」
こまつさんの思いが絶望の中にある若い人たちに届きますように。

そして、素敵な企画をしてくださったナツミさん、ありがとうございます。



※1 統失インタビューとは、統合失調症をもつyoutuber ナツミさんが聞き手になり、統合失調症をもつ方や周囲の方をインタビューする企画。
シリーズ全体への感想文はこちら

ナツミさんはほかにも、ご自身の経験を生かして統合失調症について役立つ動画をたくさん制作しておられます。

※2 動画内では以前の題名になっています。



(追記1)
こまつさんが本記事についてツイートしてくださいました。
ありがとうございます。


(追記2)
ナツミさんが本記事についてツイートしてくださいました。
ありがとうございます。


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