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【読書感想文】先生、どうか皆の前でほめないで下さい――いい子症候群の若者たち――

'23.11.5読了

著者:金間大介
出版:東洋経済新報社
紹介ページ(Amazon)
先生、どうか皆の前でほめないで下さい: いい子症候群の若者たち | 金間 大介 |本 | 通販 | Amazon


紹介文(Amazonより)
ほめられたくない、目立ちたくない、埋もれていたい……。今、こんな若者が激増している。
・「成功した人もしない人も平等にしてください」
・選択の決め手はインフルエンサー
・「浮いたらどうしようといつも考えてます」
・LINEグループで育まれた世界観
・もう「意識高い系」とすら言わない
・上司からの質問を同期に相談する
・自分に自信はないけど社会貢献はしたい
令和の時代の重大異変を、イノベーションとモチベーションの研究家が徹底分析!


https://note.com/scheegnade/n/n1e1de6ef459d?sub_rt=share_pw

上記の記事で読むと宣言した本です。まさかの1日で読み終わりました。
説明と例が分かりやすく、その上でクスッと笑える表現もあり、とても読みやすく書かれています。
内容は筆者の調査や先行研究、日米比較などから見えてくる現在の若者の傾向とその原因というものです。
この情報だけだと読むのに体力のいる難しい内容のように受け取れてしますのですが、分かりやすく、笑える箇所がある結果、すんなりと読むことが出来ました。
大抵の分析関係の本では、それは本当か? 違うんじゃないか? などど考え出し面白くなくなってしまうのですが、本書の中には「~~という批判が出ると思うが」といった読者が持つであろう反論を見越した返答が随所に見られます。
そういった箇所も面白さにつながっているのかなと思います。

いい子症候群については、身に覚えがある箇所が良くあります。
どうやら私は典型的ないい子症候群ではないようですが、部分的に、弱いい子症候群なんだろうなとは思います。
授業中に先生に話かけられるの本当に嫌だったなぁ。何を答えても後から陰口叩かれるし。
就活に関する章がありますが、身に覚えがありすぎて苦笑いしてしまいました。
良く問題になるリクルートスーツについては、個性を出す場所で没個性も目指すという矛盾を抱えています。
私は出てよく打たれる杭で、打たれるのも嫌になっている気持ちもあり没個性を目指していた部分もあります。
就活生を経験した身からすると「リクルートスーツじゃなくても良いって口先で行ったってスーツで行かなかったら減点するんでしょ」、といった気持ち。あと趣味の欄とか当たり障りのないことしか書きたくなかったし。
鍵カッコで囲った部分がまさにいい子症候群の症状であり、個性が出ることによるリスクの回避と推測・推論による自己完結型の不満の形なのですがね。

小中高(大も陰口叩かれていたけど無視した)と出る杭であると散々叩かれ過ぎて色々面倒くさくなって没個性が楽だと覚えてしまうのですが、その杭を全力で叩いていていた人はそもそも没個性的だったのだなぁと思ったりしました。
没個性で群れの中にまぎれてしまえば自身が攻撃されることがないわけで。
その群れの中で好き勝手動いて群れ(和)を乱す不遜な輩がいたら自身を守るために攻撃するしかないわけで。

大学を卒業して早6年、今だから読み切れた部分はあります。
きっと4年次の時は、「じゃあどうしろって言うんだ!」といって読むの放棄していたかもしれません。
でも、出来れば現役大学生に読んで欲しい。なんて気持ちになったりします。
大人も十分為になると思います。読んでて本当に面白い本でした。


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