AIシンガー、Synthesizer Vを使ってテレビドラマの音楽つくりました。
こんにちは、スキャット後藤です。フリーランスの作曲家です。
音楽担当してるテレビドラマの話です。先日、ParaviとYouTubeで公開されたドラマ「何かおかしい2 (原案/雨穴)」の第11話、冒頭のゆうたろうさんが出てるシーンで男性ボーカル曲が流れてるのですが、実はこの歌声、人間ではなくAIシンガーなのです。下のYouTubeのリンクから聞くことができます。
ドラマのプロデューサーにも監督にも特に報告してないので、Twitterではじめてそのことを書きました。ちなみにSynthesizer VのRyoを使用してます。最初は男性ボーカリストに依頼しようと思ってたのですが、ちょうどSynthseizerVの話題でTwitterが賑わっていたので、興味持って購入。このシーンにちょうどいいかもって思い使ってみてデモ出し、歌声に関して特に何も言われなかったので違和感なかったんだなって思い、そのまま完パケて選曲さんに送りました。見てもらったらわかるのですが、ラジオから流れてきた音楽なのでMA時に音源をEQで加工されてます。歌詞は脚本家が書いたもの、台本読んで「あ、ここボーカル曲用意するんだな」って気付いて制作って経緯。なので詞先です。
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作品にもよるのですが、劇伴作曲家はこういう小道具的な音楽も作ります。ここから先は、AIシンガーの話ではなく「劇伴作曲家ってそういうのもつくるの?」って部分の話を広げます。
この「何かおかしい」はラジオの生放送中にいろんなおかしなことが起こるというオカルト&ホラードラマなのですが、このラジオ番組「オビナマワイド」中に流れるジングルやBGMも作ってます。この第11話で流れてるジングル、女性ボーカルのは望月ヒカリさんが作って歌ってまして、途中で流れる男性ボーカルのは僕が作って歌ってます。櫻井智子さんと作ったジングルも他の話では流れてます。いくつか作って用途によって使い分けてます。
1/25(水)深夜に放送される「来世ではちゃんとします」第4話(Paraviではすでに配信中)に、内田理央さんとゆうたろうさんがラブホでカラオケしてるシーンがあるのですが、そこで歌っている昭和歌謡デュエット曲もオリジナルで作りました。使われてるのはサビの数小節だけなのですが、ワンコーラス分の音源作りました(作詞は相馬絵梨子さん)。劇伴だからと言ってインストルメンタルだけ作ればいいってわけでもないんですよね。ボーカル曲が必要な時もあります。
2021年7月クールに担当したドラマ「イタイケに恋して」のタイトルバック曲は英詩のボーカル曲という指定だったし、劇中歌として渡辺大知さんが歌うラルク風の楽曲もフルサイズで2曲作りました。
SynthsizerVを使ったボーカル曲も、渡辺大知さんの劇中歌も詞先です。脚本に書かれてるので、それを元にメロディー作りました。演出に絡む部分なので、曲先ってことはあまりないんです。ちなみにCM音楽はほぼ100%詞先です。CMの場合、歌詞というよりは商品のコピーなので、曲を作るより先に言葉ができてないといけません。「青春高校3年C組」というバラエティ番組ではボーカル曲を使った企画を毎週やってたのですが、それも詞先でした。
そしてそれらは、作詞家ではなく脚本家やコピーライター、放送作家が書く歌詞なので、字数に無理があることも多いのですが、そこはなんとか形にするというのが腕の見せ所です。
と、こんな感じで、劇伴作曲家にもいろんな仕事があるという話でした。AIシンガー使ったテレビドラマの音楽、ぜひ一度聞いてみてください!「何かおかしい」はParaviで全話(YouTubeで奇数話)配信されてますし(テレビは4/4〜)、「来世ではちゃんとします3」は現在放送中なので、興味のある方はぜひご覧ください!!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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スキャット後藤 (作曲家・音楽プロデューサー)
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