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Spectrasonics Omnisphere2を使って作曲した音楽紹介します。

こんにちは、スキャット後藤です。フリーランスの作曲家です。今回は全文公開します。

YouTubeで人気のオカルト&ホラー作家の雨穴さんが原案のドラマ『何かおかしい(テレビ東京)』のサウンドトラックがデジタルリリースされました。雨穴さんの持ち味を活かすため、煽る感じの楽曲は少なく、淡々と不気味・不穏が続く楽曲が中心になってます。ホラーやオカルト好きの方には是非イージーリスニングとして部屋で流してもらいたいと思い、一曲一曲の尺を長めに収録しました。ドラマはYouTubeで3話まで観ることができます。こちらから聞くことができます↓


普段の僕といえば、キュートでボップな音楽をつくることが多く、コメディ作品やバラエティ番組、子供向けの可愛い音楽のイメージを持ってる方が多いと思うのですが、このドラマを見た友人知人から「こういう曲もつくるんですね。幅広くてビックリしました」って何人かからメッセージもらいました。劇伴を担当する以上「怖い」って表現は必ず必要になるので、こういう曲も作れて当然かなと思います。最低限、喜怒哀楽は音楽で表現できないと劇伴の仕事は出来ないです。

僕は昔、ホラー関係の作品ばかり音楽つけてたことがあります。ホラーって低予算で作れて、しかもかなり需要があるジャンルです。新人の監督の登竜門的な面もありますし、劇伴の基礎勉強みたいなところもあると思います。徐々に怖さが増していって、「きますよ、きますよ、きますよ!」って煽ってスカしてホっとしたところでドーーンと驚かす。ひとつの作品の中にそういうシーンが沢山あって、ワンパターンにならないように工夫する、ネタバレしないようにミスリードを作るなど、フリとボケがしっかりわかってないと作れないのがホラーの劇伴。制作費が安いということは、音楽費も安い。つまり、新人作曲家が仕事取りやすい分野でもあります。

例えば僕はこういう作品に昔参加してました。

『学校の怪談 めちゃ怖「呪われた心霊フィルム」  驚愕のドキュメント』
「恐怖!心霊スポット十連発」驚愕のドキュメント』監督・出演 :山下敦弘
『怪談新耳袋殴り込み!』シリーズ (清水崇・豊島圭介他)
『怪奇!アンビリーバブル 恐怖!呪いの写真』 構成・演出:吉田浩太

28年くらいのキャリアの中で、あらゆるジャンルの仕事やってきた上で、自分が特に勝負できて大好きな分野としてキュートでポップな音楽を看板にしてるだけで、実際はもっともっと出来ることは多いのです。出来るけども自分の美意識に反するからやらないタイプの音楽もありますし。


で、話戻ります。

今回珍しく『何かおかしい』という作品でホラーな音楽を沢山つくることになるのですが、制作をはじめるにあたって「あ!今回こういうやり方面白いかも」と思いついたことがあります。たくさんの民族楽器を操るTETAREさんという作曲家がいるのですが、彼の奏でるいろんな楽器をたくさんサンプリングしてもらって今回の劇伴に使ったら面白いかもと思いつき、さっそくオファーしました。「こういう音楽を作ってるから演奏はTETAREさんに」ということではなくて、近くにTETAREさんがいるから、今回の劇伴の方向性はコレでいこう!と決めたということです。そういう順で決めることもあるということ。

今回、弦やカリンバ・太鼓など、いろんな楽器演奏してくれてます。作ってもらったフレーズがドラマの重要部分になるような曲は共作名義にすることにしました。サントラに収録されてるので聞いてみてください!僕一人だと作れなかったサウンドになってます。ちなみにTETAREさんは僕が主宰してる「フリーランス作曲家のための講座」の受講生です。去年もドラマ2本に参加してくれたのですが、MXのドラマ『劇的に沈黙』ではメインで流れる独特な音楽を沢山作ってくれました。https://teta-repi.com/

ちなみに、このドラマの劇伴ですが、SpectrasonicsのOminisphere2と拡張音源を多用してます。NordLead4やDaveSmithのハードシンセなども沢山使ってます。ちなみにDaveSmithのTETRA、Mopho Keyboardはアナログシンセです。ソフトシンセでは難しいニュアンスの音を作るために使ってます。音のざらつきはRC-20 Retro Colorというプラグインを使って汚してます。

他に、ほぼ唸ってる僕の声だけを使った曲もあります。大学時代に合唱部に入ってたのですが、その時に演奏した間宮芳生さん作曲の「オンゴー・オーニ」や林光さん作曲の「黒い歌」に出会ってなかったら、不安的な声だけの曲を作ろうと思ってなかったと思います。僕の曲はすごくシンプルで地味な曲ですが、これらの合唱曲は相当キレキレで意味不明の現代音楽で面白いので聞いてみてください!!普段はJ-POPばっかり聞く僕ですが、合唱部で全く違う分野の音楽に触れてたことが経験として生かされてます。極端な幅を知るというのは大事な気がしてます。


何がどこでどんな風にアウトプットに繋がるかわからないので、常にいろんなものをインプットしておくのが大事だなーと思ってます。一見無関係のものもアイデアとして使えることが多いです。

ということで、今日はホラー系の劇伴に関しての話でした。ドラマ『何かおかしい』ぜひ見てみてください!最後まで読んでいただきありがとうございました!

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スキャット後藤

(代表作) 来世ではちゃんとします/何かおかしい/ダメな男じゃダメですか?/さよなら、ハイスクール/イタイケに恋して/徳山大五郎を誰が殺したか?など
https://www.cutecool.jp/

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