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牛の皮のカタチをした南米妖怪伝説について【アルゼンチンオバケの話#3】

かねがね紹介してきた以下の本にも詳しく書かれていることですが、南米のマプチェ族の伝説に、

湖の底に住む「牛の皮のような」カタチの怪物

その名も「クエーロ」のハナシがあります。

湖に近づく人を引きずり込んでしまう怪物らしく、日本でいうカッパに該当する水辺妖怪ということになりますが、

それよりも私なんぞが気になって仕方がないのは、「牛」という生き物と南米先住民の浅からぬ因縁そのもののほう!

というのも、今でこそウルグアイやアルゼンチンは牛肉輸出大国として知られていますが、

もともと南米の牛は、ヨーロッパ人が持ち込んだものが異常繁殖したのが幕開け。

その繁殖力の凄まじさは、

南米に布教にやってきたイエズス会宣教師が、住み場を略奪団に襲撃され、やむなく家畜の牛を放置してヨーロッパに脱出し、数年後に再び南米に戻ってきてかつての住処を見つけると、大量の野生牛の群れが走り回っていた、という伝説があるほど

ホンモノの牛のほうが南米先住民にはよっぽど妖怪的だったのではないでしょうか?

外国人が連れてきたデッカイ外来種が.どんどん増殖して手がつけられなくなったわけですから。

ところが南米の先住民たちのたくましさも、これまた一筋縄ではありません。

イエズス会教化村にて、先住民(グアラニー族)にヨーロッパ流の牧農業を教えてあげていた宣教師たち。先住民たちもなついてよく働いてくれる、と思っていたら、

何かがおかしい

とある日気づき。村で共同管理していた牛の数を確認すると、2000頭くらい飼っていたはずがいつのまにか300頭くらいしかいない。どうやらグアラニー族の男たち、毎日少しずつ、牛を連れ出して食べちゃっていたらしい。

そのことをとっちめると、グアラニーの代表の男が反論してきたことには、

「あんなにまるまる太っていておいしそうな生き物の方が悪い」と牛のせいにされたとか

かくして先住民たちも牛肉のうまさに魅了され、南米大陸は世界に名だたる牛肉名産地となったのでした(※このあたりのグアラニー族とヨーロッパ人とのたくましい駆け引きの歴史は、伊藤滋子さんの『幻の帝国』という本に詳しく出てきます)

私も牛肉が大好物だから、牛という生き物のこの悪魔的な魅力はよくわかる、世界史に及ぼしたインパクトを考えると、よっぽどホンモノの牛のほうが妖怪的に思える

だいいち、私の頭の中でも、「南米の田舎」といったら、以下のようなイメージですからねえ。きっとこんな感じだ↓

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などと書いているうちに、肝心の「牛皮妖怪クエーロ」のことを説明するのを忘れていました、、、。

気になる方は、ぜひ、以下の本を読むか、

あるいは、チリのテレビ番組が子供向けに「妖怪クエーロ」について楽しげに説明している、以下の動画をご確認ください!



子供の時の私を夜な夜な悩ませてくれた、、、しかし、今は大事な「自分の精神世界の仲間達」となった、夢日記の登場キャラクター達と一緒に、日々、文章の腕、イラストの腕を磨いていきます!ちょっと特異な気質を持ってるらしい私の人生経験が、誰かの人生の励みや参考になれば嬉しいです!