見出し画像

【漫画の海外展開の話のつづき】ギリシャの漫画事情:聖闘士星矢をリアルタイムで読んでいた少年時代にギリシャに滞在できた幸運の話

ちょっと珍しい本を古本屋で見つけました。90年代に出された、こんな本です。いや、この空気、まさに90年代、懐かしいですね。

この本、内容的には「聖闘士星矢の魅力をいろんな角度から考察」というところですが、

半分は「モトネタとなった神話を探る」といった考察ネタ、半分はエロ描写をまじえた同人読者対象のネタでした。特に後者のシモネタぶりはひどい。

いや僕も同世代ですから、この感じはよく覚えています、90年代のオタク&腐女子と呼ばれていた人たちの世界ですね。そういうクラスメートも各教室に何人か、ぜったいいましたね。

私としては、その手の友達とも付き合いがあったので、真面目な大人が眉をひそめるこういう同人なノリの本も、ある程度の懐かしさを込めて読めるのですが・・・ひとつだけ、言いたいことが。

肝心の考察部分、ギリシャ神話の背景を語るところに、情報としての間違いが多すぎる!これは許せん!

漫画のことを解説するしょせんサブカル本なら、考察のソースについてもいい加減でよい、なんてことにはならないはず!

と、マジになってしまったのは、私自身が『聖闘士星矢』を読んでいた少年時代、ギリシャに特別な思い入れがあったからです。

ちょうど家族の仕事のおかげでギリシャに駐在していた頃に『聖闘士星矢』を読めた幸福!

どうして『聖闘士星矢』が好きかというと、ちょうど少年ジャンプで連載が続いている間に、父親の仕事のおかげでギリシャにいたからなのです。

すごく単純な理由ですが、今考えると、とても幸運な運命でした。

あ、ここで「幸運」といっているのは、十代前半という時期にギリシャという珍しい国に関われたことであって、

『聖闘士星矢』好きになったことが幸運だったのかどうかは、よくわかりません。笑

ただし今でも思い出すのは、ギリシャと日本を何度も行き来する生活をしている中で、日本の小学校に戻るたびに、「ギリシャはどうだった?サンクチュアリってあるの?聖闘士っているの?」と質問攻めを受けたこと。

男子から浴びせられる、そういうアホな質問には、「いねえよ」と冷たく答えれば済むのですが、

上級生のきれいな女子から「わたしも星矢のおかげでいつかギリシャに行ってみたいと思うのだけど、どんな国なの?」と聞かれることもあるので、そういう時はかなり頑張って、まじめに答えていたものです。ハイ。

ざっと思い出せることを、以下にQA式に並べて、大人になった今まさにまじめに、答えてみますね。

小学校当時によくされた質問、「『聖闘士星矢』に描かれているギリシャと現実のギリシャってどうよ?」に今こそ答える

では以下、小学校時代にわたしに浴びせられた質問に、今の大人になった私が、まじめに回答していきます。

質問「聖闘士はいるの?」

答え「いません。常識で考えなさい」

質問「サンクチュアリはあるの?」

答え「ありません。ただメテオラっていう、雰囲気が似ている山中の史跡群があります。ギリシャ神話の聖地ではなく、東方正教会、つまりキリスト教の聖地です。こういう、日本では見られないような、おごそかな「聖域」というものは、キリスト教関連ならいろいろあります!」

質問「ギリシャ神話の神様は今でも信仰されているの?」

答え「されていません。完全に正教会の世界です。それはそれで、カソリックともプロテスタントともまた違うキリスト教の文化がとても神秘的で面白いです。ただし、あえてギリシャ神話の神様を信仰する古代宗教を復活させようという団体も細々とながら存在するとは、聞いたことがあります」

質問「聖闘士星矢に出てくるような風景は本当にあるの?」

答え「ありますよー!単行本の第一巻でカシオスと星矢が戦う闘技場とか、教皇(サガ)が交流している田舎の村みたいな場所については、そっくりな風景があります。車田正美先生がちゃんと現地取材をしたのか、少なくともギリシャの写真をそうとう参考にして、背景を描いていたんじゃないでしょうか?」

大事な質問、「ギリシャでも日本漫画は読まれていた?」にも答える

さて、このノートにとっていちばん大事な話題にも触れましょう。

質問「ギリシャで日本漫画は読まれていた?」

答え「私の記憶は90年代と古い時代になるので、今は違うかもしれませんが、残念ながら日本の漫画など見かけたことはありません。ただし、あの時代でさえ、テレビをつけるとギリシャ語吹き替えで日本のアニメがふつうに放送されていました。特にキャンディキャンディが人気だったらしく、私もなにげなくテレビをつけただけで何度か見た記憶があります」

で、その後、ギリシャで日本の漫画やアニメのブームがあったかというと、見事にギリシャについては情報がありません

肝心の「聖闘士星矢」がまさにギリシャで放送されていたりしたら面白いのですが、少なくとも私のリサーチではその記録は発見できませんでした。

子供の頃、ギリシャでリアルタイムの『聖闘士星矢』を読んでいた日本人の子供が大人になって、当のギリシャで『聖闘士星矢』がその後流行していたというニュースに出会えたら嬉しいと思っているのですが、どうやらそれは厳しいかもしれない。。。

ただしギリシャにも気になる動きあり。「マンガ制作ユニット」Mangatellers

しかし、前回のポーランドの事情と似た話ですが、このギリシャにしても、日本漫画の芽がゼロというわけではありません。

小規模な活動ではありますが、Mangatellersという名前の「マンガ制作ユニット」が、テッサロニキ(ギリシャで二番目に大きな都市)を拠点に活動をしているのです!

このユニット、日本の漫画から影響を受けた作品を作っているのみならず、講談社の新人賞に作品を応募したりと、本家であるこちら日本の市場へも積極的にアプローチをしてきているようです。

まだまだこれからという動きながら、こういう活動があるということは僕ら日本人の側もキャッチして、応援をしていきたいものですね!

というわけで、私の『聖闘士星矢』に関する思い出に絡めた、現代ギリシャの漫画事情の紹介でした!


子供の時の私を夜な夜な悩ませてくれた、、、しかし、今は大事な「自分の精神世界の仲間達」となった、夢日記の登場キャラクター達と一緒に、日々、文章の腕、イラストの腕を磨いていきます!ちょっと特異な気質を持ってるらしい私の人生経験が、誰かの人生の励みや参考になれば嬉しいです!