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かの名作の続編『ブレアウィッチ(2016)』はココとココとココが変だ!・・・誰だこの企画にOK出した奴は!【フェイクドキュメンタリーを止めるな!】

※本作は少しだけ、ネタバレを含みます。いちばんの核心には触れないように話しますが、「いかに瑣末でもネタバレは嫌い」という方は離脱くださいませ

↑以前にこの記事で触れた通り、私は『ブレアウィッチプロジェクト』という1999年の作品を高く評価しています。

この映画には「つまらなかった!」というアンチな方も多いことを理解した上で、「それでも私は『ブレアウィッチプロジェクト』を支持します」と言い続けてきた。アンチの方々が指摘するあの映画のストーリー上のいくつかの不明瞭な部分にも、「きっとこういうことなのだ」と整合性をつける考察まで私は付与してきた。

それから20年。

なんというオドロキの展開!?

私の20年間の擁護と考察をすべてブチ壊してくるという恐ろしい続編がリリースされてしまいました。しかも二次創作とかじゃないですよ!立派な「公式」です!

シリーズの公式の続編が、ここまで、前作の設定をすら自ら台無しにしてくる、なんてことがあるのでしょうか?、、、まあ、ホラー映画史上では、よくあることかもしれませんがw

問題の続編というのは、2016年の『ブレアウィッチ』です。前作が『ブレアウィッチプロジェクト』で続編が『ブレアウィッチ』という、間違えてDVDを買っちゃう人が出てきそうなタイトルのややこしさも既に私の気には入らなかったりしますが、、、

これは凄い。本当に凄い。

何が凄いって、

前作について私が褒めた点を、この続編はすべて守ってない!

まあ、具体的にいくつか挙げますと、

前作は、結局、ブレアウィッチなるモンスターはハッキリ画面に登場しないので、「主人公たちを襲った事件は本当に超常現象だったのか、それとも主人公たちの遭難中の妄想による仲間割れ自滅だったのかが(良い意味で)曖昧なまま」だった

本作はモンスターがバッチリと登場します。それどころか、仮面ライダーの敵みたいなデザインのモンスターが「キシャアアアア」と雄叫びをあげて堂々と追いかけてきます。

前作は、時系列の整合性はきちんと追える、真面目な「フェイクドキュメンタリー」になっていた

本作は、いちおう、形式はフェイクドキュメンタリーですが、なんとなんと、まさかのタイムループが発生します!ブレアウィッチなるモンスターはどうやらジョジョのスタンドの如く、時間の流れを戻すことができるらしいですよ皆さん!

前作は、視点はすべて「カメラでの撮影視点」に統一されていて、そこから出ることは絶対にしなかった

本作は、主人公たちがドローンやらスマホやら小型監視カメラやら、たくさんのカメラを持参して常に稼働させていたという設定だからでしょうが、ある人物の主観が、上空からのカメラに切り替わったり、話している相手からの視点に切り替わったり、バンバン視点が切り替わりますよ、、、ていうかそんなに視点が切り替わるのは普通のドラマ映画の撮り方であってもはやフェイクドキュメンタリーでもPOVでもないではないかw

そう、この続編は、フェイクドキュメンタリーPOV形式で撮る必然性がそもそもないのです。「前作がフェイクドキュメンタリーPOVだから今回もそうしました」くらいの惰性での判断だったのではと疑ってしまいます。

そもそも、なぜフェイクドキュメンタリーという形式が、ホラーで採用されることがあるのか?私の意見ですが、「観客に、なんとなく『本当にあったこと』と思わせるため、すなわちリアリティの獲得のため」というのがひとつの大きな理由でしょう。

前作の『ブレアウィッチプロジェクト』は、ネットに「ブレアウィッチの都市伝説についてのサイト」なるサイトをわざわざ映画公開前に立ち上げたり、登場人物たちの日記をあたかもニュース記事のような体裁のネット記事サイトに公開したりして、「これは現実に起きたこと」というリアリティをウリにする点、徹底していた。

一方で本作はどうでしょう?「失踪した若者たちが森の中に残していたビデオテープを再現したモノ」というフェイクドキュメンタリーのお作法を設定しているくせに、そのビデオテープの中にはUFOらしきものの影や、特撮怪獣映画に出てくるようなモンスターの姿、鏡にバッチリと顔を出す幽霊、そしてついにはタイムスリップ現象まで記録されているのです!

そもそも、起きる時間にリアリティが何もない!!そんなら、普通のドラマの撮影方法にして、お金をかけた特撮の派手さで見せてくれたほうがすんなり見られたのではないでしょうか?それを無理にPOVにすると、手ブレが気になるばかり、「これは本当の映像なんだぞー」と上から目線で押し付けられてるようで気になって仕方ない。というか、「これが本当にあったこと?んなわけあるかー!」というツッコミしか湧いてこない。

そして、何度も繰り返しますが、

この続編の最大の罪は、

せっかく前作が「これは超常現象の映像なのか?主人公たちの妄想なのか?あるいはただのイタズラ映像なのか?皆さんの目で映画を見て考察してください!」という投げかけの映画として成功し、宇宙人説・モンスターのしわざ説・幽霊説・カルト教団説・主人公たちの自滅説・「ほんとに主人公たちのただの狂言だった」説まで、さまざまな考察が溢れかえった。

ところがこの続編を見たら、前作のファンたちの20年間の考察も全部吹っ飛んじゃったじゃないですか!正体は特撮怪獣映画に出てくるようなデザインのへんてこなモンスターだった!しかも時間を操れるw!えーこれが前作の謎の答え合わせ??これが答えなの?ていうか、前作のファンは別に誰も「いまさらの答え合わせ」は望んでなかったと私は思うのですが!

、、、しかし、

私はあきらめません!

実は、

この続編を見た後でも、

前作の謎をそのままキレイに、謎のまま残し、我々が安心して前作の「考察」を引き続き楽しめるようにする、そんな「この続編の解釈」の方法が、一つあることに気づいたのです。

いいですか?前作の『ブレアウィッチプロジェクト』は、さまざまな考察が可能な、謎を残す映画でした。その解釈の中には、「そもそもこの映像は単に主人公たちによる狂言だった説」すら、物語の解釈の可能性としては残されていました。ただし、「狂言だとすると、しかし、説明のつかないシーンが残る!?」という謎かけの深さが、面白さでした。

この続編も、同じだと思うのです。しかも、この続編の主人公たちは、映像制作に慣れていそうで、しかも前作の主人公たちより資金や装備が潤沢そうです。

そして、そんなこの、続編の主人公たちが撮ったとされる映像の中に、モンスターやら幽霊やらタイムスリップやら、とうてい信じがたいモノがバンバン写っているということは、、、!

つまり、この続編の考察は、迷うことなく「主人公たちの狂言だった説」一択で良いのではないでしょうか?w

この続編『ブレアウィッチ』という映画は、なんとなんと、20年前に起きた事件(前作『ブレアウィッチプロジェクト』で描かれた事件)の噂を聞きつけ
た若者たちが、同じ森の中に入り、CGや特撮を用意して大袈裟な映像に仕上げた、フェイク映像の物語だったのだ!そうに違いないっ!

だってそう考えると、すべての辻褄が、むしろ合うんですよ。肝心なところでドローンが墜落したり、GPSが故障したりするご都合主義的な展開も、そもそもこれはフェイク映像を撮っている若者たちの物語だとするとなんら不思議はないw!すべては「自作自演乙ー」という映画だったのだ!

そして、続編をこのように考えると、

結局、前作『ブレアウィッチプロジェクト』とは何の関係もない、ただの便乗的な若者たちの悪ふざけの話に過ぎないので、前作の謎は謎のまま、きれいに保持される!

公式がこの続編を、作っちまったもんは、もうしょうがない、、、我々、前作ファンがとり得る手段は、「前作は本当なのかフェイクなのか謎の残る映画だよねー」と引き続き言い続けながら、「だが続編のほうは間違いなくフェイクだ!」と言い切ってしまうことではないでしょうか!?少なくとも私は、そうやって続編を無力化することで、再び前作『ブレアウィッチプロジェクト』についてあーだこーだの考察を続けられる権利を取る!

子供の時の私を夜な夜な悩ませてくれた、、、しかし、今は大事な「自分の精神世界の仲間達」となった、夢日記の登場キャラクター達と一緒に、日々、文章の腕、イラストの腕を磨いていきます!ちょっと特異な気質を持ってるらしい私の人生経験が、誰かの人生の励みや参考になれば嬉しいです!