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「妖怪や精霊にも投票権を」という案にはおおむね賛成

畑中章宏氏の『死者の民主主義』を読み、たいへんな興味を持ちました。その感想。

「妖怪や精霊にも投票権を与える」

などというと摩訶不思議で妙チキリンなようですけれども、

本書で詳しく説明されている通り、チェスタトン柳田國男が極めようとしていた路線の先鋭版だと思えば、じつはそんなに突飛なことを言っているわけでもないと、わかります。

そして私自身も基本的には、死者への投票権という案に賛成したい!

ただし、この「死者の声を政治に活かす」というのが現実にはとても難しいことが気になる。

というのも、すでにして、

右翼の人は「自分は戦死者の声を代弁しているのだ」と言い、

エコロジーの人は「私は公害で死んだ民衆の声を代弁しているのだ」と言い、

そんなふうに、みんな「自分にとって都合のよい」死者の声ばかりを利用しようとしているのが現実の政治で起こっていることに見える。そんな生者の都合のよい場合の時だけでなく、死者たちの声を本当に公平にとらえる在り方とはなんなのか、、、これはそうとう難しい。

けれども、とりあえずの、あくまで「理想的な空想」としてならば、、、

今生きている人間だけでなく、過去に死んだ人にも、山や川に住む妖怪たちにも「日本の未来のために一票を!」と呼びかける世界観には憧れます、確かに。

「あなたたちにも政治に参加してもらうことになりました」と投票用紙を『もののけ姫』の世界に渡したら、シシ神サマもオッコトヌシも仰天するだろうし、エボシサマも「そんな解決があったのか」と目を丸くするでしょう。

そんな夢を見るのはたしかに魅力的にすぎる。なかなか遠き夢かもしれないとしても。


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