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【もしクレ】もしクレムリンのロシア大統領のところにロシア文学のキャラクターが現れたら(『いまわたしが目ざめたとき』ブリューソフの場合)

大統領執務室の中で、
どれくらいの間、
集中して書類を
確認していたのだろう?

ふと書類から顔を上げると、
あれ?

執務室の筈だった部屋は、
いつのまにか、
薄暗い地下室のような部屋に
変わっていた。

部屋の奥では、
暖炉がパチパチと燃え、
その周囲には、
焼きゴテやら、
解剖用の鋸やら、
手錠やら、
狩猟用のナイフやら、
さまざまな拘束用具と刃物類が
並べられている。

暖炉の脇には、
かの有名な拷問道具、
「鋼鉄の処女」(アイアンメイデン)が
飾られている!

「これはいったいどういうことだ!?」
大統領は、思わず椅子から立ち上がる。
この不気味な、
最近流行っているという
ホラーゲームDead by Daylight にでも
出てきそうな、
趣味の悪い部屋は、
なんなのだ?
「夢でも見ているのかな、、、?」

すると、地下室の階段の上戸が開き、
「そう、夢だ!
だが、夢を見ているのはわたしだ!」
という太い声とともに、

黒いスーツを着込んだ、
痩せこけた、気味の悪い男が、
目をギラギラさせながら、
階段を降りてきた。

「お前は誰だ?」
怪訝そうに大統領が訊く。

「自己紹介の前に、まず言っておこう」
男は目をギラギラさせながら言った。
「わたしは子どものころから
変態的だとみなされてきた」

「ええっ?」
大統領はいきなりのことに、
目をぱちくりさせる。

「だがわたしはいっぽうで、
ひそかに、気づいてもいた。
他の人間たちも、
多かれ少なかれ、
わたしとよく似た、
罪深い快楽を知っているものだと」
男は暖炉の周りの
拘束用具や刃物を
ギラギラした目で見回しながら、言った。
「そう!他の人間も知っているのだ!
他人に苦痛を与えるということの快楽を!」

「や、やばい、、、!」
大統領は急いで部屋を見回し、
逃げ道を確認し始める。
「今までも変なヤツが
仕事の邪魔をしにくる事があったが、
今日のヤツは、とりわけ、
やばい、、、!」

「人間はきっと、
その原始社会においては、
自分と似ている相手の肉体をひたすら、
痛めつけ、いじめぬくことに、
快感を覚えていたことだろう」

「いやいやいや、
そんなことはないと思うがね、、、」

「だが、現代においては
わたしの手は法律に縛られている」

「そう!その通り!
法律がある!
だから変態行為はいかんぞ!」

「だがわたしは、いつも、
夜見る夢を現実と同等に
思ってきていたし、
いまも思い続けている」

「・・・夢?」

「そうだ!」
男はパチパチと燃える
暖炉の炎の中に、
焼きゴテの先端を入れて、叫んだ。
「夢の中でなら、
どれだけ、他人の体を
痛めつけぬいて、
ゴミのように殺したとしても、
誰にも罰されることはないのだと!」
焼きゴテの先端が、ジリジリと加熱し、
オレンジ色の光を放ち始めていた。

「これは、、、ヤバい!」
大統領は、唯一の出入口であるらしい、
階段との距離を冷静に見極める。
ダッシュで行けば、
焼きゴテを振り回して追ってくる
この男を振り切れそうか、
必死にアタマで計算する。
「これではまるで、、、
あのアメリカのバカな
ホラー映画みたいじゃないか!
狂った殺人鬼と
同じ夢を見ているなんて!」

「バカなホラー映画とはナニゴトだ!
あれは『エルム街の悪夢』というんだ!
ロシアでは確か、
Кошмар на улице Вязов
というタイトルだった筈だ!」

「なんでそんな小ネタを知ってるんだ!
くそ!まずい!
この距離感はまずい、、、!
まあ、お前、少し落ち着け!
いいか、これはただの夢じゃないんだ!
オレは現実の人間なんだ!
何かが起こって、お前の夢の中に
紛れ込んでしまった
だけであってな?」

「何を訳の分からないことを
言ってやがる!」

「落ち着け!おい!
お前にも家族はいるんだろう?
そうだ?奥さんは?
お前には奥さんはいるのか?」

「妻のことか?」
男は真っ赤になった焼きゴテを
暖炉から取り出し、
「妻のことか?」
目をますますギラギラと見開き、
「妻のことかあああああああ!」
と絶叫した。

「奥さんのことを聞いただけで、
何でそんなに興奮するんだ?」

「なぜなら!嗚呼!」
男は天井を見上げて叫んだ。
「わたしは、妻を、、、
現実と夢との区別が
つかなくなったわたしは、
妻を、、、
てっきり、夢の中なら、
妻をいじめ殺してもいいだろうと
思ってしまって、、、そして!」

暖炉脇のアイアンメイデンが開き、
中から、血まみれの、
若い女の死体が飛び出してきて、
ドサリと床に崩れ落ちた。

「こ、こいつ、、、変態だ!
うおおおお、
正真正銘の変態だっ!」
大統領は階段に向けて
イチかバチかのダッシュをした。

「待あてえええーー!」
焼きゴテと狩猟ナイフを振り回しながら、
男がその後を追った。

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子供の時の私を夜な夜な悩ませてくれた、、、しかし、今は大事な「自分の精神世界の仲間達」となった、夢日記の登場キャラクター達と一緒に、日々、文章の腕、イラストの腕を磨いていきます!ちょっと特異な気質を持ってるらしい私の人生経験が、誰かの人生の励みや参考になれば嬉しいです!